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Tuolumne Meadows, CA to South Lake Tahoe, CA / Day76 – 82 / PART 1
7/5(mon) Hiking Day 55 / 14mi /12:45pm-6:00pm (5:15)
“Restart to The North”

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なんだろう、このうるさい鳥は。
そして騒がしい車の音。
考えてみれば、道路脇にあるのだから仕方ない。
近くでは大声でアジアの言葉が飛び交っている。
日本人はいないが、他のアジア系の人達が多いのには驚く。
とくにここのキャンプ4にはだ。

良くこんなにお腹がすくものだ。
素早く撤収をする。
ネヴェは、まるでカンガルーの子供のように寝袋にくるまっていて、かわいい。
ローランドファミリーと一緒に朝食を食べに行く。

朝から食欲はおう盛だ!
ネヴェはまねをしたい年頃なのだろう。
チャーリーや僕がエッグを食べると、自分も食べたがり、
フルーツを食べると、フルーツを食べようとする。
抱きしめたいほどかわいい。

ヨセミテロッジでバスのチケットを買い、8:20am、無事トゥオルミに向けて出発だ。
中には何人ものハイカーの姿が見える。
そのほとんどがデイハイカーらしく、僕たちは異様な姿だ。

バスに乗り込み揺られていく。
途中停車した場所で外に出てネヴェと遊ぶ。
リニイに、彼女はあなたの事が好きになったみたい、と言われた。

本当はバスからの景色を見て過ごそうと思っていたが、夢の中に。
気づいたら、もうすぐトゥオルミの近くだった。

急に三人と別れる事となる。
ローランド達はバンクーバーに住んでいて、PCTが終わったら遊びに来てほしい、言ってくれる。
お互いの連絡先を慌ただしく交換して別れた。
彼らは、トゥオルミロッジから入り、ドナヒューパスを越えて、レッズメドウを目指すようだ。
ハプニングから生まれたが、とても良い出会いだった。

トゥオルミのストアの前で下車した僕たちは慌ただしく準備に入る。
ストアのポストオフィスで食料をピックアップする。
必要なものを買い足し、急いでパッキングだ。

観光の夫婦に声をかけられる。
PCTの事は知らないようで、簡単に説明をする。
あなた達は見るからにベテランね、と言って大荷物のハイカー達を指差す。
まあね。と自慢げに僕たちは笑う。

ここからまた一週間の旅が始まる。
なんて、Too Much! 、な食料なのだろう。
必要だから背負うしかない。
体の蓄えが無くなってしまったのか、最近の食べる量は尋常じゃない。
それでもなんとなくホットドッグを腹に詰め込み、準備を整える。
さあ、再び北への旅の始まりだ。

また道路を進み、少しだけJMTを通る。
その後PCTに進路を取り北へと進んでいく。

バケイションのシーズンだけあって、デイハイカーの姿も多く見かける。
親と一緒の若者は少し恥ずかしそうに下を向く。
思春期なのだろう、日本もアメリカも一緒だ。

トレイルには雪のかけらも無くとても歩きやすい。
さくさく簡単に歩いていける。
今日も岩と水が美しい景色を作る。
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上から三段で流れる豪快な滝に出会う。
Tuolumne Falls だ。
水しぶきが遠くまで風に運ばれてくる。
この暑い陽射しにはちょうど良いクーリングだ。
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下まで降りると大きな釜の前は広くなっている。
滝を見ながら腰をかけしばし休憩をする。
何人ものハイカーがいる。
中には大きい荷物を背負ったハイカーもいる。
これからどこを目指して行くのだろうか。
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たくさんのハイカー達とすれ違いながら僕たちは先を急ぐ。
今日は昨日のハプニングで少し出遅れてしまった。

