9/13(Mon) Hiking Day116/ 22mi/ 8:00am- 6:30pm (10:30) /NB 2424mi
“Great Day” 朝はやはり時間通りすっきりとは起きられない。アメリカのTVプログラムは不思議で同じ映画を続けて流したりする。結局ロードオブザリングの興奮覚めやらず、もう一度途中まで見てしまい遅くなってしまったからだ。どうしようもないだめなハイカーだ。それでもゼロデイをとったお陰で体調は良い。日本の妻に電話をして声を聞き、力をもらう。 トムと昨晩話していた位の時間にモーテルを出る。まだみんなは動き出さないようだ。道路を歩いてTrail Headに向かう。約8:00amにTHから歩き出す。急登からのスタート。大きなスイッチバックをしながら稜線を目指し上がって行く。今日は気持ち良い天気だ。久しぶりの乾いた空気。濃く青い空。山も景色もよく見える。また少し地質や植物が変わったように感じる。登り始めて1時間くらいで稜線が近くなってくる。 稜線に出ると景色はさらに開けて美しい。遠くMt. Rainier が見えている。近くを通っている時にはほとんど全貌を見ることができず、やっとご対面といったところだ。ここから見てもあの大きさということは、近くだったらもっと雄大だったに違いない。しかし、これでも僕には十分すぎるほど。 山の様相はごつごつとしていて穏やかな雰囲気はない。けれど、小さめな岩山の灰色、限られた場所に根を張る針葉樹の濃い緑と青い空とのコントラストが美しい。振り返るとMt. Rainierを端に、Snoqualmie のスキー場とI-90が見える。トレイル自体はとても歩きやすく、稜線の細かいアップダウンを避けるように巻いている。のんびりと歩みをすすめる。 トレイルの上に動いている生き物を発見する。まるまるしているように見える。ありゃなんだ?よく見ればどうやら僕が何度も見たことのある動物、Marmotだ!僕が知っているマーモットが生息出来るだけの標高ではないので、それだけ緯度が上がり寒冷地に入って来ているということだろう。シエラで見たときのマーモットと色が違うように思う。たしかシエラは茶色、ここでは灰色だ。土地柄か、それとも冬毛?食事中なので邪魔をしたくはないのだけれど、僕達は先を急ぐので、申し訳ないが脇を通過させてもらおう。 稜線脇にある小さく美しい池、その名もRidge Lake、に到着する。ちょうど昼時なのでここで休憩。ここに着く直前で出会ったデイハイカーも一緒だ。彼が“熊がいるぞ”と僕達に声をかけてくる。確かに反対側の大きくカールした斜面に熊が歩いているのがわかる。あまりに遠くて僕のカメラで写真に収めてもまともに写りはしないだろう。だいぶ北上してきたのでもしかしたらBrown Bearかとも思ったが、トムもデイハイカーの彼もきっとBlack Bearだろうと言う。水を汲み、準備を整えたらまた歩き出す。デイハイカーの彼はここから戻ると言う。互いの幸運を祈りつつ別れる。 ここから先はもっと素晴らしい景色が広がっている。山肌をトラバースするようにトレイルはすすむ。眼下には大きな湖があり、深い谷になっている。Alpine Lakes Wildernessというエリアで岩山に囲まれた美しい池や湖が点在するところのようだ。歩いているだけで楽しい気分になる。やはり景色を見ながらのハイキングには格別なものがあるな。深い大きい谷の向こう側にはまたMt. Rainier が見える。雲が朝よりも増えているが、それがまた美しさを増しているように思う。ものすごく長い長いトラバース。もし雪がある季節なら雪崩の巣窟だろう。ここからだと前に歩いているハイカーがいるとよく見える。1人僕らの先にいるようだ。また1人見えるがそのハイカーは逆方向で歩いているみたいだ。 South Bounderのところに到着。彼は大きく立派なカメラを持っている。彼が言うには、出会うハイカーの姿を写真に撮って歩いているらしい。僕とトムもそれぞれ写真に撮ってもらう。数日前からハイキングしているというのでハイカーの動きについて聞いてみる。昨日は少なかったが一昨日は多かったようだ。やはり僕らの前の大きなグループは約2日先行しているようだ。 3mi近いトラバース道が終わりGapを越える。そこにはぼくらの前を歩いていたハイカーが腰を下ろしている。景色が開けて綺麗だし、天気も良いし、僕らも少しだけ腰を下ろそう。 ここからは大きな下りで山の奥へと入って行く。天気は変わらずに良いままで最高の気分だ。トレイルもおおむね歩きやすく、歩みは軽やか。変化に富んでいるエリアで飽きることがない。今日はまるでシエラネバダのエリアを歩いているような気分だ。Hot SpringのDetourもとても興味があったが、こちらを選んでよかった。またいつかここを歩きに来たときにはこの迂回路を選んでも面白いだろう。 小さな池を回り込みGapを越えどんどん下って行く。途中には滝が流れ豊富な水を誇る。冬に雪がたくさん降り山に多くの水が蓄えられているのだろう。オレゴンやカリフォルニアのようにトレイルを外れて水を汲みに行かなくて良いので助かる。小さな森林火災跡は長いジグザグ道で下っていく。 出発が遅めだったにも関わらず、歩きやすいトレイルと心地よい天気のお陰で、22miをサクッと歩き通し、Lemah Creekに6:30pm到着する。ここのクリークの橋は流出してしまったようで架かっていないが、徒渉も問題なく渡れる。 僕としてはもう1mi進みたい。僕としてはあと2日でStevens Passに着きたいのだけれど、トムは3日で良いと思っているらしい。彼らの気持ちも良く分かるし、でも僕は僕のペースで行こうと思う。