「ほっ」と。キャンペーン
<   2012年 03月 ( 1 )   > この月の画像一覧
Castela, CA to Seiad Valley, CA/ Day 105–110 Hiking Day 81–86/ 1510.0mi –1671.6mi(156.6mi) /1
8/4 (Wed) Hiking Day81 / 14mi / 2:00 pm- 8:30pm (6:30) /NB 1524mi
“Good Bye, Dear Charlies Hyde”

ゆっくりとスタートの朝。
僕の出発時間も特に決まっているわけでは無い。
急ぐ旅でもないのだ。
モーテルで迎える朝はいつものんびりだ。

お決まりの朝風呂に交代で入る。
日本ではこんなことはしないのになぜだろうか。
体の疲れは取れるし、目がすっきり覚めて気持ちよい。

朝食はBest Western の中にあるレストランで食べる。
大抵のモーテルには簡単なブレックファストはある。
しかし、ここは夕食も出す、割とちゃんとしたレストランがある。
モーテルの朝食はブッフェ形式が多い。
このほうがミルクもオレンジジュースもコーヒーも全て飲める。
ベーコンやソーセージだって好きなだけ食べられる。

朝食の後はチェッックアウトの時間までゆっくりと過ごす。
チャーリーはTrail Journal の更新をする。
僕はモーテルのパソコンでこの先の情報のチェックだ。
先客がいたので、待つ間に日本へ手紙を書く。
妻とは良く連絡を取るが、みんな元気だろうか。
手紙は、不思議と心が素直になる。
いつも思っていて言えない感謝をみんなに伝えようと思う。
本当にありがとう。

この先、森林火災による迂回がまたあると聞いていたが解除されている。
良かった、ハイカーにとってロードウォークほどきついものも無いだろう。
チャーリーがいなくなる事で情報の共有を身近でできなくなる。
こういった事も丁寧にしていかなければと思う。

出発前に日本にメールを送ろうと思い写真を撮る。
なかなかのひげ面だ。
汗と油で髪がベトベトしていないだけ“まし”だろう。

正午が近くなり、荷物をまとめてモーテルを出発する。
いつものハイキングスタイルに着替えると気持ちが締まってくる。
それと同時にチャーリーとの別れが近づき寂しい気持ちも。
あっという間にDunsmuir を通り過ぎてしまう。
“Castelaに行ってみないか”とチャーリーの提案があり了解する。
どういう場所なのか見てみたかったのでちょうど良い。

Yogi’s にはとても小さなコミュニティだと書いてある。
小さいストアしか無いので、リサプライは難しい。
しかし、POがあるのであらかじめ食料など送っておけば良い。

言う通り、なんとも言えない雰囲気のストアが一軒建っている。
表現の仕様がないのだが、アメリカらしいというのか。
70年代、いや80年代の映画に出てきそうな。
いや決して良い意味ではないが。
その横には小さいPOがぽつんと建つ。
近くにはキャンプ場もあるらしいがここからは見えない。

車を止めて降りてみる。
POの中のレジスターをチェックしてみる。
外に出てストアの方に向かう。
ストアは外身だけでなく、中の雰囲気も怪しい。
田舎の良い雰囲気では無く嫌な雰囲気が流れている。
品揃えはまあまあで、簡単なホットミールなら食べられる。
でも、夜に一人では入りたくない店だ。
久しく飲めなくなりそうなので、コーラを飲んでおく事にしよう。

さあ、行くか。
さっきは気がつかなかったが、車に乗り込もうとすると、ストアの裏手に人の姿が。
その3人はどう見てもハイカー“Trash”に間違いない。
みんな見覚えのある顔、Ann、Ass Face、Fuzzy Monkeyの三人だ。
残り1000miにしてこのメンバーとまた会えることに喜びを覚える。
みんな元気にしているようで、日陰で休憩している。
Ann とAss Face は休憩したら、また先に進むと言う。
Fuzzy Monkey は僕達の状況を説明したらDunsmuir まで行きたいと言う。
少し買い物をしたいのだと言う。
チャーリーは、反対方向だけど良いよ、と快諾。
Ass Face やAnn ともう少し話がしたかったが僕ものんびりはできない。
大きく手を振って別れる。

