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Belden, CA to Old Station, CA/ Day95 – 98 Hiking Day72 – 75 / 1293.8mi – 1382.8mi(89.0mi)/ Part3
7/28(Wed) Hiking Day75 / 24mi /6: 30am-3: 10pm (8:40) /NB 1383mi
“Go Flat to Old Station”

あっという間の朝。
眠気が強く残っている。
まだ陽が入っていない谷間は全て青みがかって見える。

周りを見てもテントの数は変わっていない。
チャーリー達のことが気にならなくもないが、仕方ない。
準備を整えて出発だ。

ファミリーキャンパー達の視線を感じながら歩き出す。
谷をどんどん上がりつつ谷に沿って歩く。
下にはドレイクスバッドの温泉プールが見える。
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上がりきって森の中に入って進む。
比較的アップダウンが無く、フラットな感じで歩ける。
少し下って行くと川にぶつかり、ちょうど良いキャンプサイトが見える。
3張りのテントがあり、立ち止まる。
道がわかりづらいがよく見れば川を渡った先だ。
川を渡らなければいけないが、靴を濡らさず渡れるところはなさそうだ。
一つのテントからハイカーが出てくる。
昨日、Ben と一緒にいたハイカーだ。
もう一つ声が。
Fidget が声をかけて来たので、Turtle だよ、と伝える。

起こしてごめんね、またね、と告げて川を渡る。
川を上流に向かって歩いて行く。
とても歩きやすい緩やかなトレイルが続く。
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少しだけ登ると、またフラットなトレイルが続く。
全体的に開けて明るい感じだ。
ペースはほとんど落ちずにどんどん先に進む。
前方に見えてくる湖は、 Twin Lake 。
話し声がするので見ると、キャンプをしているハイカーがいる。
そのまま湖に沿って進むと、またキャンプしている。
景色が綺麗だし、平らなので確かにちょうど良いのだろう。
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湖のほとりに降りて水汲みをする。
遠目で見るよりも、岸にはゴミが多く浮いている。
湖なので仕方がないだろう。
それでも貴重な水源には違いない。

反対方向から歩いてくるハイカーと挨拶をして先へと進む。
湖を過ぎてもまだまだフラットな状況は続く。
歩きやすい時はなかなか休憩時を逃してしまう。
休憩しなくても良いが、後が続かない。
長く歩く為には、休憩はとても大事な要素だ。
向こうからまたハイカーが話に盛り上がっていて、声が大きい。
人に多く会うのは人気のエリアだからだろうか。

彼らとすれ違ったのをきっかけにして休むことにする。
倒木に寄り掛かれるように休憩スペースをセッティングする。
風がとても気持ちよい。
結構良いペースで歩いて来ている。
Hui には追いつけるだろうか、いや多分無理だろう。
あの二人も僕には追いつけないだろう。
お腹いっぱいになったら出発だ。

トレイルはずっとずっとフラットなまま進む。
驚くほど何も無く、驚くほど起伏も少ない。
どのようにしてこの辺りが出来たのかは知らない。
しかし、Lassen Volcanic の名前の通り、火山によって成形されたのだろう。
乾燥した砂埃舞うトレイルを先に先にひたすらに歩く。
時間が長くなれば疲れを感じるのだが、フラットで歩きやすい為、休み時を逃す。
それにしても変化に乏しくだだっ広い。
湿地から流れ出る貴重な清水をしっかりと補給し歩き続ける。
今まで以上に広く平らな場所にでる。
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見えている限り同じ景色。前も後ろも。
永遠とこの森から抜け出られないような錯覚を覚える。
地図を見てみると、Badger Flat と書いてある。
Badger はアナグマという意味以外に、しつこいことを表す。
しつこい程平坦な場所、ということだろうか。
ここの前から同じように平坦だったし、これはこれでなかなか経験の出来ることではない。