Glen Aulin Camp はとても綺麗で広々とした場所で良いキャンプサイトだ。
トゥオルミからここまで来てキャンプするだけでも十分楽しそうだ。
今日は泊まれないが、いつかまたここに来たいと思う。
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ここを過ぎるとぐっと人影は少なくなり、またPCTハイカーの世界となる。
トレイルは単純になりひたすらに北に向かい伸びている。
チャーリーはぐんぐんペースを上げていく。
僕はいつもどおりに歩いていく。
緩やかに登り下りに入る。
しばらくして前方には湿原、Elbow Hill が広がり美しい景色だ。
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ちょうど小さな川が流れていて、水を汲む為に立ち止まる。
チャーリーに声をかけるが無視されてしまう。
夢中になると他が見えないチャーリーだ、仕方ない。
ところがそうで無かったようだ。
気がつくと体中に蚊がたかっている。凄まじい量だ。
今年は雪の多さからか、JMT区間ではそこまでの多さでは無かった。
しかし、ここは今までとは桁違いの量の蚊が飛んでいる。

水を汲むのもそこそこにすぐに歩きはじめる。
歩いていれば大丈夫かと思うとそうでは無かった。
アメリカの蚊は刺されてもそこまでかゆくは無い。
しかし、大きく、針が太いのか、チクッと痛い。
そして攻撃的でどんどん体当たりしてくる。
そのうち、運良くひっかかったものはところ構わず刺してくるのだ。
それが歩いていてもだ。

最強の虫除け、100%ディートを用意しているが、それを使う間もない。
そしてあっという間に十カ所近く刺される。
チャーリーが僕を無視して行ってしまった理由がわかった。
とにかく逃げよう!すぐにここから離れなければ!

疲れた体がこんなに動くのかという位の早さで湿原を突っ切って行く。
森に入ってもまだ追いかけて来ている。
いや、その様な気がするだけなのかもしれない。
襲われる恐怖感に、ただ歩き続ける。

小さな丘を越えた辺りでチャーリーに追いつく。
すごかったな!
開口一番、二人とも同じ事を言う。
下手なホラー映画よりもよっぽど恐ろしい体験だった。

トレイルの分岐を分けて少し進むと川に当たる。
Yogi Book によれば、Dangerous Ford と書いてある。
もう少し歩ける時間だったが、ちょうど川の手前に良いキャンプサイトを見つける。
チャーリーが終了したいと言う。
この時間に徒渉で服を濡らしたく無いと。
もう少し歩きたかったが、チャーリーは完全終了モードだ。

ここにも蚊がいたがさっきほどではない。
しかし蚊取り線香で魔方陣を描き防御する。

と、ハイカーが来た。
Glen Aulin の近くですれ違ったハイカーだ。
彼は、Sun Seeker 、PCTハイカーだ。
僕もここで寝ていいかい?と聞くので。
Off Cause! Go ahead!
と仲間が増えた。

三人で焚き火をして時間を過ごす。
彼はヘビースモーカーだ。
そしてものすごく汚い。
コットンのぼろぼろのシャツ。
コットンのぼろぼろのパンツ。
コットンの変色したキャップ。
ぼさぼさの髪。
ぼうぼうの髭。
安っぽいテント。
ぼろぼろのバックパック。
まさに、Hiker Trash!

まだまだ先は長い。
亀のように歩いて行こう。
人里から山へ。戻って来た。


7/6(tue) Hiking Day 56 / 21mi /6:30am-7:00pm (12:30)
“First Storm”

湿った朝だ。
珍しく結露している。
川の側という事だけではなさそうだ。
嫌なスタートだ。

Sun Seeker はのんびりアメリカンハイカーのようだ。
僕たちが出るときにはまだ寝ているようだった。

いきなりの徒渉から。
危険だと書いてあった割に水量もそこそこで、今の僕たちには何の問題も無かった。
はずだった。

川に入り、慎重に進む。
ちょっとポールを突いた。
そして進む。
またポールを突く。
なんか変だ。
ポールが折れていた。
全く意味が分からない。
なぜ折れた。
負担もかけていなかったのに。
驚き、絶句。