Castela からTHまでは車なら直ぐ近くだ。
インターチェンジを降りたところ直ぐがTHになっている。
ふとカーブの所を歩くハイカーの姿が見える。
Fidget とDrakesbad で会ったハイカーだ。
Ben の姿は見えないようだ。
彼らに手を振るととても驚いた顔で僕らを見ている。

THにも二人のハイカーの姿が。
Heitman’s で出会った少し変わったハイカーカップルだ。
車を降り、みんなでしばし歓談となる。
久しぶりに友人と再会した時のようにみんなで盛り上がる。
PCTでも初めの頃は大人数が集まる場所があるのだが、機会は減って行く。
ここまで来るとそれだけ人数も減るし、各自のペースができて会う機会は減るのだ。
Fidget達はチャーリーにDunsmuirに送ってもらう事になる。
チャーリーの車は臭い匂いで充満だ!
e0128835_9434158.jpg


“じゃあ、そろそろ行くよ。”チャーリーとの別れだ。
なんとも言えない気分だ。
今までと違いまた会えるような気がしないのだ。
僕はこの先どうしても急がなければならない。
余裕が無いわけではないのだが、遊んでいる暇もないのだ。
チャーリーは、一緒にPortland に行こう、なんて言う。
しかし、当初の予定からするとかなりの遅れなのだ。
それは仕方の無いこととしても、10月中には帰りたい。
そのペースで進んで行くという事は、チャーリーには会えない。
でも“またね”と言って別れる。
彼の目には涙が。
きっと僕の目も同じだろう。
“ここでゆっくり準備をしているから、きっと戻ってくるまでいるよ”
Fuzzy Monkey の用事は直ぐに終わるようなのだ。
それでも、もしかしたら。
“じゃあ”
“うん、じゃあ”
チャーリーの車は走って行く。
e0128835_9435461.jpg


さあ、気持ちを入れ替えて行こう!
まずは足拵えをしながら、スナックをつまんでパワー補給だ。
名前が覚えられないハイカーカップルは自然食にこだわりリサプライしているらしい。
そのほとんどは家族の協力によって送ってもらったものだ。
それにしてもいっぱいもっている。
“少しいるかい”なんていっている。
そういえばHeitman’s でも余った食料を作ってみんなに振る舞っていたっけ。
“僕は大丈夫”丁寧にお断りしよう。
だって、そのほとんどがオートミールで、僕はとても苦手だ。
じゃあこれをあげるよ、と出て来たのはミソスープだ。
しかも、Kikkoman じゃないですか。
日本のものと違いはあるが、なんだか嬉しい。
Nisshinやサッポロ一番などのヌードルはたくさん見かける。
みそスープだって良く見かけるが、高くて買えない。
ありがたく頂いておこう。

買っておいたオレンジをむいて食べているとバンが近づいてくる。
若いカップルが窓から顔を出して声を掛けてくる。
“ねえ、君たち!PCTハイカーだろ!?”Hey guysってヤツだ。
“僕達は君たちにプレゼントがあるんだ!”
おっとこれは意外なトレイルマジックかと期待する。
しかし、出て来たものは紙に包まれ煙草のようになったganja だ。
“ハイキング中に疲れた時に『ハイ』になるから、役に立つよ”と言うことだ。
僕は、もちろんやらないが、間に合ってるよと言って断ろうとする。
しかし、笑顔でなんの悪意も無く差し出す彼らに断れない。
カップルのハイカーの彼女の方が“サンキュー”と言って受け取る。
“がんばってね〜!!!”バンは走り去って行く。
“いる?”
“いや、いらないよ”
“私もしないのよね”
結局ここにいる三人誰も必要としなかったのだ。

再び車が近づいてくると、それはチャーリーの車だ。
“また会えたね”
さっきウルウルしながら別れたのに、やっぱりまだ僕はここにいる。
ファジーモンキーを降ろしたチャーリーは、“行くよ”と言う。
いよいよ、ほんとにさよならだ。
もう一度強く抱き合う。
本当に言葉では言い表せないほど感謝している。
ありがとう。
本当にありがとう。
またいつかきっと会いたいと思う。
Good-bye, Charlie. You are my best friend ever.

