「ほっ」と。キャンペーン
Snoqualmie Pass, WA to Dinsmore’s / Day145– 147/ Hiking Day116- 118/ 2402.8mi-2476.6mi/ 73.8mi/②
9/15(Wed) Hiking Day118/ 25mi/ 6:40am- 6:20pm (11:40) /NB 2477mi
“Another Hiker Heaven

 久しぶりにドライな朝を迎える。今日はテント内にも結露がない。久しぶりだな。天気はまずまずだろうか。

 長い一日の始まり。昨日の下りの続きを順調に歩く。トラバースのトレイルなので特長の少ないトレイルだ。反対側の稜線と谷が見えていることくらい。単調に行くのかと思いきや、そう簡単には行かないところがハイキングじゃあないか。
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 大きな登りや下りはないのに、ちょこちょことGapやPassを超えていくのだ。そのどれもが急登、急下降なので、思いの外体力を削られていく。救いは今日も良く見えている先の景色。遠くそびえるあの山はGlacier Peakだろうか。あそこまであと少し。もう少し。崩れた岩が散乱する草原。白い岩と緑のコントラストが美しく思う。行けども行けども距離は思うように伸びていかない。Glacier Lakeが見えるころ、疲れ果てて休憩。ぐったりだ。ちょうど見晴らしの良い場所があるのでバックパックを背もたれに横たわる。
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 休息で気分も変えて再出発。下からはアウトフレームのバックパックを背負った若者達が上がってくる。父親のものを借りたのだろうか。それともThrift Shopで買ったものかな。コットンTと短パン姿はこれぞアメリカンハイカーといったもの。

 空には雲が増えて来た様だ。標高が下がるとまた雰囲気が変わる。森の中を歩くが、中途半端なトラバース道に比べたらこちらの方が歩きやすいし、楽しい。どうやら僕は森歩きが好きなようだ。自分でも思ったことはなかったけど、どうやら僕は結構真面目に野外活動と向き合うようになっていたらしい。いつの間にか自分が変わっていたのかも知れない。だからこそ、何の利害関係もなくこの文化に寄り添っていたいという気持ちが大きく膨らんでくる。とても矛盾する気持ちが渦巻く。でも今は深く考えるのは止めておこう。今すべきはハイキング。歩くことだ。
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 振り返るとこの区間は人工物が少なく、ほとんどジープロードなどとも交差しない。それゆえの人気トレイルだからほかのハイカーも見かけるのだろう。そんなことをぼんやり考えていたら、デイハイカーが向かいから歩いてくる。シルバーの髪が綺麗な年配の女性が目立つ。3人の女性グループだ。
“こんにちは”
“どうもこんにちは”
そのまま通り過ぎようと思ったらむこうから話しかけてくる。
“あなたはPCTハイカー?”
“そうだよ。”
“Wholeで歩いているの?”これは定番の質問だ。
いつもの感じでいろいろ話すがおばさまがたが集まっているので、質問攻めに合っているように次々に聞かれる。するとその内の1人のおばさまが、
“これ食べなさい。”とミニトマトと青リンゴを出してくる。おぉっ!生もの!!と心の中で声を発する。もちろんありがたく頂くしかない。
“Thank you so much!!!”
びっくりするほど美味しいトマトだ。それを伝えると、これはHomemadeで彼女が作っていると言う。とても気持ちも入っているのだ。それをくれることがうれしい。
“きっとこれから雨になるけど、もう少しだから気をつけてね。”と励まされる。
“ありがとう。本当にありがとう。そちらこそ気をつけて!”
いつの間にか総勢5名になっていたおばさまグループに別れを告げて先を急ぐ。それにしても本当に美味しいトマトとリンゴ。あとに残しておこうと思ったのに止まらない。あっという間に全て食べきってしまう。
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 時刻は午後4時を回り少し過ぎる。小さな丘をひと越えする頃、いよいよ暗くどんよりとした空から大きな雨粒が落ち始めた。一気に降る強さが増して来たので、すぐに大きな木の下に行き、そこで雨具を着る。おばさま達は大丈夫だろうか。どこまで行く予定だったのか、心配だ。雨は止む気配なく降り続ける。

 Lake Susan Jane を通り過ぎると大きなPower Lineが見えてくる。急に人里の雰囲気が増す。目の前には急な登りが待ち構えている。これが最後だと思いたい。気合いを入れて一歩一歩足を前に出し続ける。Gapに着く頃に雨は、降った時も急だが、急に止んでくる。ガスも取れて景色も開ける。Gapに着くと近くにスキーリフトの降車場が見える。Stevens PassもSnoqualmie PassやWhite Pass同様にスキー場のある峠なのだ。
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 Passまでもうすぐ、急いで下っていく。下の方にはセンターハウスだろう建物も見える。気持ちにやっと余裕が生まれる。ところが、これも突然に急に訪れる。腹が痛い。この雰囲気は明らかにPoopが僕を呼ぶ声だ。でもすぐにTHだからなんとかそこまで我慢してもらおう。見えている建物のどこかにはトイレがあるはずだ。ところがトレイルは建物を避けるように違う方向へと進んでいく。
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 頭は真っ白。高いConcentration のなせる技だ。あっという間にTHに到着。ところが見渡す限りトイレらしきものはない。小さな建物があるが、人気は無い。これは無理だ、きっとトイレは無い。しかし、僕の腹は暴発寸前の危険ブザーが鳴り響いている。すぐさま人の目につきにくい場所を見つける。
<しばしお待ちください>
この旅一番の焦った時間に違いない。無事に用が済んだことを感謝。

 THに出る手前には大きなクーラーボックスのTrail Magicがあり、感謝しながら頂く。時間はすでに午後6時を回っているのであんまりゆっくりもしていられない。

 Highway 2、Stevens Pass。雲に巻かれ視界が悪い小雨の降る中人気もほとんど無く寂しさが漂う。車の通りは少なく不安がよぎるものの、そんなことで負けていられない。神経の図太さはスルーハイカーの専売特許だ。それにしても、今日は6つも7つも8つも登っては下り、登っては下りを繰り返し、本当に疲れる日だ。まるで人生そのもの。

 何台目かの車が来る。いつになったら止まってくれるかな。そんなことを考えていたら、車が近づいてきて止まる。まあ、なんてすごい荷物が一杯の車だろう。ミニバンの車内一杯になんだか分からないけど物が詰まっている。ルーフにはカヤック。人の良さそうな、ちょっと個性的おじさんが顔を出す。
“やあ、こんにちは。どこまで行くんだい?”
“Baring に行きたいんです。”
BaringはトレイルエンジェルのDinsmoreの家がある町。その手前にはSkykomish という街もあるのだが、Snoqualmie でたくさんお金も使ったし、少し節約したい。
“Baringには何もないけど。”
そういう彼に地図を見せながらなんとなく説明する。すると彼はDinsmoreの存在を少し知っているようで、すぐに把握してくれる。そうして、助手席にも一杯だった荷物をよけてくれて僕の座る場所を確保してくれる。