チャーリーに借りたものだっただけにショックだ。
だが、こんな事は、もう慣れた。
さあ、先に進むしかない。

片手ポールは自由度が高いが、体のバランスを崩してしまう。
それが心配だったが、なるようにしかならないだろう。

山を上がり歩いて行くと、樹林の中にはまだ雪が多く残っている。
前方にハイカーが二人いる。その姿に驚く。
雪道をEVA一体フォームのサンダルで歩いている。
もう一人はスポーツサンダルだ。
スポーツサンダルは良しとしよう、裸足はないだろう。

立ち止まって話を交わす。
いままで履いていた靴が足に合わなかったようだ。
途中のハイカーボックスで拾ったサンダルで歩いているという。
そんな彼らもPCT ハイカー。
意外と計画無しの人が多くてびっくりだ。
今まで会ったハイカーのどのタイプでもない。

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彼らを追い抜いて先に進む。
Miller Lake を抜けて、急斜面を上がっていく。
谷に入る頃からまた雪の姿が多くなる。
もう正直雪はお腹いっぱいだ。
と愚痴を言ったところで、進むしかないのだ。

雪解けはかなり進んでいてあともう少しなのだろう。
淡々と登って上がると先が開けて来る。
Pass というには今までと比べてかわいすぎるが、Benson Passに着いた。
ここでも10000feet越えだ。
それでも森林限界下なのに、改めて砂漠気候を実感。
何人かPCT ハイカーがいる。
Kiwi達のグループとマウンテンゴートだ。
ヨセミテでぐずぐずしているうちに追い抜かれてしまっていたようだ。

JMTの区間と違い、谷はだいぶ小さくなっている。
ダイナミックさがなくなった分、雪は減ったが、地形は複雑になっている。
谷底に向かって降りて行く。
樹林が濃くなれば雪も多く、道がわかりにくい。
現在地チェックにチャーリーのGPSを使うが、地図が無い。
JMT区間の地図しかGPSに格納していなかったのだ。

ないからと言ってどうもこうも無い。
コンパスと地図で十分。
チャーリーが向かおうとしていた方向は検討違いでなんとか修正。
9000fettを切ると雪が無くなり快適なハイキングを楽しむ。
少し怪しい黒い雲がかかっていたが動きは早く無い。
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Benson Lake の分岐の前の川を越え、倒木を潜る。
一人のハイカーが座って休憩している。
彼は、Lone Ranger、で年は60を過ぎているのだろう。
Lone Rangerは、アメリカの西部劇の主人公で、チャーリー世代のヒーローだ。
このハイカーがヒーローかは別の話だが。

この辺りはちょうど谷底の湿地のような場所で、いままでと違い苔むしていた。
ご多分に漏れず、蚊もいっぱいいるためゆっくり出来ない。

とりあえずもう少し先まで行ってみる。
ここからは今日二つ目のパスへの登りとなる。
ちょっと上がった先で休憩をする。
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ローンネンジェル(発音に近い読みにしています)はステディに先へ。
陽射しを受けてのんびりとツェルトでも干していたが、さっきの雲がどんどん近づく。
これはくるな、と直感。チャーリーも同じく思ったようだ。

すぐにまとめ歩き出す。
まずは雨が避けられるようにどこか探さなければ。
立ってすぐに降り始める。
雷鳴も響いて来た。ストームが来る。
一気にその勢いは増して、大粒の雨が落ちてくる。
周りは岩ばかりで隠れられない。
谷を上がるトレイルが脇にそれると、壁際には木々があり避難。
ちょうど良いくらい隠れられる場所がある。

ここで雨宿り、そう思っていた。
しかし、アメリカの、いや、高所登山の、というべきか。
雨やストームが来たら、すぐに停滞・キャンプが普通だとチャーリーは言う。
もしくは、動き続ける。
たしかに、ただ闇雲に停滞は体を冷やすし、意味が無い。