みんなでぼんやりのんびりしながら時間を過ごす。
でもずっとここにいるわけにもいかない。
“じゃあ、僕は先に行くよ”
ゲートを越えて歩き始める。
もう道路は見えないが、すぐ近くには車の行き交う音がする。
なんとなく人工物から離れる時は、寂しい気持ちになる。

ふと、草むらの方から音がする。
なんだろうと注意してみる。
、、、くま、だ。
おおお、さすがに近い。
静かにカメラを出してシャッターを押す。
e0128835_944441.jpg


小さく見えるので小熊だろうか。
こんなに道路の近くにまで降りているなんて。
油断した。
しばらく睨み合っていると向こうが動き始めた。
心臓がバクバクしているのに気づく。
僕も歩き出す。

小さなパワーラインに沿って林道を上がって行く。
どこからかトレイルに戻るのだが、この道が正しいのか不安になる。
しばらく行くと山の上に上がるトレイルを発見。
トレイルを辿るといくつかの分岐を過ぎながら進む。
いつしか道は一本になり、そのまま進んで行く。

地図を見る限りでは近くに林道も走っているようだが全く見えない。
さっきまで聞こえた車のエンジン音は聞こえなくなっている。
Castel Crag Wilderness へと入る。
e0128835_9442578.jpg


一昨日、トレイルから見えていた、あの岩山の事なのだろう。
今日のスタートは結局のところ、午後2時となっている。
もとから急ぐつもりは無かったものの、中途半端なスタートになってしまう。
どこまでどれくらい歩こうか。
10mi以上は歩きたいが、そうすると登りの途中になってしまう。
この先はしばらく長い登りが続くのだ。
登る手前でキャンプか、登った先でキャンプか。
登る前の方が場所も選びやすいし、水も確保しやすい。
登って良い事はほとんど無い。
明日が少し楽になるということ位だ。

小さい沢は豊富な水を蓄えている。
トレイルからは美しい岩峰が見えている。
深くに入るにしたがって景色は閉ざされてくる。
細い道を考えながら辿って行く。
e0128835_9443644.jpg


登りにさしかかり、水場で腰を下ろし、食事をしながらプランを練る。
ここから5mi上がらなければならない。
標高差も2000ft以上あるので、容易ではなさそうだ。
3時間から4時間といったところだろう。
時間はすでに午後5時を過ぎている。
ここか先か。
あまり考えている時間も無いのだ。
悩むくらいなら進んでしまおう。
それで失敗も多いのだが、動かないことを後悔するくらいなら動こう。
夏のアメリカの陽の長さを享受しよう。
e0128835_944449.jpg


決めたら後は歩くのみだ。
斜面を大きく回り込みスイッチバックで上がって行く。
歩くのは大変じゃない。
急に斜度を上げたと思えば、また大きく迂回して距離だけは長い。
再び空が開けて来て、向かう先がよく見えてくる。
太陽に照らされ、空は青くて、岩が美しい。
もう少し、一歩一歩上がって行こう。
時間はもうすぐ7時になろうとしている。
きっとチャーリーだったらいやがるんだろうな。
こんな歩き方も一人だからできる旅の形なのかもしれない。
e0128835_9445762.jpg


トレイルは山頂直下まで上がって、やっと斜度を緩める。
すると直ぐにcreek があり、十分なほどに水が流れている。
あわよくばこの水場にキャンプできる場所があればと思っていたが、残念。
周りはブッシュばかりで、ここでは難しそうだ。
水を汲んで場所を変えよう。