 車は西へ走る。23miくらいあるから、しばらくはおじさんとの会話を楽しむ。いったいこの人は車が家なのか。でも家があるのならなぜ車にこれほどのものが溢れるのか。もちろんこの近くに家があるからDinsmoreのことも知っているのだろうから、この車で生活しているわけはないのだけれど。Skykomishは小さい街なので、まともに買い物出来るお店は無いようだ。Cheveron くらい。その割には宿が二つあるようなのが面白い。Dinsmoreのところにも小さなストアがあるらしいのだが、まだ空いているだろうか。
“BaringにはGeneral Storeがありますよね?”
まだ空いていると思うか聞くと、この時間ではやはり閉まっていると言う。一瞬Cheveronに寄ってもらいたいと思ったが、さすがに言うのは気が引ける。そう思った瞬間に車はSkykomish を通り過ぎていく。まぁこれで良いあきらめがつく。
 
 森に囲われた道路はいつまにか線路に沿って走っている。家が数件建っている場所が見える。ここがBaringだ。案の定閉まっているストアの前に止めてもらう。
“家の場所は分かるかい?”
“うん、だいたいね。”
“線路を渡って左に行ったところだよ。”
“なるほど。ありがとう!”
おじさんはたくさんの荷物と共に去っていく。Stevens Passからは思っていた以上に距離がある。戻る時のヒッチハイクに少し不安を感じる。

 幹線道路とアムトラック鉄道の線路が並んでいる。非常に分かりやすい構造だ。ここは交通路の途中にある小さな集落。ストアは案の定開いていない。街灯が点き始める時間。線路を渡り、歩いていく。するとある一軒の家の前に、『Dinsmore’s Hiker Heaven』という看板がある。ここが、もうひとつの、Hiker Heavenだ。

 こんな天気だし、だれも外には出ていない。家と、その奥のガレージ。僕が行くべきはどちらかと言えば、きっとガレージの方になるのだろう。ガレージの窓からは明かりも漏れているし、人の気配もする。ドアを開けると中には数名のハイカーが各自の場所に納まりくつろいでいる。その中には見た顔もある。ちょっとした趣味の部屋のようなインテリア。壁には過去数年のPCTバンダナ。もちろん今年のピンクもある。二段ベッドやソファが適当に並んでいる。どこでも好きにくつろげということなのだろう。

 バックパックをおろし、一旦疲れた身体を落ち着ける。Transient は変わり者のハイカーでこれまでも幾度もすれ違って来ている。久しぶりの再会。Goleden Bear とYuriiのカップルは、トムと一緒に歩いている時、Snoqualmie Pass以前にすれ違ったことがあるのを思い出す。たしかあの時は雨の中で、彼らはその雨で濡れるのをいやがり停滞していたのだ。

 僕はここにも食料ボックスを送っていたのだが、どこでピックアップできるのだろう。すると、初老の男性が入ってくる。彼はここのハイカーヘヴンを開いているDinsmore 夫妻の夫である、Jerry Dinsmoreだ。とっても人の良さそうなおじさんで陽気だ。お世話になります、と挨拶をし、荷物の置いてある場所を聞く。荷物は僕達がいる隣の倉庫の中にあるらしく、室内から鍵を開けたドアから入る。そっちのガレージは、さらに趣味色が強く、ごっつい車はもちろん、かれの趣味らしい様々な模型が飾られている。

 荷物を受け取り、ランドリーやシャワーは自宅にあるので、簡単に説明を受ける。ガレージの中にはHiker Boxもあるし、誰かからの差し入れのフルーツなども少しはある。それ以外にも時間をつぶす為のビデオコーナーやボードゲーム、カードゲーム、それから暖炉などなど飽きずにでものんびり出来るようになっている。街に特になにも無いこともむしろ良いのかも。ハイカーにとってはけっこう遅い時間になっているが、なんだかそんな気がしない。身体の時間がおかしくなっている。とりあえずシャワーを浴びて気持ちをすっきりさせよう。

 いつも街に下りたら、結構贅沢な食事をするのだが、今日はそんな店もないので、あるものを食べよう。ちょうど食料も受け取った直後だし、余っているものは全て食べても良いのだ。外は雨がまた降ってきている。なかなか止まない雨にすこしうんざり。雨の中、外で食事を作っていると車で訪れるカップルがいる。男性の名前はDave(ダイブに聞こえる)、女性はDanielだ。ダニエル?それって男の名前じゃないのか、友達にダニエルという男の子がいるよ、と聞くと、彼女は笑いながら、女性にも使われる名前なの、と教えてくれる。日本の名前だと、まこと、みたいなものかな。

 ダイブとダニエルはPCTを歩き終わっているようだ。シアトルまで出て来てから車を借りて2人でドライブ旅行がてらここに寄ったらしい。そんな楽しみもあったのか、なるほど。2人はそれぞれ違う場所に住んでいるらしく、遠距離恋愛みたいなのだが、もしかしたらPCTがきっかけなのかな?さすがにそこまでは突っ込んで聞けないな。ここからカナダ国境までのことを聞くと、彼らは途中で雪に降られたらしい。その後すぐに融けてしまったということだが、今以上に寒さが気になるところだ。数日前には雷雨がすごかったらしい。雨が予想以上に降るものだから、つらいね。僕はレインカバーを必要無いと思って持ってこなかったが、さすがにこれほど続くのなら、あっても良かったのかと思う。これも今だけの気持ちだし、パックライナーで防水しているから、道具が濡れてしまうことはないので、まあ問題ない。ようは気持ちの問題なのだ。

 今日は本当に長い一日だ。トレイルも6つも7つもアップダウンを繰り返す、けっこう辛い道のりで、身体がじっとりと疲れている。本来ゼロデイは取らないつもりだったけど、明日は一日ここでゆっくりしよう。

 時間がすぐに過ぎていく。Time flies so quickly. この旅の終わりも残り1週間ほどになる。長くてうんざりしていた日々もここまでくれば先が見えてくる。急に寂しくなるもんだ。なんて勝手なものだろうか。思わず笑ってしまう。
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# by hikersdepot | 2013-04-18 12:43 | PCT 2010 by Turtle
Snoqualmie Pass, WA to Dinsmore’s / Day145– 147/ Hiking Day116- 118/ 2402.8mi-2476.6mi/ 73.8mi/①
9/13(Mon) Hiking Day116/ 22mi/ 8:00am- 6:30pm (10:30) /NB 2424mi
“Great Day”

 朝はやはり時間通りすっきりとは起きられない。アメリカのTVプログラムは不思議で同じ映画を続けて流したりする。結局ロードオブザリングの興奮覚めやらず、もう一度途中まで見てしまい遅くなってしまったからだ。どうしようもないだめなハイカーだ。それでもゼロデイをとったお陰で体調は良い。日本の妻に電話をして声を聞き、力をもらう。