降る雨はいよいよ強さを増し、徐々に変化をしてくる。
白い大粒の塊は、雹(ひょう)だ。
パチンコ玉より大きいのもあり、当たるとものすごく痛い。痛い!
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マウンテンゴートがびしょ濡れで上がってくる。
チャーリーが、どうするのか、訪ねると、もう少し歩いてみると言う。

雨と雹は収まる気配が無い。
チャーリーはすぐにでもテントを張って暖まりたい。
僕はじっと待つ。
確信があった訳では無かったが、きっと止むと思っていた。
急に発達したし、風も強いので、上がる時も早いと感じていた。
いらだつチャーリーに、時計を見て、降り始めから30分以上経った。
あと少し、一時間待ってくれと頼む。

体が冷えて寒い。
でもあと少しで、止む。

一時間経つ。雨は、小降りになる。
黒い雲もやや薄くなり、明るさが増して来た。
向こうの空には雲の切れ間。
行ける。すぐに出発だ。

まだ雨は降っていたが、歩く妨げになるほどでは無い。
マウンテンゴートがタープを張っていた。
彼はここで終了の様だ。

今回は僕の判断が正しかったということにしよう。
まだ雨は残るが陽射しが出て来て暑くなってくる。
スイッチバックで斜面を上がる。
苔の多い蒸したトレイルだ。
岩が多くを占め、見晴らしが良くなってくると、池が見える。
ずいぶん標高の高いところにある池だ。
Sparkling Pondというが、泡は立っていないようだ。

池を巻いて通り過ぎ、少し進むと小さい池がある。
Seavey Pass に着いた。また一つパスを越える。
充実感を味わう間も無く、時間に追われるように降りはじめる。
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雪も無く快適に降りられると思いきや、急斜面にはびっしりと雪が着く。
Kerric Canyon への降り口は狭く深い谷だ。
進路を一気に西に取り、川沿いに進むが、平地は全くない。
雪の着いた急斜面をトラバースするしか無いようだ。
結構神経の使うトラバースで、雪解けも進んでいるせいで、ポストホールも怖い。
時間もなく、谷は暗く、気持ちは先へ、歩みは遅い。
雪と岩を交互に歩き進む。
岩は崩れやすく、落ちたら激流に一直線だ。
雪はグリップも効かず、ステップも切れるほど軟らかく無い。
ずるっ、と滑り、少し下に落ちるがなんとかストップ。
一本しか無くなったポールを大事にしよう。

雪が切れてトレイルが現れる頃には斜度は緩やかになってくる。
今度は樹林帯を進むが、やはり雪が邪魔をしてスピードが出ない。
岩の隙間にキャンプするハイカーに出会う。
この先は雪が少ないと言うので、もう少し先にいく事に。
今度は僕たちがキャンプサイトを探す番だ。
谷のトラバースでは開けた場所も見つけにくい。

もっと先の徒渉ポイントまで足を伸ばしたかったが、チャーリーの顔は終わらせたがっていた。
ちょうど水の流れるクリークの場所に来ると、開けた明るい場所に出る。
フラットでキャンプにはちょうど良い場所だった。
時計を見ると、時間は7時になっていた。終わろう。

日暮れ前には食事にありつくことができる。
岩陰に風を避けながら二人よりかかり今日を振り返る。
めまぐるしい天気に翻弄されたが、刺激的な楽しい一日だった。
また一つ先に近づく事が出来た。

谷間から見える空には月が浮かんでいた。


7/7(wed) Hiking Day 57 / 23mi /6:30am-6:15pm (11:45)
“One Thousand”

あっという間に朝が来る。
また今日もいつもの時間だ。
Let’s go happy hiking!

