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Castela, CA to Seiad Valley, CA/ Day 105–110 Hiking Day 81–86/ 1510.0mi –1666.6mi(156.6mi) /3
8/8 (Sun) Hiking Day85 / 31mi / 6:30am- 8:00pm (13:30) /NB 1645mi
“Sunrise to Sunset”

疲れの残る朝。
鞍部でないせいか、この場所でもそれほどの風に悩まされずに済む。
ちょうど日の出が綺麗に見える。
体いっぱいに太陽を浴びて浄化する。
そのあと、煙草の煙で体を汚染してから歩き出す。

今日はSeiad Valley への長い下りが始まる直前まで歩くと決める。
距離にして約31 mi 。
楽じゃない。
ただ、地図を見て想像するに、行けるはずだ。

尾根に沿うように緩やかな下りは続き、快適に歩き始める。
ところどころ良さそうなキャンプサイトが見つかる。
気持ち良く歩けるトレイルは続く。
景色もまた変わり、岩と緑のコントラストが美しい。
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小さい池の側を通る。
見た目はとても綺麗だが近くによると浮遊物が多い。
しかし、水の流れが多いので幾らでもとれるところがある。
この付近はたくさんの花が咲いていてとても美しい。
日本で見たようなクルマユリなどが咲いている。
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この先もまだいくつかの水場があるがトレイルからはどれも少し離れていそうだ。
あまりたくさんの水を背負いたくはないが、ちょっと不安がよぎる。
稜線歩きが多いと、どうしても水場が少ないか、離れてしまう。
だったら、ここで少し多めに持っていても良いだろう。

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トレイルは二股に別れている。
ただの分岐とは違う点がある。
Old PCT とCurrent PCT との分かれ道なのだ。
何が理由で別れたのかは、僕には解らない。
どっちでも好きな方に行けよ、ってことだろう。
現行のトレイルを歩いてみよう。

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距離は大したことなさそうだが、急斜面を上がって行く。
ガレの多い、なかなか歩き応えのある上り道だ。
稜線を跨ぐと反対側に降りて行く。
今度は急斜面をジグザグに降りて行く。
下には山に閉ざされた池がひっそりと佇んでいる。
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そのまま下るのかと思いきや、斜面をトラバースして行く。
すると今度は登り返しさっきの稜線の方に上がる。
そのまま稜線を辿るが、思っていたよりも細かくアップダウンを繰り返す。
出発直後は快適だったがここに来てのスピードダウン。
思うように進めない。
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空腹とのどの渇き。
稜線に上がってから水場がない。
どこも稜線から大きく外れてしばらく降りて行かなければならない。
近くにあるかも知れないと予想していたところもだいぶ離れているようだ。
唯一、まだトレイルから距離が短い水場も、面倒でパスする。
稜線に上がる前に多めに汲んでおかなければ今頃もっと辛い思いをしていただろう。
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疲れ果てて、日陰の草むらの中でうずくまり休憩する。
とても静かだ。
明日にはSeiad Valley に入れる見当がついたので食料は十分食べられる。
しかし、水分がそれに追いつかず、ギリギリのラインだ。
気分も体も重い。
ここまで20mi は歩いたが、残りはまだ10mi以上。
時間はもうすぐ午後3時。
休憩無しで行ったとしても、あと4時間はかかる計算だ。

さあ、行くか。
まずは、a single step
亀の歩みでも前には進める。
正面には、また変わった雰囲気の山がある。
Marble Mountain というらしい。
遠くから見た時はまるで月が積もっているように見える白い岩山だ。
それがシマシマになっているからマーブルというのだろうか。
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歩き始めると、人の声が聞こえる。
若いハイカーが音楽を流しながら楽しんでいるようだ。
別のトレイルから入ってきたのか。
それ以外にも明らかにデイハイキングのハイカーがいる。
地図では確認ができなかったが、きっと近くにTH があるのだろう。
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トレイルは下に見えるMeadow 目指して進んで行く。
いつもは飛ばせる下りも、今の膝ではゆっくりしか歩けない。
小さい橋が架かっている下には待望の水が流れている。
ゴミの多く混じる水だが、本当に貴重な存在だ。

橋の近くには小屋がある。
レンジャーの小屋の様で、解放はされていない。
さっき見かけた若者達がそこで休憩をしている。
通るとき挨拶をしたが、返事は無い。
とても奇異な目で僕を見ている。