時間は8時を回る。
さすがに太陽は山の向こうに隠れてしまい、薄暗くなってくる。
ヘッドライトを使う前には歩き終わりたいと思う。
唯一可能性がありそうなのは、地図で見るところのゆるい尾根上。
ここから見える限りでは良さそうだが行って見なけりゃわからない。
歩きながら注意深く見ていく。
なにかテントらしきものが見えるが、枯れ木か何かだろう。
良く人工物に見間違えたりする。

尾根の近くまで来てみる、近くには平らな所は無い。
しかし、降りて行った先には平らな所がありそうだ。
本当は樹林帯の中のほうが風を遮れて良い。
開けていて見晴らしが良いのだが、寝るだけなので景色は関係ない。
とはいえ、わがままも言っていられない状況だ。

降りて行くとより状況がわかり、上から見ているよりも平になっている。
草むらの向こうにはテントが張ってある。
さっき見えていたのは錯覚ではなかったのか。
木の根元にちょうどひと張り分のスペースを見つける。
バックパックを置いて、テントの住人に挨拶へ行こう。

“Hi, How’s it going?”
すると出て来たのは、カップルのハイカーだ。
お互いPCTハイカーだということを確認する。
初めて出会ったハイカーだ。
“あそこでテント立てても良いかな”
“もちろん!”

時間は午後8時半を過ぎて一気に暗さを増して来ている。
ここは風が吹いたら辛そうだが、思いのほか地面が軟らかく暖かそうだ。
立木を上手く使いながら僕のソフトハウスを建てる。
設営と撤収が楽なソフトハウスは最高だ。
こんな原始的な生活に戻っても人は幸せに暮らせるのだろうか。
いや、むしろその方が幸せなのかも知れない。
幸せという言葉すら、必要なくなるのかも知れない。

そんな事を考えながら、今日も文明に支えられた食事を取る。
文明に支えられたハイテクな素材の家で寝るのだ。
そんなこと考えたって何の役にも立たないのかな。

向こうの山がやけに明るい。
どうも山火事のように見えるのだが。
僕の行く先は無事に進んでくれると良いな。

Interstate HWY が近いせいか、携帯が通じる。
日本に電話をして妻と話す。
力をもらった。
ありがたい。

星が綺麗で風は穏やかだ。
明日も穏やかでありますように。
友達や家族にも優しい風が吹きますように。


8/5 (Thurs) Hiking Day82 / 30mi / 6:30 am- 6:30pm (12:00) /NB 1554mi
“Independent Hiker”

すくっ!とまではいかないが、今日も素早く動き出す。
さすがに昨日の遅さが響いて寝不足のようだ。
空気が暖かいと朝の動き出しがしやすくて助かる。
今日の予定を確認しながら、いつもの高カロリースナックで始まる。
とっとと撤収を開始して、一服しながらソフトハウスをまとめる。

まだ起きてこないカップルのハイカーには声をかけずに出発。
トレイルに戻り、緩やかなペースで歩き出す。

歩き出して直ぐにcreekletがある。
小さく細い水の流れだ。
その先の奥まったスペースにノットアチャンス、クロエーション達がいる。
すっかり抜かれて先に行ったものと思っていたので驚く。
きっと彼らも街におりたか、していたのだろう。
ここでキャンプしているという事は出発は昨日だろう。
“おはよう”というと、向こうも僕がいる事に驚いている。
向こうは向こうで、僕が先に行ったと思っているだろうから。

e0128835_9464820.jpg


山肌を、標高を上げないように辿って行く。
歩きやすくて快適だし、景色は開けて美しい。
木陰のトレイル上に座り込む二人のハイカーを見かける。
White Beardと3rd monty だ。
本当に久しぶりの再会で驚く。
一体いつぶりの事だろうか。
思い出せないほどにずっと前の事だ。
“やあ、おはよう!”
そう言うと彼らも驚いた顔をして僕のことを見ている。
“ずいぶん君の名前をレジスターで見なかったね。”
“いろいろあってね。”とざっくり説明する。
“他のハイカーと、辞めたのか、と話していたんだ。”と言う
がんばってますよ!