 トムと昨晩話していた位の時間にモーテルを出る。まだみんなは動き出さないようだ。道路を歩いてTrail Headに向かう。約8:00amにTHから歩き出す。急登からのスタート。大きなスイッチバックをしながら稜線を目指し上がって行く。今日は気持ち良い天気だ。久しぶりの乾いた空気。濃く青い空。山も景色もよく見える。また少し地質や植物が変わったように感じる。登り始めて1時間くらいで稜線が近くなってくる。
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 稜線に出ると景色はさらに開けて美しい。遠くMt. Rainier が見えている。近くを通っている時にはほとんど全貌を見ることができず、やっとご対面といったところだ。ここから見てもあの大きさということは、近くだったらもっと雄大だったに違いない。しかし、これでも僕には十分すぎるほど。
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 山の様相はごつごつとしていて穏やかな雰囲気はない。けれど、小さめな岩山の灰色、限られた場所に根を張る針葉樹の濃い緑と青い空とのコントラストが美しい。振り返るとMt. Rainierを端に、Snoqualmie のスキー場とI-90が見える。トレイル自体はとても歩きやすく、稜線の細かいアップダウンを避けるように巻いている。のんびりと歩みをすすめる。
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 トレイルの上に動いている生き物を発見する。まるまるしているように見える。ありゃなんだ?よく見ればどうやら僕が何度も見たことのある動物、Marmotだ!僕が知っているマーモットが生息出来るだけの標高ではないので、それだけ緯度が上がり寒冷地に入って来ているということだろう。シエラで見たときのマーモットと色が違うように思う。たしかシエラは茶色、ここでは灰色だ。土地柄か、それとも冬毛?食事中なので邪魔をしたくはないのだけれど、僕達は先を急ぐので、申し訳ないが脇を通過させてもらおう。
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 稜線脇にある小さく美しい池、その名もRidge Lake、に到着する。ちょうど昼時なのでここで休憩。ここに着く直前で出会ったデイハイカーも一緒だ。彼が“熊がいるぞ”と僕達に声をかけてくる。確かに反対側の大きくカールした斜面に熊が歩いているのがわかる。あまりに遠くて僕のカメラで写真に収めてもまともに写りはしないだろう。だいぶ北上してきたのでもしかしたらBrown Bearかとも思ったが、トムもデイハイカーの彼もきっとBlack Bearだろうと言う。水を汲み、準備を整えたらまた歩き出す。デイハイカーの彼はここから戻ると言う。互いの幸運を祈りつつ別れる。
 
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 ここから先はもっと素晴らしい景色が広がっている。山肌をトラバースするようにトレイルはすすむ。眼下には大きな湖があり、深い谷になっている。Alpine Lakes Wildernessというエリアで岩山に囲まれた美しい池や湖が点在するところのようだ。歩いているだけで楽しい気分になる。やはり景色を見ながらのハイキングには格別なものがあるな。深い大きい谷の向こう側にはまたMt. Rainier が見える。雲が朝よりも増えているが、それがまた美しさを増しているように思う。ものすごく長い長いトラバース。もし雪がある季節なら雪崩の巣窟だろう。ここからだと前に歩いているハイカーがいるとよく見える。1人僕らの先にいるようだ。また1人見えるがそのハイカーは逆方向で歩いているみたいだ。
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 South Bounderのところに到着。彼は大きく立派なカメラを持っている。彼が言うには、出会うハイカーの姿を写真に撮って歩いているらしい。僕とトムもそれぞれ写真に撮ってもらう。数日前からハイキングしているというのでハイカーの動きについて聞いてみる。昨日は少なかったが一昨日は多かったようだ。やはり僕らの前の大きなグループは約2日先行しているようだ。

 3mi近いトラバース道が終わりGapを越える。そこにはぼくらの前を歩いていたハイカーが腰を下ろしている。景色が開けて綺麗だし、天気も良いし、僕らも少しだけ腰を下ろそう。

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 ここからは大きな下りで山の奥へと入って行く。天気は変わらずに良いままで最高の気分だ。トレイルもおおむね歩きやすく、歩みは軽やか。変化に富んでいるエリアで飽きることがない。今日はまるでシエラネバダのエリアを歩いているような気分だ。Hot SpringのDetourもとても興味があったが、こちらを選んでよかった。またいつかここを歩きに来たときにはこの迂回路を選んでも面白いだろう。

 小さな池を回り込みGapを越えどんどん下って行く。途中には滝が流れ豊富な水を誇る。冬に雪がたくさん降り山に多くの水が蓄えられているのだろう。オレゴンやカリフォルニアのようにトレイルを外れて水を汲みに行かなくて良いので助かる。小さな森林火災跡は長いジグザグ道で下っていく。

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 出発が遅めだったにも関わらず、歩きやすいトレイルと心地よい天気のお陰で、22miをサクッと歩き通し、Lemah Creekに6:30pm到着する。ここのクリークの橋は流出してしまったようで架かっていないが、徒渉も問題なく渡れる。
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 僕としてはもう1mi進みたい。僕としてはあと2日でStevens Passに着きたいのだけれど、トムは3日で良いと思っているらしい。彼らの気持ちも良く分かるし、でも僕は僕のペースで行こうと思う。そうすると、ここでのキャンプがもしかしたらトムと最後になるのかも知れない。そう思うと、あと1mi先に行くことができない。結局30分も悩んでいたが、ここで泊まろう。続々とみんな追いついてくる。リー、ダフ、リチャード、アグゼラ、ガットフック、テンジンと勢揃い。それほど広くもないキャンプサイトがとても賑やかだ。

 楽しい時間だけれど、長くは続かない。まだ明日もあるし。みんなあと3日かけてStevens Passまで行くつもりのようだ。僕1人が2日で行こうとしている。食料はあるけれど、でもここは自分を信じて進もう。明日は25〜27miを歩く。長いなぁ。でも1人、久しぶりにのんびり歩こう。それも悪くない。眠くて眼が痛いな。



9/14(Tue) Hiking Day117/ 27mi/ 6:35am- 7:05pm (12:30) /NB 2452mi
“Hike Alone”

 まだみんなが寝ているか、やっと起き出した頃。僕にとってはいつも通りの時間に出発する。時間は6:30amを過ぎているが、陽射しは森に届かずに薄暗い。日が短くなっていることを痛感する。
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 今日の予定では、大きい登りが二つ。大きい下りが一つ。小さい下りが一つといった感じで、メリハリがある一日になるはず。いきなり壁にぶち当たるように急な登りを黙々と歩く。斜度をなるべく出さないようにたくさんスイッチバックしているので思ったよりも歩きやすい。昨日Gapのところで会ったハイカーが先行している。彼は手作りに違いないシンプルなバックパックを背負っている。せっかくなので写真を撮らせて欲しくて声をかける。彼のトレイルネイムは“Tick”。Tickはそのままダニと言う意味だ。どうしてこの名前なのだろう。気になって尋ねてみると、大きなバックパックを背負って手足が少しだけ出ていて動いている様が似ているからだと言う。なるほどね。彼は話を聞くところによるとテンジンの友達らしい。彼もTangent と同じく1995年にPCTをスルーハイクしている強者なのだ。写真を撮り終え、“じゃあまたね”と先を進む。
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 上に上がってくると周りの山がよく見える。陽当たりの悪いところにはびっしりと雪がついている。このまま万年雪として来年もあそこに残るのだろう。突然“がさっ!”と音がするので見てみると鹿がのんびりと歩いてくる。こいつはずいぶんのんびりやなのだろう。今日も天気が良くて気持ちよく歩けそうだ。雪解けの綺麗な水はとても冷たい。あまりお腹が空くような感じがしないのでとにかく先を急ぐ。ひたすら歩く。あの複雑な山の形は雪に削られたのだろうか。