やっとの思いで平坦なエリアを抜けると、久しぶりの起伏が現れる。
ずうっと向こうまで高いものが見えない。
ここをゆっくりと下って行く。
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周りは静かで誰もいない。
今日は風もなく穏やかだ。
“ザッ、ザッ”と歩く足音だけがリズムを刻む。
明らかに人工的に作られたジープロードが突然出てくる。

それをいくつか横切って行くと、そろそろお腹が空いてくる。
ちょうど良い木陰で半分横になった状態で昼食を取る。
台地の上が全て僕の“リビング”だ。
時間は2時になろうとしている。
この分なら郵便局には十分間に合うだろう。
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通り過ぎた道路の傍にはキャンプグラウンドがある
ここから傾斜はまた無くなり、ブッシュの多いトレイルが続く。
道路を横切り、歩き続ける。
ゴールが近づいている感触があると、急ぎたくなる。
力を振り絞ってラストスパートだ。

ふとハイカー夫婦と出会う。
彼らはデイハイクを楽しんでいるようだが、僕に話しかけてくる。
“この先はどうなっている?道路は近いかい?”
足が悪いようだがゆっくり歩いて楽しんでいるようだ。
上手く説明できなかったが、地図を見せて大体の場所を教えてあげる。
“ありがとう”
なんだろう、こういうふとしたハイカー同士の出会いがとてもうれしい。

乗馬を楽しんでいる人達に出会う。
トレイルにゲートがあるところを見ると、いよいよ街は近そうだ。
だが、今日ははっきりとした印が無く、32N20という道路だけが情報だ。
標識が運良くあれば良いのだが。

まあまあ整備されたジープロードに出る。
おそらくここで良いだろう。
大体、小さいジープロードには標識があるのはわかっている。
見渡すと標識があり、そこには“32N20”と書いてある。
西に向かって5分くらい歩くとHwyにでる。
ここを南に歩いて行くと、Old Station の“街”に着く。

ここも、街と言うよりは集落に近い。
正しくはここより少し北のもう少し大きな集落がOld Stationだ。
しかし、POはこちらにあるのでハイカーはここに用がある。

建物が見えてくる。
手前には小さなストア。
昔はガソリンも売っていたようだが、今は形だけがある。
ストアの前には小さなテーブルとベンチがあり、休憩にちょうど良い。
その隣には小さなPost Officeが立っている。
裏手にはHat Creek Resort がありコテージがあって泊まれるらしい。
今日は泊まる場所を考えていない。
ここのコテージで泊まるのかキャンプするのか。

とりあえず荷物をストアの前に置いて、POに向かう。
POは人が三人入ったら一杯のスペースだ。
声をかけて顔を見せた人は、アジア人に少々驚いているようだ。
僕の荷物をリクエストしている間に脇にあったハイカーレジスターを見てみる。
その中には、すっかり先に行ってしまったハイカー達の名前がある。
みんな元気にしているだろうか。
ガットフックの名前もある。前日に来ているようで、もう会えないだろう。
と、POの扉が開いてガットフックが入ってくる。
“Why!!! Guthook!!”
思わず大きな声が出てしまう。
そっちこそどうして、とガットフックも驚いている。
彼の脇から入って来たのは、小柄な彼よりも大きな女性だった。
彼女は僕にGood Footと名乗る。

ガットフックと一緒の僕よりも大きい女性はトレイルエンジェルだという。
直ぐ近くに“The Heitman”というトレイルエンジェルの家がらしいのだ。
全然知らなかった、というか、あまり考えもしなかった。
ガットフックはそこでZero Day を取り休息していたようだ。
カレは大体お金のかからないTrail Angel の家では積極的にZero を取る。
賢いヤツだ。

一緒に行かないかと言われたが、ストアで買い物をしたいので断る。
とりあえず何か食べたいし、何か飲みたい。
彼女は笑いながら理解してくれる。
“用事が済んだら、ストアから電話してくれれば直ぐに来るから”
と、二人は出て行った。