彼らをパスして先に進んで行く。
昨日まではチャーリーがいた。
今日からは僕一人だ。
僕は久しぶりに一人で歩く。
単独行の旅人になる。

大きい変化に乏しいトレイルが続く。
アップダウンも少ない為何も考えないように歩く。
今日の目標は30mi。
けっして楽な距離ではない。
しかし、一日でも先に詰めていきたかった。
距離はともかく、12時間は行動し続けようと決めている。

ほぼ水平に進んでいくトレイル。
途中休憩を挟むが後からハイカーの来る気配は無い。
とても静かで穏やかなハイキングだ。

流れるように過ぎていく景色と時間。
一人歩くハイキングはこんなにも無心なものだったのか。
いくつかの分岐を過ぎ、いくつかのジープロードを跨いでいく。

まだ僕はMt Shasta のエリアからは脱していない。
美しくそびえるこの山も角度が変わると別の趣だ。
南から見るとその綺麗な稜線が印象的だったが、西から見ると勇ましさを感じる。
より山頂付近の高さが目立って見える。
e0128835_9465516.jpg


そして、今日も花が美しい。
時々現れる花畑は心を癒して、力を与えてくれるようだ。
何も求めず、顧みずに、美しく咲く花に、心から感謝する。
e0128835_947344.jpg


今僕は大きく西に向かっている。
本来ならば北に向かえば良いのに、I-5 を避けるように迂回しているのだ。

e0128835_9471153.jpg


また分岐が現れる。
ここから池に降りて行けば水が手に入るようだが、余計に歩きたく無い。
もう少し我慢すればトレイル沿いに湖を通る。
すると、小さな看板で水場への案内がある。
Yogi’s にもPCT Atlas にも書いていない水場だ。
ガレた斜面を少し降りるようだが、興味が湧く。
水を汲む為の道具を用意して行く。
踏み跡は明瞭だが、まだ道にはなりきっていない所を見ると、新しいのだろう。
3分ほど歩くと、岩の間から流れ出す綺麗な水がある。
この下のToad Lake へと注ぎ込む沢の一本の源流だろう。
湖や池は一見綺麗でもゴミが多く、処理が手間だ。
ここで水を補給できるのはありがたかった。
水を汲み終わり、歩き出そうと思うが休む事にする。
一人で歩くと休み時がつかみにくい。
しかし、疲労は着実に溜まっていて、体に負担を大きくする。
岩にもたれて昼飯を食べる。
疲れがどっと体を襲う。
でも、食べれば動ける。
誰も後からくる気配はなさそうだ。
e0128835_9471874.jpg


さあ、また歩き出そう。
すると、後ろから声がする。
クロエーション達かとおもったら、ホワイトベアード達だ。
さすがPCTのベテランは無駄が無く素早い。
感心していると、彼らも珍しく足を止めて休憩するようだ。
彼らは携帯を出して電話をしている。
まだ電波が届いているようなので、僕もメールをしよう。
これが良い時代の証なのか、はたまた悪い時代の象徴なのだろうか。
著しくハイキングの楽しみを台無しにしているとも言える。
安全性を高め、楽しみを増しているとも言える。
僕も、その恩恵に大きく預かっている、現代人の一人なのだ。

そんな事を考えながら今度こそ歩き出す。
ずっと山肌を縫うように道は続く。
途中の西側斜面にしっかりと着く、Snow Patch がある。
なんてこった。
今8月だぜ!
思わず一人つぶやいてしまう。
別に大した量では無い。
ちょっとパッチで付いているくらいだ。
しかし7000ft付近ですごく標高が高いわけでは無い。
今年の雪の多さを表す、一つのポイントになるだろう。

