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White Pass, WA to Snoqualmie Pass, WA/ Day140– 143/ Hiking Day112- 115/ 2304mi- 2402.8mi/ 98.8mi/①
9/8(Wed) Hiking Day112/ 26mi/ 7:45am- 6:45pm (11:00) /NB 2330mi
“Soaking Wet”

 すっきりとした目覚め。やはりベッドで休むと体の疲れが良く取れる気がする。外は濃い霧が立ちこめているが雨は降っていないようだ。ストアに寄る必要があるので急いでも始まらない。シャワーを浴びてゆっくり準備をしてから、7:00am過ぎにロッジを出る。

 ストアに行くとちょうど今朝の仕入れが来たところらしい。陳列を待っている間にコーヒーとスナックを食べながらくつろぐ。Heetを買い、燃料を注ぎ足し、残りはハイカーボックスに入れておく。あとのハイカーが役立ててくれればと思う。

 7:45amくらい、外での一服を終え、ストアの2人に感謝を述べて歩き出す。すぐに後ろから僕を呼ぶ声がする。Uncle Tomだ。僕が思っていたより動き出しが早いな。リーはまだ寝ているらしく、他のみんなを待つようだ。トムは1人で先に出てきたのだ。“タートル、一緒に行こうぜ!”ちょっと戸惑う。なぜならチャーリーと分かれてからこっち、時々誰かはいたものの1人で歩いて来た。なんだかんだとそれが2ヶ月近くにもなると自分のペースを乱されるのが嫌になる。だが、トムも良く知っているハイカーだが一緒に歩いたことは無いし、ペースが違えばその内離れるだろう。

 膝は少し疼くものの、昨晩、今朝とたくさんの食事と休養のお陰で調子は悪くない。トムとの歩くペースは意外と合っている気がする。歩きやすい。トレイルもやや登りからのスタートだが緩やかで登りを感じさせることもほとんどなく歩きやすい。そのせいかペースもグングン上がって行く。お腹がいっぱいだから力が溢れているのも原因の一つだと思う。

 雨もパラパラ程度で降っているうちに入らない。最初の登りが終わり一休み。広がる湿原がとても美しい。
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 約3時間で9.8miを進む。とても良いペースだろう。トムと丸太の上に腰をかけて休憩する。しばらくするとまたパラパラと雨が落ちてくる。さっきより降っている感じはするが、まあ大丈夫だろう。とりあえずレインジャケットは身につけておこう。

 再び歩き出すと雨は徐々に強さを増していき、いつしか本降りへとなる。パンツの撥水はろくに効かないのはわかっているが、みるみるうちに濡れていく。登る道は正直つらいがそれでもなんとか耐えて歩く。雨がこれだけ降っていては休みようも無いからだ。景色を見る余裕なんてもちろんあるわけもなく黙々と進むのだ。レインジャケットの中は汗で全身濡れているのがわかえる。下はそれ以上でパンツの中までびしょ濡れだ!

 トレイルが登るのをやめ、その後は小さなアップダウンを繰り返し水平に移動して行くと、今日の目的地である、Dewey Lakeへと着く。なんとか日暮れまでに着く。今は雨と霧で何も見えないが、とても美しい景色に違いない。キャンプサイトも適度に踏まれ、でも荒れていなくて良さそう。枝葉から落ちる水がすごいが、寒さ、風除けの為に大きな木の下に幕を張る。水はけも悪くなさそうだ。

 それにしても、着ている服はずぶ濡れで寒い。バックパックもしっかり水を含んでいる。外付けしていたマットも隙間に水分が溜まっている。まあ、しかたない。昨日洗濯して乾燥させたテントは効果があり撥水はしっかりしている。シルナイロン製のバックパックの方が撥水せずに思いの外ひどい状態。でもありのままを受け入れるしか無い。全ては僕自身の選択によるものだ。

 雨脚はひどくなる一方。枝葉から落ちる水滴がボタボタと大きい音を立てている。トムはすっかり乾いたものに着替えたらしく元気になったようだ。僕も最悪の状況に備えてはいるもののできれば着乾かしがしたいがこの天気ではどうにもならないだろう。このまま寝たら寝袋は濡れてしまうだろうが、試しに寝てみよう。乾くのは明日の天気に期待しよう。


9/9(Thur) Hiking Day113/ 26mi/ 7:10am- 6:10pm (11:00) /NB 2356mi
“Wet to Dry”

 昨夜の雨は上がったものの枝葉から落ちる水滴は夜中ずっと音を鳴らしていた。撥水の復活したはずの僕のテントもびしょ濡れに。濡れた服のまま寝たので案の定寝袋は大分しっとりしているが夜寒さは感じなかったので、湿ったダウンでも意外と暖かく寝られるものだ。天然素材に感服。

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 準備にもたつき出発は7:10am頃になってしまう。寒い霧の中歩き始める。雲が少し上がると広い景色が目に入る。全て見えればもっと美しいのだろう。すぐにHWY410のTrail Headに出る。大きな駐車場とトイレがあり、ハイカーがいる。僕はトイレに寄り、トムは先へ行く。乾いて囲まれたトイレの中についほっとしてしまう。僕は心の弱い人間だ。
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 トレイルは標高を上げ山の中に入って行く。小さく綺麗な池がある。どこからか焚き火の匂いがすると思ったら、ハンターの白いテントがありトムがそこで火に当たっている。暖かそうなので僕も行ってみるが大きな火が立っていないので少し手を暖めるくらい。