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 うんざりするほど長い下りが続く。下る、下る、歩く。下りだけでも6〜7miあるのだからすごいもんだ。
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 結局休み無しで、Waptus Riverまでの14.4miを歩く。さすがに疲れたのでここで一休み。橋の上が陽当たりが良いので、昨日湿ったテントを干して気持ち良くドライに。昨日よりもだいぶ暖かく感じる日で、道具は日向、僕は日陰がちょうど良い。暖かい陽射しは喉を乾かすからだ。
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 一つのめの大きいアップダウンの次は二つ目の大きな登り。今度は急登ではなく、緩やかに長い。約8miだけれど、登りということもあってか思う以上に時間がかかる。前半飛ばしたせいで疲れもあるのだろう。ずっと谷の中なのでこれといった大きな変化もなく、黙々と歩くのみ。浅く水がとても綺麗な川を越えるとDeep Lakeに着く。疲れたので湖までは近づけない。湖の上にはCathedral Rockがそびえている。周りは平らで広い高原となっていて美しい場所だ。こんなところでのんびりキャンプができたら楽しいだろう。みんなはきっとここまででキャンプだろうか。僕もしばし悩む。時刻はまだ午後5時前。まだ歩ける時間はある。一休みしたあと、この後水が無さそうなので夜の分の水を担ぎ先へと進む。
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 3miの急な登り。ここもスイッチバックが多いので歩くのはそれほど大変ではないけれど、水を担ぎ疲れた身体にはとても辛い。木々の間から見える景色の美しさが救いだ。Lakeが望める。テントが張ってあるのが見える。まさかトム達ではないだろう。Gapまでたどり着くと、Cathedral Rockが目の前。上の方は少しだけ紅葉が始まっている。素晴らしい景色だ。ハイカー達とすれ違う。彼らはDeep Lake を目指しているのだろう。
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 ここからは下り。Stream Junctionという場所を目指すが、名前とは大きく異なり水はないらしい。下りていくと小さなPondをいくつか見かける。さらに下りていくとどこからか流れの音がする。結局小さなクリークから水の流れもあるし、なんの為に水を担いで来たんだか。少し急な下りをおりきると、開けて平らな場所が現れる。どうやら目的に到着のようだ。なぜ流れの合流点となっているのだろう。あたりを探索してみると、確かに流れの跡がたくさん交錯している。そのどれにも水はなく完全に枯れたクリーク。でもこの谷を少し詰めていけば水のあるところが見つかるような気がする。
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 たくさんキャンプしやすそうなところがあるのでむしろ悩んでしまう。困ったことだ。時間は午後7時を少し回ったくらい。日暮れまでには着くことができて良かった。それでも辺りは休息に暗さを増していく。日に日に駆け足で迫る冬の気配。乾いてとても良いキャンプサイトだと思う。水が流れた跡のない場所を選び今日の家を準備する。
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 今日も良く歩いた。慌ただしく一日が過ぎていく。明日はStevens Passにおりる日だけれど、そこまでもまだ25miもあるのだ。長いなぁ。とほほ。
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# by hikersdepot | 2013-04-11 12:44 | PCT 2010 by Turtle
Snoqualmie Pass, WA / Day144/ Zero Day26
9/12(Sun) Zero Day26
“Happy-Go-Lucky”

 寝不足の朝。そりゃそうだ。結局寝たのは朝4:00am。今日がゼロデイだから良いけれど、我ながら困ったものだよ。眠い目をこすりながら起き出す。朝食は昨日買った余り物で済まそうと思っている。ところが、トムが呼びに来て、昨晩のレストランでBreakfast Buffet があるという。なるほど。昨晩だってこれでもかというくらい胃袋に詰め込んだのに、確かに今空腹を感じている。

 レストランにはGeneral LeeとDuffが一緒。Duffは他のメンバー同様に遅れていたのだが、1人先行して歩いてきて昨晩到着していたらしい。体力もさることながら心が強い女性だ。四人で思う存分がっつく。具材を選ぶと作ってくれるオムレツもある。みんな具材たっぷりにして作ってもらう。それ以外にも普通のメニューだが、押さえるところ押さえていて十分満足。アメリカ定番のWhite Gravyもある。僕はこのホワイトグレイビーソ−スが苦手。肉汁を元に作っているのでもちろん不味いわけない。でもホワイトグレイビーは、慣れない味、とでも言おうか。リーやトムはもちろん大好きだ。トムやリーと競うように食べ続けたが、もう腹一杯。リーは最後の一つとマフィンのホワイトグレイビーがけを食べている。さすがだよ。

 本当に今日はすることが無い。こんなにのんびりするのも久しぶりな気がする。いつもなら、街に下り時は次のハイキングへの準備をするのに多くの時間を費やす。でもWashington で必要な食料や荷物は全てCascade Locks から送った。ここSnoqualmie でもそれをピックアップしただけ。先のことを考えるにしてもあと10日強。二週間はかからないと思うので先が見えている。次のSteven Pass経由でトレイルエンジェルDinsmore’sの家に。次は最後の補給地Stehekin。そして、Canada、、、。一体どんな気持ちが僕を待っているのだろう。

 道具の洗濯などを済ます。僕の体はほとんどをベッドの上、そして寝て過ごす。なんて怠惰な、そして幸せで楽しい時間だろう。

 午後前には次々とハイカーが到着する。Richard Wizard、Axera、Mayer、Genius、Guthookはいつの間にか後続。そしてTangent。部屋が満タンになってしまったLeeの部屋。Duffが何人か入れないかと言うが、本当にごめん、と断る。上手く僕の気持ちを伝えられない。5人いるのだから、2部屋とっても良いと思うのだが、そこはなんとか節約をしたいのだろう。気持ちはわかるし、でも酒臭いのも、酒飲み過ぎも、ちょっとお断りしたいのだ。その後はトムが部屋について聞いてくる。その手で来たか。トムには正直に話す。僕の拙い言葉でもちゃんとわかろうとしてくれる。お酒のこと。きっとこれが最後のモーテルで1人で取れるゼロデイ。少しでも心穏やかに過ごしたい。トムはちゃんと僕の話を理解してくれる。わかった、と心強い言葉。みんなに誤解されるかも知れない。それでも自分の主張はしっかりと伝えたいし、伝えなければ本当の仲間にはなれない。でも、ごめん。

 部屋をノックする音。外にはガットフックが立っている。“裁縫道具持っていないか?”との問い。意外とみんな持っていないのだろうか。もちろん快く貸す。頼ってくれることも少しうれしい。