それを過ぎてから緩やかに下る。
急カーブを曲がって降りて行くと眼下には二つの湖が見える。
Deadfall Lake というらしい。
突然現れる湖だからだろうか。
あまり良い意味の言葉ではないが、見える景色は美しい。
数人のハイカーを見かける。
Summer Holiday のまっただ中だから人も多いのか。
e0128835_9472861.jpg


反対側の斜面に向かい、谷を下に見ながらトラバースして進む。
向かいからたくさんのハイカーが歩いてくる。
どうやらファミリーのようだが、断続的に続く。
数組のファミリーがキャンプを楽しみに来ているのだろう。
まだ小学生になったばかりくらいの子もいる。
大体は小学4年生くらいだろう。
道を先に譲りながらゆっくりと進む。
e0128835_947389.jpg


辿り着いた先は殺風景な峠、そして道路だ。
舗装はされていないが、整地された大きな駐車スペースがある。
なるほど、山に入りやすい環境だからファミリーハイカーを多く見たのだ。
先程までと打って変わり空は黒い雲に覆われ始めている。
雨が降るのだろうか。
時間はもう午後5時になろうとしている。
そろそろキャンプをする場所を考えなくては。

ちょうどこの辺りはキャンプしやすい平らな場所が多い。
心が揺れる。
しかし、今日は12時間は行動しようと決めている。
負けそうな心を奮い立たし、一歩先へと踏み出す。
動き出してしまえば、体は再び動き出す。

距離は3mi以上あるが、
そこまで行けば水場もある。
山裾を、半円を描くように進むトラバース道。
ほとんどアップダウンも無く、一気にスピードを上げて歩き進む。
雲はどんどんと発達して空を覆い尽くしていく。

とうとう雨が降り出す。
大粒の雨がぱらぱらと落ちてくる。
雷雨にならなければ良いのだが。
一時間ほどで水の流れるcreek まで一気に到達。
流れは細いが水は綺麗だ。
この辺りもキャンプには良さそうだが、湿っているし、下草も多い。
もう少し歩こう。

トレイルは馬蹄状に大きく回りこむので、今は南に向かう。
下の谷には池が見える。
あの辺はキャンプに良さそうだし、ジープロードも通っている。
でもここからは降りられないようだ。

地図であたりをつけた場所は急カーブとなる尾根状地。
この辺りだと一番等高線が緩んでいる。
遠い空には天に向かって大きく発達した雲が。
空は相変わらず暗く、雲に覆われたままだが雨は止んでいる。
e0128835_9475018.jpg


到着した尾根状地の末端は大きな岩になっている。
そこから見える北側の景色はなかなかのものだ。
もう少しトレイルから離れていくと枯れ草に覆われた平らな場所に出る。
地面も良く乾いていて、とても快適そうだ。
ここに決めよう。

時間は午後6時30分、ほぼジャストといったところだ。
思っていた通り、疲れもしたが、適度な休憩を挟みながらの12時間。
歩いた距離は約30mi。
もちろんアップダウンが多ければ難しいが、高低差の少ない今なら歩ける。
予想した通りだ。

食事を取り、しっかりとストレッチを行う。
今日は久しぶりに一人のキャンプだ。
ずっと誰かいる時間を過ごして来た。
それは友達との時間とも違う、とても濃密な時間。
寂しい、という気持ちなのか、何かが足りない気持ちだ。
忘れ物をしたような。
でも、PCTハイカーは一人一人が独立したハイカーの集団だ。
一人一人が判断し、行動する。
時にはチームを組み、協力し乗り越える。
しかし、一人。
だからこそ、その結びつきも強いのだと思う。

さらに独立したハイカーとなる為に、明日もまた一歩踏み出そう。

-"independent"Turtle
[PR]
by hikersdepot | 2012-03-09 10:03 | PCT 2010 by Turtle