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White Pass, WA to Snoqualmie Pass, WA/ Day140– 143/ Hiking Day112- 115/ 2304mi- 2402.8mi/ 98.8mi/②
9/10(Fri) Hiking Day114/ 28mi/ 7:00am- 7:00pm (12:00) /NB 2384mi
“Mouse and Berry”

 ドライで快適な素晴らしい朝。明るさは小屋の中にほとんど入ってこない。いくら言葉で、外で寝るのが好き、と言っても建物の中で寝る安心感も大きい。今あるものや人が作り上げて来たものを振り返り、その大切さに気づくことも野外活動において大切なことだと僕は思う。

 雲が濃く薄暗い。昨日遅くに着いた5人のハイカーはまだ寝ている。特に9:00pm過ぎに着いた3人の疲労は大きそうだ。良く歩いたもんだぜ。トムと2人で7:00amころ出発。

 昨日と同じように雲が濃い中を歩きだす。1時間と少し歩いた頃だろうか。そろそろ休憩しようかと思った頃、トレイルマジックのクーラーボックスを発見。道路が近いから車で来られることが大きい。ついでにここで休憩。そして自分のフードバッグを開けてびっくり!ネズミにやられている。昨日見た時と今朝でなんの変化もなかったのに。ということはその前にやられていたのか。クッキーとチーズ、オレオのCakestar と被害はそれほど大きくなかったが、これからはもっと気をつけなくては。食べられたものは病原菌感染の可能性も有るので全て破棄をする。その分をこのトレイルマジックで補わせてもらう。本当にありがたい。肉が生のままや、ハムが塊で入っていたりと豪快だ。でも食べきれなさそうなので、スナック類とコーラをもらうことにしよう。

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 時々雲が切れるが回復までは至らず。昨日以上に何も特色なく、標高は昨日ほどもない、単調なトレイル。未舗装の道路がたくさん入り交じる人間臭の濃いエリアだ。どこかノースカリフォルニアを思わせる懐かしさがある。

 長い下りを駆け下りるようにTacoma Passに着く頃には気温がグッと上がり雲も上がってくる。ここからはTacomaが近いのだろうか。Tacomaはシアトルから1時間くらい南に行ったところにある街で、チャーリーの家があるところだ。ここに来たらなんて言うんだろうな。“帰りたいよ”なんて泣かなきゃいいけど。

 トムが先行して進んで行く。“タートルは早いからな。”と言うが僕がそんなに早いわけがない。だって亀だもの。トムを追い急登を進む。少し斜度が緩んだ頃には見晴らしが良くなる。すると突然の激痛が左足に!“いってぇ!”と思わず大きな声をあげる。なんだこの痛さ。思いっきり太い針に刺されたいたさだ。と、蜂が飛んで行くのを見る。まさか!?一瞬恐怖が走る。なんの前触れもない。偵察の蜂も見ない。それなのに。すでに辺りには蜂の姿は無く、なぜ刺されたのかわからない。とりあえず口で刺されたであろう箇所を思いっきり吸う。色も変わって無いのでどこか特定することができない。刺された時ってこんななのか?でもズキズキする。なんだか一気にアドレナリンが吹き出した気がする!とにかくトムに話を聞こう。

 すごい勢いで登る、登る!自分でも驚きのスピード。痛さをごまかしているのか、それとも痛さで興奮してアドレナリンが出ているのか。あっという間にトムに追いつく。トムもびっくり。いや、僕がびっくりだよ。事情を話すと“ああ、Hornetだね”と言う。それってスズメバチのことでしょう!?なのに大丈夫、大丈夫って言う。アメリカのスズメバチは毒が無いのか?まぁ、どうなるにせよ歩くしかないから歩こう。

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 ここ数日ではまだ明るく見通しも良いようだ。それに今日もハックルベリーがたくさんあるので、僕は度々足を止める。大粒なものも多く甘い。あまりにもたくさんの未舗装道路を横切るので、細かい場所の特定がむしろ難しく、勢いに任せ歩くしかない。アップダウンも多く、だいぶ疲労が溜まってくる。