 夕食は再び、いや三度、Webb’sへ。しかし、今夜ロードオブザリングの続き、最終章が放映する。それまでには戻らないと、と思っているとリーやトム、ダフも昨晩見たらしく、意思の統一はできている。今日はステーキでは無く、ハンバーガーにしよう。みんなそれぞれの料理がそろい楽しい夕食。楽しい夕食にはおいしい料理が欠かせないが、ここの料理は申し分無い。量だってハイカーを満足させるのだからすごいものだ。リーやダフともずいぶん長い付き合いだ。もちろん長いって言っても数ヶ月だが、その中で過ごした凝縮された時間が関係を深くさせてくれている。でもこんなにゆっくり話をすることはあまりない。彼らのチーム名がMEGATEXというのはなぜか。General Lee、Richard WizardとUncle TomらがAppalachian Trailを歩いた時、それぞれのハイカーが出会い歩いたのだが、トムは Main州、リーはGeorgia州、リチャードはTexas 州出身でそれぞれの州の頭を付けたのだ。リーは見た目のユニークさからは想像出来ないほど勤勉らしく、英語意外にもスペイン語を話せるらしい。これからはフランス語を勉強したいという。どれも文法がほぼ同じだし、言葉が似ているから覚えやすいのだという。なるほど。“僕は日本語だけだよ。英語も満足に話せない”というとみんなして“十分話せているよ!”と言う。リーにいたっては“俺は全然日本語話せないよ”と。僕も含めて日本人は得てしてほぼ完璧に話せないと、話せる内、に入らない。でも海外の人間はそれでも話せている内に入ると多くの人が解釈してくれる。確かに僕は語彙こそ足りないけれど、今のところ十分会話は成り立っているのだ。リーは“それに日本語はとても難しい”と言う。その理由として文字の多さがあるという。英語はA-Zの26しか文字がなくそれの組み合わせで言葉を作る。それに引き換え日本語はひらがなだけでも46文字。小文字を入れればさらに増える。そこにカタカナ、と漢字の組み合わせ。漢字も覚えなければ。そして日本語には数多くの同音同意の言葉があるからたちが悪い。とても興味深い話。とても面白い。こうしてお互いの国のことを話ができて楽しい。そしてこれだけの会話がなんだかんだとできている自分に驚く。確かに、いつの間にかこんなに話ができるようになっていたのだなぁ。リーはいつか日本で働きたいと言う。“英語の先生とか出来るかな?”という彼の問いに僕は“君なら人気者になれるよ”と答える。

地元の若者が話しかけてくる。彼もハイキングが好きらしく、明日から行くらしい。PCTのことも少しは知っているようだ。THから先ちょっとルートをそれると山中にHot Springがあると教えてくれるが、近くないし、通り道でもない。ありがたい情報だけれど、ごめん、行けそうにないや。仲間達との楽しい会話。地元の人達とのふれ合い。素晴らしい時が過ぎて行く。でもこれももう少しで終わるのか。

 モーテルに戻り、ロードオブザリングの最終章を見る。話している英語の半分も理解していないけれどとても面白い。一度見て話を知っているからというのもあるだろうが、きっと脳のどこかが補完しながら理解しようとしているのかもしれない。今日は映画を見終えたら早く寝よう。でも、ハイキング前日はいつも何度でも胸が高まりナーバスになる。そんな夜もあと数回だ。
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# by hikersdepot | 2013-03-27 00:00 | PCT 2010 by Turtle
White Pass, WA to Snoqualmie Pass, WA/ Day140– 143/ Hiking Day112- 115/ 2304mi- 2402.8mi/ 98.8mi/②
9/10(Fri) Hiking Day114/ 28mi/ 7:00am- 7:00pm (12:00) /NB 2384mi
“Mouse and Berry”

 ドライで快適な素晴らしい朝。明るさは小屋の中にほとんど入ってこない。いくら言葉で、外で寝るのが好き、と言っても建物の中で寝る安心感も大きい。今あるものや人が作り上げて来たものを振り返り、その大切さに気づくことも野外活動において大切なことだと僕は思う。

 雲が濃く薄暗い。昨日遅くに着いた5人のハイカーはまだ寝ている。特に9:00pm過ぎに着いた3人の疲労は大きそうだ。良く歩いたもんだぜ。トムと2人で7:00amころ出発。

 昨日と同じように雲が濃い中を歩きだす。1時間と少し歩いた頃だろうか。そろそろ休憩しようかと思った頃、トレイルマジックのクーラーボックスを発見。道路が近いから車で来られることが大きい。ついでにここで休憩。そして自分のフードバッグを開けてびっくり!ネズミにやられている。昨日見た時と今朝でなんの変化もなかったのに。ということはその前にやられていたのか。クッキーとチーズ、オレオのCakestar と被害はそれほど大きくなかったが、これからはもっと気をつけなくては。食べられたものは病原菌感染の可能性も有るので全て破棄をする。その分をこのトレイルマジックで補わせてもらう。本当にありがたい。肉が生のままや、ハムが塊で入っていたりと豪快だ。でも食べきれなさそうなので、スナック類とコーラをもらうことにしよう。

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 時々雲が切れるが回復までは至らず。昨日以上に何も特色なく、標高は昨日ほどもない、単調なトレイル。未舗装の道路がたくさん入り交じる人間臭の濃いエリアだ。どこかノースカリフォルニアを思わせる懐かしさがある。

 長い下りを駆け下りるようにTacoma Passに着く頃には気温がグッと上がり雲も上がってくる。ここからはTacomaが近いのだろうか。Tacomaはシアトルから1時間くらい南に行ったところにある街で、チャーリーの家があるところだ。ここに来たらなんて言うんだろうな。“帰りたいよ”なんて泣かなきゃいいけど。

 トムが先行して進んで行く。“タートルは早いからな。”と言うが僕がそんなに早いわけがない。だって亀だもの。トムを追い急登を進む。少し斜度が緩んだ頃には見晴らしが良くなる。すると突然の激痛が左足に!“いってぇ!”と思わず大きな声をあげる。なんだこの痛さ。思いっきり太い針に刺されたいたさだ。と、蜂が飛んで行くのを見る。まさか!?一瞬恐怖が走る。なんの前触れもない。偵察の蜂も見ない。それなのに。すでに辺りには蜂の姿は無く、なぜ刺されたのかわからない。とりあえず口で刺されたであろう箇所を思いっきり吸う。色も変わって無いのでどこか特定することができない。刺された時ってこんななのか?でもズキズキする。なんだか一気にアドレナリンが吹き出した気がする!とにかくトムに話を聞こう。

 すごい勢いで登る、登る!自分でも驚きのスピード。痛さをごまかしているのか、それとも痛さで興奮してアドレナリンが出ているのか。あっという間にトムに追いつく。トムもびっくり。いや、僕がびっくりだよ。事情を話すと“ああ、Hornetだね”と言う。それってスズメバチのことでしょう!?なのに大丈夫、大丈夫って言う。アメリカのスズメバチは毒が無いのか?まぁ、どうなるにせよ歩くしかないから歩こう。

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 ここ数日ではまだ明るく見通しも良いようだ。それに今日もハックルベリーがたくさんあるので、僕は度々足を止める。大粒なものも多く甘い。あまりにもたくさんの未舗装道路を横切るので、細かい場所の特定がむしろ難しく、勢いに任せ歩くしかない。アップダウンも多く、だいぶ疲労が溜まってくる。

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 人の気配が増える。キャンプしている人達が近くにいるようだ。Power Lineをくぐり、開けた明るい場所に出ると、未舗装だが今までよりは管理されていそうな道路に出る。少し道は逸れるがトイレもあるようだ。せっかくなので用を足す。ここもキャンプするには悪くなさそうだけれど“トム、どうする?”どっちみち水が無いし、補給もしていないのでそこをなんとかしなければならない。あと2miくらい行くと池があるから、水はそこに行けば何とかなりそうだけど。まぁ流れ的には、“歩いちゃおうぜ”ということになるのは自明の理。