道は緩い下りで簡単に歩ける。
こんなことなら昨日のうちにと思うが、そう上手く行かないものだ。
道がBear valley trailの分岐を分けると目の前には、Kerric Canyonにぶつかる。
脇のキャンプサイトには、ローンネンジェルの姿が。
昨日のストームの時にはPassの近くにいて、そのまま止まらずにここに来たそうだ。
僕たちが来ると思っていたそうだ。
まだ撤収を終えていないので、先に徒渉ポイントを見に行く。
トレイルに沿ってストレートに行くのは難しいそうだ。
見るからに腰まではありそうな水量と流れの速さだ。

いままでと違うのはとにかく木々が多い事。
上手いこと、大きな倒木がかかっているのが見える。
岩場をトラバースして少し上流に向かう。
遠くから見るよりは、細く不安定そうな足場だ。
滑りそうで恐ろしい。
いざとなれば跨いで渡ればなんとかなるだろう。
ローンネンジェルが追いついて来た。
彼は、怖くて渡れないと言うが、チャーリーが叱咤激励する。

距離も高さもそれほどある訳では無い。
渡ってみると、思いのほか簡単に渡れた。
チャーリーもすいすいと歩いてくる。
ローンネンジェルもトレッキングポールを突き、バランスを取りながら
なんとか渡ってきた。
そこからトレイルは山を巻くように上がる。
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見知らぬPCTハイカーに出会う。
名前は忘れてしまった。
若いのか若く無いのかわからない風貌と落ち着いた雰囲気を持ってる。

彼を追い抜き先にすすむ。
トレイルが降りたところには、また川が流れている。
美しい流れだ。
強い流れでは無いし、深さもそこまでは無いようだ。
とはいえ腰まで浸かってしまいそうなので浅瀬を探して渡ろうとする。
その隣をずかずかとチャーリーが進んでしまう。
声をかける前に腰までいってしまった。
チャーリーのバックパックの腰ポケットにはカメラ、もちろん防水では無い。

対岸に渡ってチェックしてみたが完全に水没したカメラは動かない。
スイッチを入れるとショートしてしまうから駄目だというのにスイッチを入れようとする。
たぶんもう駄目だろう。

谷に降りては登る。
また登りとなり山を上がって行く。
今度は岩山をぐんと標高を上げて行くようにトレイルは伸びて行く。
標高は全体的に低く、9000feetより上にならないので雪が無い。
景色もそっちのけでとにかく歩く事に集中だ。
途中休憩を挟むが今日もストームの予感、先を急いで行く。

山を降りてまた谷を歩いて行く。
トレイルの分岐を過ぎ、いくつかのクリークを越えて行く。
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大きい谷のうねりに沿ってトレイルは進む。
キャンプに良さそうな湖の周りには日陰が多いせいか雪も見かける。
珍しくPCTハイカー以外に出会う。
そういえば昨日も会ったが、この辺は入りやすく人気のあるトレイルなのだろう。
レンジャーステーションが建っているところからはまた分岐が伸びている。
立派なレンジャーステーションを横目にトレイルは谷に沿うように北に向かいはじめる。
長い大きい谷だ。水も豪快に流れて行く。
トレイルは水の影響でぬかるみ、所々は浸水し、深くえぐれている。
細かいアップダウンを繰り返しながら徐々に登っていく。
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陽射しは暖かく気持が良い天気だ。
昨日も途中までは良かった。
空には怪しい雲がまた出て来ている。

さすがに疲れたので開けた場所を探し、ツェルトを干しながら食事の時間を取る。
今日もなかなか休む間がなく疲労の蓄積を感じる。
ゆっくりと昼の休憩を取り、体を休めよう。

ふたたび歩き出す。
ひたすら単調なトレイルを進んでいくのでやや飽きて来た。
贅沢なものだ。
なんだかさっきから臭いがするので気になる。
シンナーのような臭いだ。
あっ!バックパックを下ろして、見てみると、靴の補修に使った接着剤が漏れていた!
ボトルポケットは接着剤でべとべとだ。
まあいいか。それくらい。
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単調なトレイルは急に大きな湿原へと入って行く。
Grace Meadow という名前がついている。
あいにくの怪しい空だが、それでも優雅で美しい名前通りだ。
もう少しすると、ここもお花畑になるのだろうか。