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 人の気配が増える。キャンプしている人達が近くにいるようだ。Power Lineをくぐり、開けた明るい場所に出ると、未舗装だが今までよりは管理されていそうな道路に出る。少し道は逸れるがトイレもあるようだ。せっかくなので用を足す。ここもキャンプするには悪くなさそうだけれど“トム、どうする?”どっちみち水が無いし、補給もしていないのでそこをなんとかしなければならない。あと2miくらい行くと池があるから、水はそこに行けば何とかなりそうだけど。まぁ流れ的には、“歩いちゃおうぜ”ということになるのは自明の理。

 山を下りていく。Power Lineをまた一つくぐり抜ける。バチバチバチ、と強い音。久しぶりの大きなPower Lineだ。日本の送電線でこんな恐ろしい音がするものに出会ったことはないが、アメリカはこんなところも豪快なのだ。しかし大きなPower Lineは街が近い証でもある。

 それを下りると左手に池が見えてくる。Lizard Lakeへ到着したようだ。あまり綺麗な水とは言えなさそうな色。あるだけありがたいのだが。舗装路が見え、THに下りる。うれしいことにウォーターキャッシュがある。ありがたい。THでもキャンプができそうだが、あまり良いとは言えない。トムと相談して“いいよ、1ガロン持ってっちゃおう”とトムの意見。重いボトルを持って池の周辺へ行ってみることにする。

 池の北側を回り込むような道があるが、途中まで行ってみるものの、先客もいるし、犬もうるさいので来た道を戻る。西側の道を行くと池に向かって車の轍。その奥には平らなスペースがあるのでそこを今日の場所とする。街からも車ならばさほど離れて無く、道路沿いならば、人がたくさんくるのだろう。ゴミが散乱していてとても汚い。釣り糸も散らばっている。でも、そんなものだし、今日はここで良い。もう28miも歩いたのだから。

 送電線が近くにあるものだから、バチバチと音がずっと聞こえている。ほんと一気に人里だな。面白くもあり、悲しくもある。ほんの少しだけ雨がパラパラと落ちてくる。雲は高いので雨にはならないだろうけれど。暗くなった頃、昨日に続いてGeneral Leeが追いついてくる。結局ぐっすり寝たらしく、11:00amに出発して、8:00pmには到着。ものすごく早い!明日アメリカンフットボールのゲームがあるらしく、それを見るがために猛スピードで歩いているらしい。だったら、もう少し早く起きれば良いのにと思うけど、普段の生活リズムを考えればそれも普通なのかもしれないな。

 明日はSnoqualmie Passに着く日。でもそこまでまだ19miもあるけれど、久しぶりのゼロデイを取るつもりでいるし、明日着ければ十分さ。昨晩の小屋のお陰で乾いた寝袋で快適な夜を過ごす。明日こそは良い天気になることを期待して眠ろう。


9/11(Sat) Hiking Day115/ 19mi/ 7:00am- 3:00pm (8:00) /NB 2403mi
“Snoqualmie Pass”

 夜中に少し雨が降って止んだようだったが、起きると小雨がパラパラ落ちてくる。池沿いのためにツェルトの結露も久しぶりにすっごい!アメリカでこんなのも珍しいが、まあ良いさ。だって今夜は快適な部屋で過ごせるのだから。

 今日も陽射しは無いが、空気が暖かい朝だ。7:00am頃に出発。珍しくLeeも真面目に起きて先にかっ飛んで行く。大好きなアメフトの為ならばこんなに力がでるなんて!素晴らしい、とは言えないけれど、人間だなぁ。

 今日はトムが先行して歩いて行く。単調で平坦なスタートからだ。遅くは無いはずなのにトムの早さといったら。街が違うと人が変わるのか、僕も人のこと言えないけれど。今日は土曜日、weekendだからデイハイカーの姿もいつも以上に多い。街やTHが近いこともあるだろう。