 山を下りていく。Power Lineをまた一つくぐり抜ける。バチバチバチ、と強い音。久しぶりの大きなPower Lineだ。日本の送電線でこんな恐ろしい音がするものに出会ったことはないが、アメリカはこんなところも豪快なのだ。しかし大きなPower Lineは街が近い証でもある。

 それを下りると左手に池が見えてくる。Lizard Lakeへ到着したようだ。あまり綺麗な水とは言えなさそうな色。あるだけありがたいのだが。舗装路が見え、THに下りる。うれしいことにウォーターキャッシュがある。ありがたい。THでもキャンプができそうだが、あまり良いとは言えない。トムと相談して“いいよ、1ガロン持ってっちゃおう”とトムの意見。重いボトルを持って池の周辺へ行ってみることにする。

 池の北側を回り込むような道があるが、途中まで行ってみるものの、先客もいるし、犬もうるさいので来た道を戻る。西側の道を行くと池に向かって車の轍。その奥には平らなスペースがあるのでそこを今日の場所とする。街からも車ならばさほど離れて無く、道路沿いならば、人がたくさんくるのだろう。ゴミが散乱していてとても汚い。釣り糸も散らばっている。でも、そんなものだし、今日はここで良い。もう28miも歩いたのだから。

 送電線が近くにあるものだから、バチバチと音がずっと聞こえている。ほんと一気に人里だな。面白くもあり、悲しくもある。ほんの少しだけ雨がパラパラと落ちてくる。雲は高いので雨にはならないだろうけれど。暗くなった頃、昨日に続いてGeneral Leeが追いついてくる。結局ぐっすり寝たらしく、11:00amに出発して、8:00pmには到着。ものすごく早い!明日アメリカンフットボールのゲームがあるらしく、それを見るがために猛スピードで歩いているらしい。だったら、もう少し早く起きれば良いのにと思うけど、普段の生活リズムを考えればそれも普通なのかもしれないな。

 明日はSnoqualmie Passに着く日。でもそこまでまだ19miもあるけれど、久しぶりのゼロデイを取るつもりでいるし、明日着ければ十分さ。昨晩の小屋のお陰で乾いた寝袋で快適な夜を過ごす。明日こそは良い天気になることを期待して眠ろう。


9/11(Sat) Hiking Day115/ 19mi/ 7:00am- 3:00pm (8:00) /NB 2403mi
“Snoqualmie Pass”

 夜中に少し雨が降って止んだようだったが、起きると小雨がパラパラ落ちてくる。池沿いのためにツェルトの結露も久しぶりにすっごい!アメリカでこんなのも珍しいが、まあ良いさ。だって今夜は快適な部屋で過ごせるのだから。

 今日も陽射しは無いが、空気が暖かい朝だ。7:00am頃に出発。珍しくLeeも真面目に起きて先にかっ飛んで行く。大好きなアメフトの為ならばこんなに力がでるなんて!素晴らしい、とは言えないけれど、人間だなぁ。

 今日はトムが先行して歩いて行く。単調で平坦なスタートからだ。遅くは無いはずなのにトムの早さといったら。街が違うと人が変わるのか、僕も人のこと言えないけれど。今日は土曜日、weekendだからデイハイカーの姿もいつも以上に多い。街やTHが近いこともあるだろう。

 疲れと足の痛みがあったが、ペースはまぁまぁだ。僕は自分のペースを保ち、休憩を挟みながら歩いて行く。森は緑濃く美しい。でも、それよりも頭の中は何を食べようか、何が食べられるか、そればかりだ。トレイルはぬかるんでいるところも多く、靴がぐちょぐちょ。

 Mirror Lake付近にはキャンプしている人達もいるようだ。声がたくさん聞こえる。どこかの学校のグループともすれ違う。彼らは一様に僕らの姿を興味深く見る。大きなバックパックを背負うハイカーを抜く。ちらっと顔を見ると確かUrich Shelter で一緒だった2009PCTハイカーのようだ。まだあの朝は寝ていたはずの彼がなぜ?疑問は後回しに先へ行く。

 登りを終える頃には陽射しが強く差し込むようになる。上空の雲は多いが景色が広がり気持ちが良い。あとはSnoqualmie Passへ向けてずっと下りだ。トレイルは整備されていて杭があるあたりなどいかにもといった感じ。犬連れのデイハイカーもいる。

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 水は豊富で小さい滝もあり、心なごむ。下りでペースも上がり快調。前方にはやっとトムの姿をとらえる。さすがに少しペースダウンしたようだ。トムと合流し、後ろからはさっきの2009PCTハイカーも追いつく。水を汲みがてらバックパックを下し休憩。彼にどうして僕らよりも前に行っていたのか尋ねる。すると、彼らは昨夜の深夜に小屋を出たと言う。つまり、僕とトムがUrich Shelterを出た日は天気もいまいちなのでそのまま停滞していて、夜になって歩き出し夜通し歩いてきた、ということらしい。はぁ、ご苦労様。彼は少し眠そうだ。
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 眼下には交通量の多い道路が見える。あれは、I-90。アメリカで最も北にある高速道路だ。やっとここまで歩いて来たのだ。I-8から始まり、アメリカを縦に歩いて来たのだ。でもゴールじゃない。あと少し。もう少し。
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 天気も良くなり、標高も下がり、気温が上がってくる。Lodge Lakeを通り過ぎると景色が開ける。小さな湿原の向こうには綺麗な青空。気持ちいいなぁ。トレイルはスキー場の中に入り、急坂を下って行く。道がわかりづらいので適当に下りていく。どうやら道を外れてしまったようだが、どうでもいいやと3人とも直進。スキー場のガレージみたいなところを抜けると、小さなSnoqualmie Passの町に到着だ。
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 ここはWhite Passよりはお店も多いが、ドングリの背比べといったところか。一軒のロッジ。そこそこ立派なGas Station。小さなグロセリー。レストランが2軒といったところか。とりあえずロッジに向かう。もうリーは先着しているはずだからだ。時間は午後3時。ゲームには間に合ったのだろうか。

 フロントの人間は中国系か。個人ロッジ経営者には白人意外が多い気がする。でもその方が設備や細かいところが行き届いていそうなのはなぜだろう。このロッジも併設したレストランが閉店してしまってはいても、ロッジ自体は綺麗にしてあるし、コンピューターもある。悪くない。フロントで話をするとすでにリーが話を付けていて部屋を取ってあるという。そこには僕の名前もあり、リーはシェアするつもりでいてくれたらしく、しかも僕のフルネームを覚えていてくれたようだ。とてもありがたく、うれしいが、きっとこのロッジ泊まりがPCT最後のゼロデイになるかもしれず、ゆっくり1人でいたいと思い、1人で部屋をとることにする。リーには顔を出し、謝る。トムもリーも理解してくれたみたいだ。ありがとう。正直彼らは好きだ。みんな陽気だし楽しい。でも酒を飲み過ぎる。気違いみたいに飲むし、いつも部屋が汚い。酒を飲まない僕にとっては辛いところなのだ。上手く言えないもどかしさもあるし、でも理解してくれる友に感謝だ。