だいぶ上がって来たようだ。
正面には壁のように、最後の登りが待っている。
9000feetを越えると雪の領域が多くなる。
Dorothy Lake にさしかかる頃には、グシャグシャの雪の中だ。

とうとう雨が降って来た。
昨日と同じで雹も混じっていて痛い。
空は真っ黒な雲に覆われている。
とりあえずレインウェアを着る為に木の下に避難。
風を伴う雨は容赦なく体を濡らす。
光とともに雷が音を響かせる。
体を揺らす、大いなる自然の力だ。

チャーリーは、今日は待てない、と言う。
僕も、今日は歩き続けた方が良い、と言う。
ローンネンジェルも、歩き続けよう、と言う。

雪の上なのか、湖の中なのか、わからないくらいぐしゃぐしゃなトレイルを湖に沿って行く。
恐ろしい音は僕たちを追いかけるように鳴り響く。
雹は体に打ち付けてくる。
これからPassを越えなければならない。
出来たら追い抜いて欲しいものだ

最後の登りは、道はわからないが、小さな沢を登り詰めるだけだ。
登る手前、ちょうど雪が切れているところに石で文字が書いてある。
“1000 mile”
そう書いてあった。
気づかなかった。そうか、1000miを越えたのだ。
とはいえ、これはPCTハイカーの多くが使う、PCT Atlasでの値だ。
公式にはもう少し先のようだ。
雷雨の中、記念写真を撮る。
あと、1650mi。
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パスまでは直ぐに着いた。
雨もだいぶ収まり、雷は遠くでまだ音を響かせている。
パスについて眺める景色は一面の雪。
まだ付き合いは長いようだ

今までの経験上トレースは頼りにならないので、だいたいの方角で進んで行く。
トレイルはほんの少しだけ顔を出している。
それをチェックポイントにして歩いて行く。
リッジまで来ると下に、Lake Harriet が見える。
まだまだ雪がいっぱいの様だ。

Lake Harriet くらいの標高でキャンプをした方が、蚊に苦労しない。
それを考えて、本日のキャンプサイトとして考えていたが、雪で覆われている。
チャーリーはどうせなら降りてしまおうと言う。
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適当にバラバラと雪の斜面をヒールキックしながら降りる。
9000feet より下で雪はほとんど姿を消す。
快適なトレイルは蚊によって支配されていた。
しかし、キャンプサイトを探すしか無い。
周りを見ながら先へと進む。

Cascade Creek のfoot bridge を渡る。
この辺りが公式には1000mi という事になるが何も無かった。
この辺もキャンプサイトに良いと書いてあるが、良さそうなところが見当たらない。もう少し先まで行ってみることに。

そうして歩いていたら、トレイルの分岐まで来てしまった。
どうしようか、とチャーリーとローンネンジェル。
僕はトレイル横の崖を見る。
5mくらいの高さを登ったら平らになっているような気がして登ってみる。
すると、三人が十分にキャンプをできる場所が広がっている。
水も、流れは弱いが、近くにある。
Good job!
ただし、蚊はすごい。

まずヘッドネットやウィンドシャツを出して、刺される場所を無くして行く。
手際良く幕を設営して、水汲み、食事とこなしていく。
見上げた空は薄くオレンジ色に染まり美しい。
嵐は完全に去ったようだ。

Lake Tahoeまではまだ長い。
どうやらこの旅最長の無補給になりそうだ。
まあ良い。
歩こう。
また明日も。
明日は蚊がいなければ良いなア。


-"easy"Turtle
by hikersdepot | 2011-08-09 12:37 | PCT 2010 by Turtle


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