 疲れと足の痛みがあったが、ペースはまぁまぁだ。僕は自分のペースを保ち、休憩を挟みながら歩いて行く。森は緑濃く美しい。でも、それよりも頭の中は何を食べようか、何が食べられるか、そればかりだ。トレイルはぬかるんでいるところも多く、靴がぐちょぐちょ。

 Mirror Lake付近にはキャンプしている人達もいるようだ。声がたくさん聞こえる。どこかの学校のグループともすれ違う。彼らは一様に僕らの姿を興味深く見る。大きなバックパックを背負うハイカーを抜く。ちらっと顔を見ると確かUrich Shelter で一緒だった2009PCTハイカーのようだ。まだあの朝は寝ていたはずの彼がなぜ?疑問は後回しに先へ行く。

 登りを終える頃には陽射しが強く差し込むようになる。上空の雲は多いが景色が広がり気持ちが良い。あとはSnoqualmie Passへ向けてずっと下りだ。トレイルは整備されていて杭があるあたりなどいかにもといった感じ。犬連れのデイハイカーもいる。

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 水は豊富で小さい滝もあり、心なごむ。下りでペースも上がり快調。前方にはやっとトムの姿をとらえる。さすがに少しペースダウンしたようだ。トムと合流し、後ろからはさっきの2009PCTハイカーも追いつく。水を汲みがてらバックパックを下し休憩。彼にどうして僕らよりも前に行っていたのか尋ねる。すると、彼らは昨夜の深夜に小屋を出たと言う。つまり、僕とトムがUrich Shelterを出た日は天気もいまいちなのでそのまま停滞していて、夜になって歩き出し夜通し歩いてきた、ということらしい。はぁ、ご苦労様。彼は少し眠そうだ。
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 眼下には交通量の多い道路が見える。あれは、I-90。アメリカで最も北にある高速道路だ。やっとここまで歩いて来たのだ。I-8から始まり、アメリカを縦に歩いて来たのだ。でもゴールじゃない。あと少し。もう少し。
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 天気も良くなり、標高も下がり、気温が上がってくる。Lodge Lakeを通り過ぎると景色が開ける。小さな湿原の向こうには綺麗な青空。気持ちいいなぁ。トレイルはスキー場の中に入り、急坂を下って行く。道がわかりづらいので適当に下りていく。どうやら道を外れてしまったようだが、どうでもいいやと3人とも直進。スキー場のガレージみたいなところを抜けると、小さなSnoqualmie Passの町に到着だ。
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 ここはWhite Passよりはお店も多いが、ドングリの背比べといったところか。一軒のロッジ。そこそこ立派なGas Station。小さなグロセリー。レストランが2軒といったところか。とりあえずロッジに向かう。もうリーは先着しているはずだからだ。時間は午後3時。ゲームには間に合ったのだろうか。

 フロントの人間は中国系か。個人ロッジ経営者には白人意外が多い気がする。でもその方が設備や細かいところが行き届いていそうなのはなぜだろう。このロッジも併設したレストランが閉店してしまってはいても、ロッジ自体は綺麗にしてあるし、コンピューターもある。悪くない。フロントで話をするとすでにリーが話を付けていて部屋を取ってあるという。そこには僕の名前もあり、リーはシェアするつもりでいてくれたらしく、しかも僕のフルネームを覚えていてくれたようだ。とてもありがたく、うれしいが、きっとこのロッジ泊まりがPCT最後のゼロデイになるかもしれず、ゆっくり1人でいたいと思い、1人で部屋をとることにする。リーには顔を出し、謝る。トムもリーも理解してくれたみたいだ。ありがとう。正直彼らは好きだ。みんな陽気だし楽しい。でも酒を飲み過ぎる。気違いみたいに飲むし、いつも部屋が汚い。酒を飲まない僕にとっては辛いところなのだ。上手く言えないもどかしさもあるし、でも理解してくれる友に感謝だ。