僕はストアに向かい中に入ってみる。
こじんまりとした店の中は意外と綺麗だ。
品揃えは豊富ではない。
特にハイキングのホットミールに出来るようなものはなさそうだ。
それでも、コールドミールを中心にするのであれば十分。
スナック類は豊富に揃っている。

奥にはスナックコーナーがあり、ハンバーガーが食べられる。
とりあえずメニューを見てみると、ミルクシェイクもある!
コーラも飲みたいし、どうしたら良いんだ!
Oh my gash!
と嘆くほどでもない。
両方いただけば良いのだから。

さすがにハンバーガーはやりすぎの気がするので、タコスにしよう。
それから、チョコレイトシェイクとコーラ。
外のテーブルにざっと広げ、のんびりと午後の陽射しを楽しむ。
チャーリー達はまだだろうか。
どれくらい遅れで歩いているのか。

あっという間に平らげ、またストアの中に。
ちょっとスナックを買い足してから、店員の人に電話をしてもらう。
それから直ぐにGood Foot の車が来る。
よっぽど近いのだろうか。

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車に乗り込んでから5分もしないで、“The Heitman”に到着。
母屋の他に、母屋より大きいガレージが見える。
既に何人かのハイカーがいるようだ。
その中には、PCTA(※1)のFreefall がいる。
Kick Off Party にも顔を出している、ちょっとした有名人だ。

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Hui もやっぱり先に到着していて、木陰で食料の仕分けをしている。
ひょっとしたら先に行っているかもと思ったが、Trail Angel は外せないらしい。
“いつ出発予定?”とHui に聞くと、“ああ、たぶん、今日の夜かな”と答え。
Good Foot がざっと施設の紹介をしてくれる。
奥に広がる庭には、なんとTree House がある。
ちょっと興奮するなあ。

ガレージにはPC、シャワーと洗濯機がある。
初めて会うPCTハイカーのピクルスという女性がいる。
一人で歩いているというが、真っ黒だ。
PCTハイカーといえ、日焼けを気にする女性が多い中、若いのにすごい。
タオルや着替えも用意してあるので、お言葉に甘えて借りることにする。
このところ頻繁にシャワーを浴びられるので清潔だ。
やっぱり毎日浴びても悪いものではないな。

シャワーのあとは洗濯。それから食料の仕分けをしなければ。
どこでしようか、どこに泊まろうか。
ツリーハウスの前にはテントも張れるし、
室内で寝てしまう手もある。
ツリーハウスの内部を覗くとなかなか良さそうだ。
二段ベッドにはガットフックのものらしき荷物が。
小さなテレビと映画のビデオテープがたくさん置いてある。
ここが良さそうだ。

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ツリーハウスの下には椅子とハンモック。
そこで荷物を広げよう。
と、車が入って来たのは新しいハイカーが来たのだろうか。
行ってみると、チャーリーとジョーのご到着だ。
二人とも笑顔で楽しそう。
ミルクシェイクの話をしようとすると、その手には既に握られたカップが。
“もちろんさ”と、したり顔のチャーリー。
お見それしました。

二人が案内されている間に僕は片付けに戻る。
この辺りの区間は意外に食べるところが多く、食料が減らない。
嬉しいことだが困ることでもある。
大分余っているので、ハイカーボックスにと思ったが、
きっとガッツフックもジョーも欲しがるだろう。

ここから次の補給までは4.5日程度か。
しかし、予定ではバーニーフォールでチャーリーの荷物をピックアップ。
そこのストアでもいろいろ食べられるだろう。
ここでも大幅に食料が余りそうだが、その分食べてしまおう。

今日も天気が良くて暖かいが、乾燥しているので木陰は涼しい。
さっきBen とFidget も来て、今日もたくさんのハイカーでにぎやかだ。
おっつけトレイン達も来るだろう。
各自作業も済んで、自由な時間を過ごしている。
ディナーまではまだ時間があるので、のんびりとしよう。