道はぐっと歩きやすくなる。
まだアップダウンはするものの、道も良くなり、斜度も緩い。
山をぐるっと回り込むように進むと、今度は黒い岩山が。
Black Marble Mountain というのだが、まあそのままだ。
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この先にまた広い草原が出てくる。
Big Rock Camp という名前が付いているので、やや期待を持つ。
しかし、これといってキャンプできそうな場所も見あたらない。
PCT atlas ではキャンプできるような書き方。
来たことがあれば解りそうなものだが。
Eric the black のPCTスルーハイク“デマ説”が流れる訳だ。
事実スルーハイクは自己申告制。
嘘は幾らでもつける。

向こうから下りてくるハイカーが。
女性で、自分の母親と同じくらいの年だろうか。
アメリカ人は日本の感覚からすると老けてるので、もう少し下かな?
セクションハイカーの彼女は写真を撮りながらゆっくりとハイキングを楽しんでいる。
しばし歓談の後、彼女は南を目指し、僕は北を目指す。

歩きやすいトレイルは続く。
しかし、距離はまだまだある。
急ぎたい気持ちがあっても体は着いて行かない。

一時間くらい歩いた頃に開けた場所に着く。
人の声も聞こえるようだ。
そこは岩のピークに囲まれた、Paradise Lake だ。
キャンプをする広々としたスペースもある。
とても気持ち良さそうだ。
さっき声がしたのはそこでキャンプをしているハイカーらしい。
池に近づいて行くと、とても美しい景色が開けている。
ちょうどここだけ囲まれているので、天気の影響も少なそうだ。
もしかしたらPCTハイカーかも知れないと思い、キャンパーの方に近づく。
立派なテントが3張り。
全員池の方を向いておしゃべりに夢中だ。
どうやら3人とも女性で、スルーハイカーでは無いらしい。
邪魔をしないように静かに歩き出す。

今日もドライキャンプの予定だ。
予定キャンプ地には水があるらしい。
Yogi’s の情報であれば間違いは無いだろう。
必要な分だけ水を汲んで行こう。
足の負担も少しは減らせるはずだ。

少し行くと鞍部に出る。
ここから谷は西と東に大きく別れて行く。
僕は尾根を行くのだが、尾根の取り付きで一休みする。
風が吹いているのだが、寒さはほとんど感じない。
とてもぬるい暖かい空気だ。
体の疲れが風に押し出されるように出てくる。
横になって眠りたい。
弱る気持ちを奮い立たせてもう一踏ん張りする。
毎日20miから25miを歩くことは、疲れるけれど、苦痛では無い。
けれど、日々30mi 近くを歩いて来たここ数日は本当に辛かった。
心身ともに。

体を起こし、今ある全てを背負い、歩き始める。
Big Ridge とそのまんまの名称がついている稜線を北に向かう。
稜線に上がってからは平坦でとても歩きやすい。
稜線のやや西側を道は進む。
平坦な場所は少ないのでキャンプはしにくい。
しかし、点在する緩やかなピークの付近まで上がれば良さそうだ。
とにかく体力が続く限りはまだ歩けそうだった。
もしかしたら、僕はリミッターを少し外せるようになっているのかも知れない。
体はとっくに安全線は越えているのだ。
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さすがに日が落ちて来た。
まだ夕陽には時間がありそうだが、西日が美しい時間だ。
向かいからハイカーが歩いてくる。
こんな時間に!?
どこかで見たことがあるハイカーだ。
挨拶を交わして、彼は南、僕は北へ歩み続ける。
ああ、そうか。South Lake へ向かう途中、Echo Summit 前で会ったんだ。
あの時も遅い時間で、とても小さなバックパック一つだった。
デイハイカーかと思って心配したのだ。
今日の彼も本当に小さいバックパックだけ。
それにまた出会うなんて、デイハイカー、なのか?