 とにかくリラックス。ロスの友人にも電話で現状報告。シャワーを浴びて綺麗になってからCheveron に偵察へいく。意外と広い店内は品揃えもまあまあ。もちろんこれだけでは補給全てができないので食料は送っている。それをピックアップする。ホットミールはフライドチキンやポテトばかりだが種類も多いし、不満はない。夕食も近いけれど腹が減っているのでとにかく食べよう。部屋に戻り空腹を満たす。それから、モーテルにあるただ一つのランドリーを交代で使い洗濯する。トムとあとでレストランにいく約束をする。

 洗濯も終わり部屋でウトウト。トムとの約束の時間ギリギリに目が覚める。部屋を出るともうトムは廊下で待っている。ごめん、と言い、2人でレストランへ向かう。Summit Lodge を出て西側すぐ隣がCheveron。そのはす向かいにはWebb’s というレストランがある。比較的新しいのか、YogiやPCT Atlasの地図には記載が無い。外に出ると空気がぐっと冷えている。ここのところ夜が寒かったが、今日は天気が良かったからか空気が乾燥して余計に寒さを感じるようだ。

 Webb’sはスキー場の施設の一部のレストランといったイメージ。レストランの入っている建物もまるでセンターハウスの様だし。きっと雪のある時期には非常ににぎやかになるのだろう。店内もいたって普通なのだけれど、意外と店内に人は多く賑やかで明るい雰囲気だ。メニューの数こそはそれほど豊富では無いけれど、特色を出しているような名前が並んでいる。どれも美味しそうだから困る。その中で僕らが選んだ素晴らしい料理は、Rib-eye Steak。少々お高いけれど、僕らに必要な体力を得る為にはこれを食べるべきだ!コーラもぐびぐび飲みまくる。ここで元を取る努力するなんてみみっちいな、自分。

 そのボリュームはもちろん、味も申し分無い。正直期待していなかっただけにうれしい。トムとたくさん話をする。お互いの故郷の山のこと。家族のこと。自分達のこと。トムは素晴らしい人間だと思う。チャーリーと同じくらいの年齢だろうが、彼とはまた違う大人の魅力がいっぱい。見た感じと違って真面目そうだし。そう思うとチャーリーは品の良い顔と真面目そうな雰囲気の割には、片付けないし、いい加減だし、子供みたいな人だ。思い出すと笑える。でもどちらも僕にとって大切なPCT Friends。感謝感謝。
 
 ここのレストランは味だけでなく、ウェイトレスの感じもとても良い。彼女はとても綺麗な娘で、今大学に行く資金を溜めていると言う。日本で言う苦学生みたいだが、アメリカでは珍しくないらしい。お金を溜めて大学に通い、無くなれば休学し、また資金を溜める。聞いて思ったのはただ素晴らしいということ。本当に勉強したいからこそそうするのだし、その思いの強さに感動する。思うように簡単に行かなくても彼女は全然憂いを感じさせない。アメリカの学生がとても一生懸命勉強する姿はたくさん見かけたことがある。自分の意思とさらに自分で用意した資金となれば、気の入りようも違うだろう。全ての学生ではないにせよ、みんな何かを背負っているということ。日本にはそんな学生がどれほどいるのだろうか。少なくない、そう思いたい。

 戻るときCheveronに寄る。僕の前にレジに並んだ男性は車の中に奥さんを待たせていると言う。その奥さんとこれから病院に行くらしい。理由は彼女が産気づいたから。みんなして“こんなところでゆっくりしてる場合かよ”と突っ込みつつ、“おめでとう”と言う。彼が“ありがとう”という顔が喜びに溢れている。僕はアイスクリームを買って、部屋で至福の時を得ることにしよう。

 いつも夜更かししないようにと思うものの、してしまう心の弱さ。よりによって今日のテレビプログラムは『ロードオブザリング』。見ないで寝るわけにはいかないな。ああ、今日も結局夜更かしだ。
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# by hikersdepot | 2013-03-20 22:23 | PCT 2010 by Turtle
White Pass, WA to Snoqualmie Pass, WA/ Day140– 143/ Hiking Day112- 115/ 2304mi- 2402.8mi/ 98.8mi/①
9/8(Wed) Hiking Day112/ 26mi/ 7:45am- 6:45pm (11:00) /NB 2330mi
“Soaking Wet”

 すっきりとした目覚め。やはりベッドで休むと体の疲れが良く取れる気がする。外は濃い霧が立ちこめているが雨は降っていないようだ。ストアに寄る必要があるので急いでも始まらない。シャワーを浴びてゆっくり準備をしてから、7:00am過ぎにロッジを出る。

 ストアに行くとちょうど今朝の仕入れが来たところらしい。陳列を待っている間にコーヒーとスナックを食べながらくつろぐ。Heetを買い、燃料を注ぎ足し、残りはハイカーボックスに入れておく。あとのハイカーが役立ててくれればと思う。

 7:45amくらい、外での一服を終え、ストアの2人に感謝を述べて歩き出す。すぐに後ろから僕を呼ぶ声がする。Uncle Tomだ。僕が思っていたより動き出しが早いな。リーはまだ寝ているらしく、他のみんなを待つようだ。トムは1人で先に出てきたのだ。“タートル、一緒に行こうぜ!”ちょっと戸惑う。なぜならチャーリーと分かれてからこっち、時々誰かはいたものの1人で歩いて来た。なんだかんだとそれが2ヶ月近くにもなると自分のペースを乱されるのが嫌になる。だが、トムも良く知っているハイカーだが一緒に歩いたことは無いし、ペースが違えばその内離れるだろう。

 膝は少し疼くものの、昨晩、今朝とたくさんの食事と休養のお陰で調子は悪くない。トムとの歩くペースは意外と合っている気がする。歩きやすい。トレイルもやや登りからのスタートだが緩やかで登りを感じさせることもほとんどなく歩きやすい。そのせいかペースもグングン上がって行く。お腹がいっぱいだから力が溢れているのも原因の一つだと思う。

 雨もパラパラ程度で降っているうちに入らない。最初の登りが終わり一休み。広がる湿原がとても美しい。
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 約3時間で9.8miを進む。とても良いペースだろう。トムと丸太の上に腰をかけて休憩する。しばらくするとまたパラパラと雨が落ちてくる。さっきより降っている感じはするが、まあ大丈夫だろう。とりあえずレインジャケットは身につけておこう。

 再び歩き出すと雨は徐々に強さを増していき、いつしか本降りへとなる。パンツの撥水はろくに効かないのはわかっているが、みるみるうちに濡れていく。登る道は正直つらいがそれでもなんとか耐えて歩く。雨がこれだけ降っていては休みようも無いからだ。景色を見る余裕なんてもちろんあるわけもなく黙々と進むのだ。レインジャケットの中は汗で全身濡れているのがわかえる。下はそれ以上でパンツの中までびしょ濡れだ!