母屋のテラスに座ってみんな話している。
僕もそこに座り話を聞いてみる。
こういったのも英会話の上達につながる。
みんなの話題の一つは、明日越えることになるだろう、Hat Creek Rim。
Rim の意味は縁(へり)だが、自然のリムというと絶壁を有する溝やへりのことを言う。
地図で見てみても異様なほど等高線が密になっている。
それだけ急斜面と言うことだ。
Rim の頂上と下とで300mくらいの高さがあるのだという。
この辺り一帯は火山地帯で地盤がもろく、長い年月をかけて水で削られたのだろう。
大地の記憶というものか。
これがほぼ一日の行程という長さに加え、水が全く無いらしい。
ここをどのようにクリアするのかが問題だ。

それからもう一つの話題は8月の最後の週末に開催される、PCT Days!
しかし、今ここから開催地のCascade Locks の街まではぎりぎりの時間だ。
ほぼ休み無く歩いて、かつ一日25mi平均といったところか。
体への負担をかなり強いなければ厳しい状況だが、諦める必要も無い。
前向きにできる範囲で歩いて行くしか無いさ。

夕飯まではもうしばらくあるらしい。
チャーリーのレンタカー探しを眺めてたり、ガレージで過ごしたり。
Firewood はここHeitman を作った人物。
奥さんはあまり表には出てこないが、彼はとてもFriendly だ。
もともと建築関係の仕事をしていたらしく、だからツリーハウスもお手の物だ。
とても有名な建物も手がけたらしく、チャーリーが驚いていた。

夕食前になって誰かが来たと思ったら、Warner Spring Monty だ。
また会ったというか、一体何者なんだ。
彼は各地に出没してはハイカーをサポートしてくれる素晴らしいトレイルエンジェルだ。
しかし、それにしても出没率が高すぎるのではないだろうか。
もう一人、“Pickles”もKick Offで見かけたTAだ。

Train やSun Seeker も到着したころ、やっと夕食が始まる。
もちろん夕食が出るトレイルエンジェルは普通ではない。
それだけ負担が増えるのだから。
だからこそ、ありがたく感謝しなければ。
また、あとのハイカーの為にドネーションは欠かせない。

トレイルエンジェル達が用意してくれたのは、ブリトーを中心とした料理だ。
“料理を食べる前に手を洗って!”とお母さんみたいなGood Foot。
みんなテラスのテーブルに座り、夕食のスタートだ。
今日は続々とハイカーが集まって、セクションハイカーも加わり、本当に楽しい。
一日の最後の夕食が素晴らしいものになって、幸せだ。
テーブルにあるアルバムにはたくさんのハイカーの写真がある。
顔を撮っとかないと忘れちゃうから、と奥さんが言う。
みんなそれぞれおかわりをするとあっという間に食事は無くなっていく。
今日出て行こうかと言っていたHui も夕食につられ滞在を決めたようだ。

今日はまだまだ時間がある。
明日は早くはない。
Hat Creek Rim を越えるのに早朝から歩くことにしたからだ。
明日はのんびり過ごし、Subway Cave など観光して過ごす。
そのあと、トレイルヘッドまで行ってそこで早めに就寝し、翌早朝出発の予定だ。

チャーリーはレンタカーが見つからず、Dunsmuir からAmtrakで行くことにしたらしい。
ジョーは、兄のダニエルを待つかどうかを悩んでいる。
このまま進んでしまうと、その距離はいつまでも縮まらない。
でも、ジョーは僕達と一緒に進みたいらしい。
“待てないのか”とジョーに聞かれる。
待てるものなら待ちたいが、そうも言ってはいられない。

僕はツリーハウスの中で寝ることにする。
ガットフックは“ネズミに気をつけて”と言う。
食料はしっかりパックライナーに入れて口を締めておこう。
チャーリーとジョーはどこかに寝床を見つけているようだ。
昼間の暖かさが嘘のように冷えてきた。

それぞれの道への別れが近づいている。
でもその先には一人一人の光が見えると信じよう。

※1 Pacific Crest Trail Association の略

-"easy"Turtle
by hikersdepot | 2011-12-07 22:50 | PCT 2010 by Turtle


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