PCT の不思議を考えながら歩いていると、無意識にどんどん先へ。
水場を通り過ぎていないかと思い、はっ、とする。
Yogi’s に目を通す。
ハイカーの情報では、水は毎年出ているらしい。
場所は火災の跡地に近いようなことも書いてある。
いったいどこのことなのか。
歩む速度を緩め、付近を観察しながら歩く。
しかし、そんな場所は見当たらず、心配になってくる。

戻って探そうかとも思ったが、そんな場所は無かったはずだ。
少し燃えた後が残る場所の下の方だろうか。
でも急斜面で下りるのは難しそうだ。
なんて考えながら歩いていると先が少しずつ下り始めた。
リッジの終わりに近づいているのだ。
どうしたものだろうか。
少し開けた場所、どうやら小さなMeadow、に出る。
この先はずっと下って行っているのがわかる。
そうなると行き過ぎなのだ。
振り返るとトレイルの脇に小さな紙が見える。
拾い上げてみると、そこには“この先水場”のサインが。
このMeadow の中にあるのだろうか。
そのサインを信じて行こう。
少し歩き出すと、しっかりと付いた踏み跡がある。
それを身長に辿って行く。
途中で足跡は薄くなってくる。
このまま真っすぐ行けば斜面をもっと下りることになるだろう。
横を見ると小さなくぼみがある。
そっちに踏み跡が残っている。

横50センチ、縦30センチほどの小さなくぼみ。
そこには水が、下からだろうか、湧き出ていた。
見る限りとても綺麗な水だ。
不意にかえるが出て来て驚く。
ただ生き物のいる水というのは心なし、安心するのだ。
彼の住処なのだろう。
騒がせて悪いが、少し拝借させて頂こう。
もしかしたら、ここが目的の水場ではないのかも知れない。
でも今の僕にはここの水場で“十分”だ。
とても冷たい水だ。
やはり湧き出ているのだろう。
そして澄んだ良い水だ。

汲み終わりトレイルに戻る。
その目の前には大きな大木が立っている。
いくつかに大きく枝分かれした立派な木だ。
その下には小さなファイヤーサークルと設営スペースがある。
ここで終了だ。
いよいよ世界は茜色に染まり、一日の終わりも近づいている。

稜線直下でオープンスペースだが、大木のお陰で風には吹かれずに済みそうだ。
手早く家を作り、寝床を整える。
時間も遅いのに、なんだか今日は急にそんな気分。
体を拭いて綺麗にしよう。
ぼくはめんどくさがりなので、たまにしかしない。
でも今日は久しぶりに水がたくさんある。
靴下も洗濯する。
体がすっきりとすると心もすっきりする。

やっと長い一日が終わる。
今日は日の出を見て始まり、日の入りと共に終わる。
とても疲れたし、長い一日だが、清々しい気持ちで終わることができた今日に感謝。
しかし、明日の疲れが心配だ。
ああ、体がだるい。



8/9 (Mon) Hiking Day86 / 21&5mi / 6:30am- 1:30pm & 6:00pm-8:00pm(9:00) /NB 1672mi
“Seiad Valley”

朝を迎える。
まったくすっきりしない。
昨日の疲れと休憩不足のせいか、体がむくんでいるように感じる。
気付の高カロリー食を放り込み血糖値が急上昇。
ストレッチをして目を覚まさせる。

まだ青みが残る空の中歩き出す。
現在地は歩き始めてみると自分が正しいのがわかる。
直ぐに標高を下げて行く。
樹林帯に入り景色は見えなくなったが、脇目もふらずに歩いていく。
尾根を一つ跨いでまた標高が下がる。
足が痛い、膝が痛い。
我慢ができる痛さだが、温存できることならしたい。
しかし、下るしかない。
ひたすらに、足の痛みを忘れるように、黙々と歩く。
景色も記憶も留めないように、無心で歩いていく。

樹林は濃く、薄暗い。
急な斜面が続くので、その度に膝がうずく。
どんどん沢が近づいてくる。
また一つ稜線を跨いで越えるとその先に広いスペースがある。
ジープロードとぶつかっているところで、ここはTHにあたるのだろう。
焚き火の跡もある。
しかし、最近はここで人が泊まった形跡はなさそうだ。

道はくねくねと曲がりながら、また別の沢を目指して伸びていっている。
斜度が少し緩くなったお陰で膝の痛みが軽減されて歩きやすい。
つい、早く、と思ってしまう。
焦りは禁物だ。
黙々と粛々と歩こう。

時間の感覚もなく、どれくらい経っただろう。
痛む足をごまかし、心もごまかし歩く。
また道路を横切り、越えていく。進む。
そうしてやっと目の前には一つ目の橋が見える。
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ここからはひたすら谷を北へ北へ真っすぐ歩くのみ。
しかし、斜度がないのでスピードは出せない。
膝への負担が少なくて嬉しいが、精神的に辛くなりそうだ。