 トレイルが登るのをやめ、その後は小さなアップダウンを繰り返し水平に移動して行くと、今日の目的地である、Dewey Lakeへと着く。なんとか日暮れまでに着く。今は雨と霧で何も見えないが、とても美しい景色に違いない。キャンプサイトも適度に踏まれ、でも荒れていなくて良さそう。枝葉から落ちる水がすごいが、寒さ、風除けの為に大きな木の下に幕を張る。水はけも悪くなさそうだ。

 それにしても、着ている服はずぶ濡れで寒い。バックパックもしっかり水を含んでいる。外付けしていたマットも隙間に水分が溜まっている。まあ、しかたない。昨日洗濯して乾燥させたテントは効果があり撥水はしっかりしている。シルナイロン製のバックパックの方が撥水せずに思いの外ひどい状態。でもありのままを受け入れるしか無い。全ては僕自身の選択によるものだ。

 雨脚はひどくなる一方。枝葉から落ちる水滴がボタボタと大きい音を立てている。トムはすっかり乾いたものに着替えたらしく元気になったようだ。僕も最悪の状況に備えてはいるもののできれば着乾かしがしたいがこの天気ではどうにもならないだろう。このまま寝たら寝袋は濡れてしまうだろうが、試しに寝てみよう。乾くのは明日の天気に期待しよう。


9/9(Thur) Hiking Day113/ 26mi/ 7:10am- 6:10pm (11:00) /NB 2356mi
“Wet to Dry”

 昨夜の雨は上がったものの枝葉から落ちる水滴は夜中ずっと音を鳴らしていた。撥水の復活したはずの僕のテントもびしょ濡れに。濡れた服のまま寝たので案の定寝袋は大分しっとりしているが夜寒さは感じなかったので、湿ったダウンでも意外と暖かく寝られるものだ。天然素材に感服。

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 準備にもたつき出発は7:10am頃になってしまう。寒い霧の中歩き始める。雲が少し上がると広い景色が目に入る。全て見えればもっと美しいのだろう。すぐにHWY410のTrail Headに出る。大きな駐車場とトイレがあり、ハイカーがいる。僕はトイレに寄り、トムは先へ行く。乾いて囲まれたトイレの中についほっとしてしまう。僕は心の弱い人間だ。
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 トレイルは標高を上げ山の中に入って行く。小さく綺麗な池がある。どこからか焚き火の匂いがすると思ったら、ハンターの白いテントがありトムがそこで火に当たっている。暖かそうなので僕も行ってみるが大きな火が立っていないので少し手を暖めるくらい。

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 その後も雲の中トレイルを歩く。景色はないけれど集中できるし、見える範囲でもそこそこ綺麗なのが、むしろ惜しまれる。時々雨は降るものの昨日ほどではなく、ほとんど曇りと言ったところ。トムは食事もろくに取らず歩き続けるが、僕は時々たったまま一服し軽く食事をしながら、それぞれのペースで進んで行く。

 いくつものGapを越える。一般的には『峠』は『pass』だが、小さくて切れ目のような峠や同じ尾根で斜面の向きが切り替わる時に越える少し落ちた稜線の部分を『gap』と言う。大きなアップダウンではないので歩きやすくペースも落ちない。Crown Pointというかっこいい名前の場所を過ぎたころ雨は上がり、雲も大分上がって来て、時々陽射しもさすようになる。トムと2人でやっと腰を落ち着けて休憩する。

 寒いけど昨日ほどひどい感じもしない。昨日も今日もあんまりゆっくり休んでいられない。トムはレインスカートを履いている。“調子どうだい?”と聞くと“悪くないね”と返事。僕はウィンドパンツなので濡れっぱなし。同じくらいの重さならレインスカートもありだ。でも単体で使えない(もちろん使えなくはないが)のが弱点かな。レインパンツもそうだが、ウィンドパンツは単体で履けるので着替えにもできる。ケースバイケースなのはもちろんだが、スルーハイクに適したオールマイティな雨用パンツはなんだろう。軽量レインパンツというのじゃつまらないし。

 陽射しがさらに出てくるも風が強くなってきて寒いし、回復とまではいたらない。向かいから3人のハイカーがやってくる。だいぶ着込んでいるし、出で立ちからデイハイカーなのがわかる。止まって立ち話をする。彼らはPCTのことを知っているので話がわかる。谷の中に建物が見える。ここは有名なスキー場らしい。その近くの稜線を辿っているということだ。彼らが言うにはこの辺りは本当に綺麗なところらしい。それが見られないのは残念だが、これもまた受け入れるべき現在なのだ。“明日にはもっと良くなるから。それにUrich Campに着けば小屋でも休めるよ”と励まされ再び歩き出す。
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 結局今日はあまり雨は降らないものの、気温が上がったり下がったり、風も冷たいので雨支度のまま歩き続ける。今日はあんまり早いペースで進んでいないが、それでも目指したい場所がある。このまま行けば問題ないだろうが、僕らが目指すのは、Urich Campだ。ここにはShelterがあるというのだ。この天気続きの中でシェルターの存在はありがたい。

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 標高が徐々に下がってくると、トレイルの状況が一変する。とてもMuddy なトレイルとなり、歩きづらい。表面がぬかるんでいるだけではなく、足が埋まるほどの柔らかい土なのだ。ずるっ、とむしろ滑らせるように歩いた方が良さそうだ。時間が詰まってきてしまったので、あまりゆっくりと休むこともできず、食べては歩きの繰り返しで疲れは溜まる一方だ。夢中で歩くこと数時間。ぬかるむトレイルと長い下りで膝が痛む。

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 突然開けて明るいところに出る。小川が流れ、Meadowが広がっている。そして一つの建物。Urich Shelterに到着だ。思っていた以上に立派な作り。小屋に入る前に泥まみれの靴を足ごと水の中で洗う。トイレは小屋の裏にあるようだ。Urichってどんな意味かと思っていたら、どうやら人の名前のようだ。小屋の中は二階建て。使えるかわからないが薪ストーブもある。この後人がくるかも知れないので邪魔にならないように、でも一番良さそうな場所を選んで荷物を広げる。とりあえず、昨日ずぶ濡れになったシェルターとしっとりした寝袋を干し、食事にする。雲に覆われてはいたが、雨がほとんど降らなかったので濡れた服は全て乾いている。ほんとドライなのがこれほどありがたいとは。
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 食事をしてトムと2人のんびりしていると、今日THのトイレで出会ったハイカーが到着。良く話を聞くと彼は2009にPCTをスルーハイクしていると言う。去年同じ位の時期にここを歩いた時、素晴らしい景色で美しかったのでまた来たのだが、今年は天候不順過ぎると言う。昨年はワシントン州で何日くらい雨に降られたか聞くと、せいぜい3日くらいらしい。それでも確かにカリフォルニアなどから比べれば多い方だ。2010の僕達は何日降られたのだろう。スタートからして雪と雨だったし、それ以外でもずいぶん雨の記憶がある。

 寝る頃になってジェネラルリーがやってくる。彼は相当疲れているらしく、食事もせずに(おそらく済ましているのだろう)すぐに寝てしまう。彼が寝息を立て始めた頃、どこからかネズミが現れ、ゴミが詰まった彼のバックパックのウェストベルトポケットを食い破って引っ張り出している。なんてことだ。このドライで素晴らしい小屋はネズミの巣窟のようだ。僕ももう一度食料袋を確認する。特に問題なさそうだ。

 僕もうとうとした頃、9:00pmくらい、リチャードウィザードやダフ、エグゼラが到着する。急ににぎやか。でもみんな疲れ果て挨拶もそこそこに寝入っている。ネズミに食われないことを祈りながら眠りにつく。
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# by hikersdepot | 2013-03-13 23:00 | PCT 2010 by Turtle