そうすると、ここでのキャンプがもしかしたらトムと最後になるのかも知れない。そう思うと、あと1mi先に行くことができない。結局30分も悩んでいたが、ここで泊まろう。続々とみんな追いついてくる。リー、ダフ、リチャード、アグゼラ、ガットフック、テンジンと勢揃い。それほど広くもないキャンプサイトがとても賑やかだ。 楽しい時間だけれど、長くは続かない。まだ明日もあるし。みんなあと3日かけてStevens Passまで行くつもりのようだ。僕1人が2日で行こうとしている。食料はあるけれど、でもここは自分を信じて進もう。明日は25〜27miを歩く。長いなぁ。でも1人、久しぶりにのんびり歩こう。それも悪くない。眠くて眼が痛いな。 9/14(Tue) Hiking Day117/ 27mi/ 6:35am- 7:05pm (12:30) /NB 2452mi “Hike Alone” まだみんなが寝ているか、やっと起き出した頃。僕にとってはいつも通りの時間に出発する。時間は6:30amを過ぎているが、陽射しは森に届かずに薄暗い。日が短くなっていることを痛感する。 今日の予定では、大きい登りが二つ。大きい下りが一つ。小さい下りが一つといった感じで、メリハリがある一日になるはず。いきなり壁にぶち当たるように急な登りを黙々と歩く。斜度をなるべく出さないようにたくさんスイッチバックしているので思ったよりも歩きやすい。昨日Gapのところで会ったハイカーが先行している。彼は手作りに違いないシンプルなバックパックを背負っている。せっかくなので写真を撮らせて欲しくて声をかける。彼のトレイルネイムは“Tick”。Tickはそのままダニと言う意味だ。どうしてこの名前なのだろう。気になって尋ねてみると、大きなバックパックを背負って手足が少しだけ出ていて動いている様が似ているからだと言う。なるほどね。彼は話を聞くところによるとテンジンの友達らしい。彼もTangent と同じく1995年にPCTをスルーハイクしている強者なのだ。写真を撮り終え、“じゃあまたね”と先を進む。 上に上がってくると周りの山がよく見える。陽当たりの悪いところにはびっしりと雪がついている。このまま万年雪として来年もあそこに残るのだろう。突然“がさっ!”と音がするので見てみると鹿がのんびりと歩いてくる。こいつはずいぶんのんびりやなのだろう。今日も天気が良くて気持ちよく歩けそうだ。雪解けの綺麗な水はとても冷たい。あまりお腹が空くような感じがしないのでとにかく先を急ぐ。ひたすら歩く。あの複雑な山の形は雪に削られたのだろうか。 うんざりするほど長い下りが続く。下る、下る、歩く。下りだけでも6〜7miあるのだからすごいもんだ。 結局休み無しで、Waptus Riverまでの14.4miを歩く。さすがに疲れたのでここで一休み。橋の上が陽当たりが良いので、昨日湿ったテントを干して気持ち良くドライに。昨日よりもだいぶ暖かく感じる日で、道具は日向、僕は日陰がちょうど良い。暖かい陽射しは喉を乾かすからだ。 一つのめの大きいアップダウンの次は二つ目の大きな登り。今度は急登ではなく、緩やかに長い。約8miだけれど、登りということもあってか思う以上に時間がかかる。前半飛ばしたせいで疲れもあるのだろう。ずっと谷の中なのでこれといった大きな変化もなく、黙々と歩くのみ。浅く水がとても綺麗な川を越えるとDeep Lakeに着く。疲れたので湖までは近づけない。湖の上にはCathedral Rockがそびえている。周りは平らで広い高原となっていて美しい場所だ。こんなところでのんびりキャンプができたら楽しいだろう。みんなはきっとここまででキャンプだろうか。僕もしばし悩む。時刻はまだ午後5時前。まだ歩ける時間はある。一休みしたあと、この後水が無さそうなので夜の分の水を担ぎ先へと進む。 3miの急な登り。ここもスイッチバックが多いので歩くのはそれほど大変ではないけれど、水を担ぎ疲れた身体にはとても辛い。木々の間から見える景色の美しさが救いだ。Lakeが望める。テントが張ってあるのが見える。まさかトム達ではないだろう。Gapまでたどり着くと、Cathedral Rockが目の前。上の方は少しだけ紅葉が始まっている。素晴らしい景色だ。ハイカー達とすれ違う。彼らはDeep Lake を目指しているのだろう。 ここからは下り。Stream Junctionという場所を目指すが、名前とは大きく異なり水はないらしい。下りていくと小さなPondをいくつか見かける。さらに下りていくとどこからか流れの音がする。結局小さなクリークから水の流れもあるし、なんの為に水を担いで来たんだか。少し急な下りをおりきると、開けて平らな場所が現れる。どうやら目的に到着のようだ。なぜ流れの合流点となっているのだろう。あたりを探索してみると、確かに流れの跡がたくさん交錯している。そのどれにも水はなく完全に枯れたクリーク。でもこの谷を少し詰めていけば水のあるところが見つかるような気がする。 たくさんキャンプしやすそうなところがあるのでむしろ悩んでしまう。困ったことだ。時間は午後7時を少し回ったくらい。日暮れまでには着くことができて良かった。それでも辺りは休息に暗さを増していく。日に日に駆け足で迫る冬の気配。乾いてとても良いキャンプサイトだと思う。水が流れた跡のない場所を選び今日の家を準備する。 今日も良く歩いた。慌ただしく一日が過ぎていく。明日はStevens Passにおりる日だけれど、そこまでもまだ25miもあるのだ。長いなぁ。とほほ。
by hikersdepot
| 2013-04-11 12:44
| PCT 2010 by Turtle
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