小さな沢やガリーの度に縫うように曲がる。
そして上下動だ。
周りの景色は限られた映像となりただ流れていく。
2本目の橋を渡り過ぎる。

ここで休憩をとる。 
橋の桟にもたれかかり休憩する。
空気は、水の流れの影響か、ひんやりとしている。
そして何より嬉しいのは匂い立つ水と木々の香り。
日本では良くかぐことのできる、あの湿った空気の匂いでもある。
本当に久しぶりだ。
太陽はもう上がっているが深い谷なので陽が入らない。
でも気持ちが良い。気持ちが良い朝食を楽しむ。
スタートから約9miを3時間で歩く。
良く歩いた。

そしてまた黙々と歩く。3本目の橋も渡りすぎていく。
本当に長い。
多少のアップダウンはあり、谷底が離れたり近づいたり。
風が巻き起こるほどの勢いで歩く。

その先の地図には書いてある別ルートなんて無く、自分の場所もわからないまま進む。
それで良い。
今はなにも考えないで歩くだけだ。

少し道が広くなり綺麗になってくる。
トレイルは川に当たり橋を越えると、そこはTH のCamp ground だ。
着いた。
といっても町まではまだある。
CGには一組のキャンパーがいるのみだ。
軽く挨拶だけする。
TH のトイレに立ち寄るだけで、直ぐに町へと歩く。

ここからは地獄の車道歩きが6.5mi 続く。
いままで以上に長く感じるつらい時間だ。
舗装路だと足への跳ね返りも強いので歩くのが辛い。

Road Walk は退屈だ。
なにもない道路の上をひたすら歩かなければならない。
ここも例外なく、なにもない。
未舗装の山道を歩いていく。
舗装路に変わってからは家もあり、キョロキョロしながら歩く。
しつけがなっておらずただ馬鹿みたいに吠える犬がたくさんいる家を過ぎる。
道は川にぶつかる。
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Seiad Valley はこの川の対岸で直線距離なら、1miもないか。
しかし、橋はここから2mi以上先。
さらに橋を渡ってから1mi以上ある。
ここで考え始めたら辛くなるだけだ。
川沿いの道の端をとぼとぼと歩いていく。
濡れても良いからどこか渡れる場所は無いだろうか。
渡れる浅瀬は無いだろうか。
しかし、運良くそんな場所を発見することはできない。
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そうこうしているうちに家がたくさん出てくる。
なんとも素朴なかわいい家もあり、アメリカの田舎の良さがある場所だ。
やっとの思いで橋を渡り大きな道路へ。
そこを西にまた橋を渡り町を目指す。

しばらく歩いていくと前方には白い看板が見えてくる。
そこには“Welcome to Seiad Valley”と書いてある。
やっと町に着いたのだ。
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時間は午後1時半だ。
ここには一つのRVキャンプグラウンドとストアがあるだけ。
しかし、それで全てをまかなえる。
キャンプグラウンドにはシャワーとコインランドリーがある。
ストアにはレストランがあり、うまい食事が食べられる。
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時間的にぎりぎりでレストランに間に合う。
ここで昼食が食べられればと思っていたからだ。
それにしても、標高が低い為か陽射しが暑い。
バックパックを日陰に置いてレストランに入る。

メニューはいたって普通のアメリカンフード。
しかし、ボリュームはすごそうだ。
ここの名物はPancake Challenge。
とにかく大盛りのパンケーキを食べる、大食いチャレンジだ。
それ以外にもミルクシェイクも美味しいらしい。
けれどメニューボードには、今日はシェイクができないと書いてある。
元となるアイスが無いようだ。
しかたない、それは諦めてコーラを注文。
それからチキンのフリッッターを注文する。
付け合わせは山のようなフレンチフライだ。
コーラはいつ飲んでも上手い。
この炭酸がたまらない。
食事は見た目よりは普通の味だったがそれでも暖かいものは美味しい。
しかし、ちょっと油っぽくてもたれてしまう。

食事が終わり、隣のストアに向かう。
それほど大きくは無いストアだが、RVキャンプの為にそれなりの品が揃う。
必要十分は買えるということだ。
ここからは二日の行程でAshland へ到着する。
それほど必要は無いのだが、せっかくなのでフルーツでも食べよう。
RVキャンプへ行くとそこにはさっきレストランにいたハイカーがいる。
少しだけ囲われ東屋のような場所がハイカー用に用意されたところだ。
屋外で壁も無いが、テレビがあり、ビデオも見られるらしい。
そして冷蔵庫や電子レンジまである。
これがただで使って良いというのだから、本当にありがたい。