 とにかくリラックス。ロスの友人にも電話で現状報告。シャワーを浴びて綺麗になってからCheveron に偵察へいく。意外と広い店内は品揃えもまあまあ。もちろんこれだけでは補給全てができないので食料は送っている。それをピックアップする。ホットミールはフライドチキンやポテトばかりだが種類も多いし、不満はない。夕食も近いけれど腹が減っているのでとにかく食べよう。部屋に戻り空腹を満たす。それから、モーテルにあるただ一つのランドリーを交代で使い洗濯する。トムとあとでレストランにいく約束をする。

 洗濯も終わり部屋でウトウト。トムとの約束の時間ギリギリに目が覚める。部屋を出るともうトムは廊下で待っている。ごめん、と言い、2人でレストランへ向かう。Summit Lodge を出て西側すぐ隣がCheveron。そのはす向かいにはWebb’s というレストランがある。比較的新しいのか、YogiやPCT Atlasの地図には記載が無い。外に出ると空気がぐっと冷えている。ここのところ夜が寒かったが、今日は天気が良かったからか空気が乾燥して余計に寒さを感じるようだ。

 Webb’sはスキー場の施設の一部のレストランといったイメージ。レストランの入っている建物もまるでセンターハウスの様だし。きっと雪のある時期には非常ににぎやかになるのだろう。店内もいたって普通なのだけれど、意外と店内に人は多く賑やかで明るい雰囲気だ。メニューの数こそはそれほど豊富では無いけれど、特色を出しているような名前が並んでいる。どれも美味しそうだから困る。その中で僕らが選んだ素晴らしい料理は、Rib-eye Steak。少々お高いけれど、僕らに必要な体力を得る為にはこれを食べるべきだ!コーラもぐびぐび飲みまくる。ここで元を取る努力するなんてみみっちいな、自分。

 そのボリュームはもちろん、味も申し分無い。正直期待していなかっただけにうれしい。トムとたくさん話をする。お互いの故郷の山のこと。家族のこと。自分達のこと。トムは素晴らしい人間だと思う。チャーリーと同じくらいの年齢だろうが、彼とはまた違う大人の魅力がいっぱい。見た感じと違って真面目そうだし。そう思うとチャーリーは品の良い顔と真面目そうな雰囲気の割には、片付けないし、いい加減だし、子供みたいな人だ。思い出すと笑える。でもどちらも僕にとって大切なPCT Friends。感謝感謝。
 
 ここのレストランは味だけでなく、ウェイトレスの感じもとても良い。彼女はとても綺麗な娘で、今大学に行く資金を溜めていると言う。日本で言う苦学生みたいだが、アメリカでは珍しくないらしい。お金を溜めて大学に通い、無くなれば休学し、また資金を溜める。聞いて思ったのはただ素晴らしいということ。本当に勉強したいからこそそうするのだし、その思いの強さに感動する。思うように簡単に行かなくても彼女は全然憂いを感じさせない。アメリカの学生がとても一生懸命勉強する姿はたくさん見かけたことがある。自分の意思とさらに自分で用意した資金となれば、気の入りようも違うだろう。全ての学生ではないにせよ、みんな何かを背負っているということ。日本にはそんな学生がどれほどいるのだろうか。少なくない、そう思いたい。

 戻るときCheveronに寄る。僕の前にレジに並んだ男性は車の中に奥さんを待たせていると言う。その奥さんとこれから病院に行くらしい。理由は彼女が産気づいたから。みんなして“こんなところでゆっくりしてる場合かよ”と突っ込みつつ、“おめでとう”と言う。彼が“ありがとう”という顔が喜びに溢れている。僕はアイスクリームを買って、部屋で至福の時を得ることにしよう。

 いつも夜更かししないようにと思うものの、してしまう心の弱さ。よりによって今日のテレビプログラムは『ロードオブザリング』。見ないで寝るわけにはいかないな。ああ、今日も結局夜更かしだ。
by hikersdepot | 2013-03-20 22:23 | PCT 2010 by Turtle


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