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 その後も雲の中トレイルを歩く。景色はないけれど集中できるし、見える範囲でもそこそこ綺麗なのが、むしろ惜しまれる。時々雨は降るものの昨日ほどではなく、ほとんど曇りと言ったところ。トムは食事もろくに取らず歩き続けるが、僕は時々たったまま一服し軽く食事をしながら、それぞれのペースで進んで行く。

 いくつものGapを越える。一般的には『峠』は『pass』だが、小さくて切れ目のような峠や同じ尾根で斜面の向きが切り替わる時に越える少し落ちた稜線の部分を『gap』と言う。大きなアップダウンではないので歩きやすくペースも落ちない。Crown Pointというかっこいい名前の場所を過ぎたころ雨は上がり、雲も大分上がって来て、時々陽射しもさすようになる。トムと2人でやっと腰を落ち着けて休憩する。

 寒いけど昨日ほどひどい感じもしない。昨日も今日もあんまりゆっくり休んでいられない。トムはレインスカートを履いている。“調子どうだい?”と聞くと“悪くないね”と返事。僕はウィンドパンツなので濡れっぱなし。同じくらいの重さならレインスカートもありだ。でも単体で使えない(もちろん使えなくはないが)のが弱点かな。レインパンツもそうだが、ウィンドパンツは単体で履けるので着替えにもできる。ケースバイケースなのはもちろんだが、スルーハイクに適したオールマイティな雨用パンツはなんだろう。軽量レインパンツというのじゃつまらないし。

 陽射しがさらに出てくるも風が強くなってきて寒いし、回復とまではいたらない。向かいから3人のハイカーがやってくる。だいぶ着込んでいるし、出で立ちからデイハイカーなのがわかる。止まって立ち話をする。彼らはPCTのことを知っているので話がわかる。谷の中に建物が見える。ここは有名なスキー場らしい。その近くの稜線を辿っているということだ。彼らが言うにはこの辺りは本当に綺麗なところらしい。それが見られないのは残念だが、これもまた受け入れるべき現在なのだ。“明日にはもっと良くなるから。それにUrich Campに着けば小屋でも休めるよ”と励まされ再び歩き出す。
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 結局今日はあまり雨は降らないものの、気温が上がったり下がったり、風も冷たいので雨支度のまま歩き続ける。今日はあんまり早いペースで進んでいないが、それでも目指したい場所がある。このまま行けば問題ないだろうが、僕らが目指すのは、Urich Campだ。ここにはShelterがあるというのだ。この天気続きの中でシェルターの存在はありがたい。

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 標高が徐々に下がってくると、トレイルの状況が一変する。とてもMuddy なトレイルとなり、歩きづらい。表面がぬかるんでいるだけではなく、足が埋まるほどの柔らかい土なのだ。ずるっ、とむしろ滑らせるように歩いた方が良さそうだ。時間が詰まってきてしまったので、あまりゆっくりと休むこともできず、食べては歩きの繰り返しで疲れは溜まる一方だ。夢中で歩くこと数時間。ぬかるむトレイルと長い下りで膝が痛む。

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 突然開けて明るいところに出る。小川が流れ、Meadowが広がっている。そして一つの建物。Urich Shelterに到着だ。思っていた以上に立派な作り。小屋に入る前に泥まみれの靴を足ごと水の中で洗う。トイレは小屋の裏にあるようだ。Urichってどんな意味かと思っていたら、どうやら人の名前のようだ。小屋の中は二階建て。使えるかわからないが薪ストーブもある。この後人がくるかも知れないので邪魔にならないように、でも一番良さそうな場所を選んで荷物を広げる。とりあえず、昨日ずぶ濡れになったシェルターとしっとりした寝袋を干し、食事にする。雲に覆われてはいたが、雨がほとんど降らなかったので濡れた服は全て乾いている。ほんとドライなのがこれほどありがたいとは。
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 食事をしてトムと2人のんびりしていると、今日THのトイレで出会ったハイカーが到着。良く話を聞くと彼は2009にPCTをスルーハイクしていると言う。去年同じ位の時期にここを歩いた時、素晴らしい景色で美しかったのでまた来たのだが、今年は天候不順過ぎると言う。昨年はワシントン州で何日くらい雨に降られたか聞くと、せいぜい3日くらいらしい。それでも確かにカリフォルニアなどから比べれば多い方だ。2010の僕達は何日降られたのだろう。スタートからして雪と雨だったし、それ以外でもずいぶん雨の記憶がある。

 寝る頃になってジェネラルリーがやってくる。彼は相当疲れているらしく、食事もせずに(おそらく済ましているのだろう)すぐに寝てしまう。彼が寝息を立て始めた頃、どこからかネズミが現れ、ゴミが詰まった彼のバックパックのウェストベルトポケットを食い破って引っ張り出している。なんてことだ。このドライで素晴らしい小屋はネズミの巣窟のようだ。僕ももう一度食料袋を確認する。特に問題なさそうだ。

 僕もうとうとした頃、9:00pmくらい、リチャードウィザードやダフ、エグゼラが到着する。急ににぎやか。でもみんな疲れ果て挨拶もそこそこに寝入っている。ネズミに食われないことを祈りながら眠りにつく。
by hikersdepot | 2013-03-13 23:00 | PCT 2010 by Turtle


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