コインランドリーとシャワーを使う為には25セントコインが必要で受付に両替をする。
受付と言ったって、オーナーが一人でやっている小さな場所。
開いていなかったが、呼ぶと大きな体が歩いてくる。
見た目よりずっと優しく、ハイカーフレンドリーだ。
僕が日本人だと知ると、電車が好きらしく、日本に行きたいと言う。
日本にはアメリカには無い、高速電車もある。

大量の25セントコインを持ってシャワーへ。
体をすっきりと洗い流し、そのあとは洗濯の時間だ。
さっき話をしたハイカー達も洗濯をしている。
彼らはセクショナルハイカーでSouth Bound(Sobo)ハイカーだ。
とてもフレンドリーで優しい2人だ。

標高が低いので、陽射しを避けていても暑い。
しかし、こごえることのない気温が、久しぶりに気持ちが良い。
ゆっくり休もう。

2人のハイカーと話をしながら荷造りをする。
Eric the Black は高い割にいまいちだ、なんて話をして笑い合う。
しかし、このコンパクトさで軽い地図は他にないのだから。
すると、ひとりのハイカーが到着する。
彼とは初めてじゃない、Agua Dolce ぶりに出会うハイカー。
懐かしのCrow dog 達と歩いていた一人だ。
名前はShade。いつもサングラスをかけている。

僕はもう少し歩いて先に進んでおきたかった。
Shade とAshland でまた会おうと約束をして出発する。
歩き始める前にストアでコーラの追加とアイスを買う。
本当は浄水剤が欲しかったのだが、売っていない。
ぎりぎりだが間に合うだろうと諦める。
するとレストランのママが“娘が持っているのをあげるわ”という。
甘えついでに、レストランのジャムをもらう。
みんな本当に優しい。
ありがとう。
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Trailhead 付近でキャンプをしようと思っていたが、Sobo ハイカーの勧めで別ルートをいく。
TH よりも手前の道路を北東に上がって行く。
彼らもここから下りて来たという。
しかもガットフックにも会ったというのだ。
元気そうで何よりだ。
彼は僕よりも少し、1日くらい前をずっと歩いているようだ。

道路歩きは退屈だが、あえてするショートカットがどうなのかも知りたかった。
人家がまばらに並ぶ中をゆっくりと歩いていく。
時間は午後6時を回っている。

道は真っすぐに進むだけだが、地図が無いので分岐に迷う。
すると道ばたにメモが置いてある。
それには、ここを歩いたハイカーからのメッセージが書いてある。
このまま真っすぐに進んでいけば良いようだ。

道はどんどんと狭くなり、人の気配も消えていく。
思ったよりも奥の方まで人の家があるのは、どれもサマーハウスなのだろうか。
川が近くを流れているので、暑い時等は楽しいだろう。

いよいよ人の気配は無くなり、人家も見えなくなる。
人工物はこの下の未舗装の道路だけだ。
川の距離を計りながら歩いていく。
あまり離れてしまう前に汲んでおかなければ。
陽は暮れ、谷間はもうだいぶ暗い。

道をそれて下に続く方に降りて行き、ブッシュをかき分けて川に下りる。
もう少し早くしておけば良かった。
思いのほか大変だった水汲みを終えて歩きはじめる。
すると直ぐに、下の方に看板の様なものが立っているのが見える。
さっきのところから奥に行けば繋がっていたのだろうか。
戻る気にもなれず、下りられそうなのでそのまま斜面を下っていく。

どうやらここはキャンプサイトのようだ。
看板には注意事項が書かれている。
ファイヤーサークルもある。
今日はここにしようと決める。

直ぐには気がつかなかったが、蚊が結構多く、いつの間にかたくさん刺されている。
Seiad Valley から5mi くらい歩いたのだろうか。
川へもここからの方が下に下りやすそうだ。
夕食を食べようかと思ったが、あまりにも腹がいっぱいで軽く食べて終わらせる。
そして、おもむろにコーラを飲む。
なんて贅沢なのだろう。

今日は、なんだか忙しい一日で、歩きもそうだが、疲れた。
けれどアシュランドまでもうすぐだ。
そして明日はとうとう“線”を越える日だ。


-"fizzy" Turtle
by hikersdepot | 2012-04-13 23:33 | PCT 2010 by Turtle


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