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Belden, CA to Old Station, CA/ Day95 – 98 Hiking Day72 – 75 / 1293.8mi – 1382.8mi(89.0mi)/ Part3
7/28(Wed) Hiking Day75 / 24mi /6: 30am-3: 10pm (8:40) /NB 1383mi
“Go Flat to Old Station”

あっという間の朝。
眠気が強く残っている。
まだ陽が入っていない谷間は全て青みがかって見える。

周りを見てもテントの数は変わっていない。
チャーリー達のことが気にならなくもないが、仕方ない。
準備を整えて出発だ。

ファミリーキャンパー達の視線を感じながら歩き出す。
谷をどんどん上がりつつ谷に沿って歩く。
下にはドレイクスバッドの温泉プールが見える。
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上がりきって森の中に入って進む。
比較的アップダウンが無く、フラットな感じで歩ける。
少し下って行くと川にぶつかり、ちょうど良いキャンプサイトが見える。
3張りのテントがあり、立ち止まる。
道がわかりづらいがよく見れば川を渡った先だ。
川を渡らなければいけないが、靴を濡らさず渡れるところはなさそうだ。
一つのテントからハイカーが出てくる。
昨日、Ben と一緒にいたハイカーだ。
もう一つ声が。
Fidget が声をかけて来たので、Turtle だよ、と伝える。

起こしてごめんね、またね、と告げて川を渡る。
川を上流に向かって歩いて行く。
とても歩きやすい緩やかなトレイルが続く。
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少しだけ登ると、またフラットなトレイルが続く。
全体的に開けて明るい感じだ。
ペースはほとんど落ちずにどんどん先に進む。
前方に見えてくる湖は、 Twin Lake 。
話し声がするので見ると、キャンプをしているハイカーがいる。
そのまま湖に沿って進むと、またキャンプしている。
景色が綺麗だし、平らなので確かにちょうど良いのだろう。
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湖のほとりに降りて水汲みをする。
遠目で見るよりも、岸にはゴミが多く浮いている。
湖なので仕方がないだろう。
それでも貴重な水源には違いない。

反対方向から歩いてくるハイカーと挨拶をして先へと進む。
湖を過ぎてもまだまだフラットな状況は続く。
歩きやすい時はなかなか休憩時を逃してしまう。
休憩しなくても良いが、後が続かない。
長く歩く為には、休憩はとても大事な要素だ。
向こうからまたハイカーが話に盛り上がっていて、声が大きい。
人に多く会うのは人気のエリアだからだろうか。

彼らとすれ違ったのをきっかけにして休むことにする。
倒木に寄り掛かれるように休憩スペースをセッティングする。
風がとても気持ちよい。
結構良いペースで歩いて来ている。
Hui には追いつけるだろうか、いや多分無理だろう。
あの二人も僕には追いつけないだろう。
お腹いっぱいになったら出発だ。

トレイルはずっとずっとフラットなまま進む。
驚くほど何も無く、驚くほど起伏も少ない。
どのようにしてこの辺りが出来たのかは知らない。
しかし、Lassen Volcanic の名前の通り、火山によって成形されたのだろう。
乾燥した砂埃舞うトレイルを先に先にひたすらに歩く。
時間が長くなれば疲れを感じるのだが、フラットで歩きやすい為、休み時を逃す。
それにしても変化に乏しくだだっ広い。
湿地から流れ出る貴重な清水をしっかりと補給し歩き続ける。
今まで以上に広く平らな場所にでる。
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見えている限り同じ景色。前も後ろも。
永遠とこの森から抜け出られないような錯覚を覚える。
地図を見てみると、Badger Flat と書いてある。
Badger はアナグマという意味以外に、しつこいことを表す。
しつこい程平坦な場所、ということだろうか。
ここの前から同じように平坦だったし、これはこれでなかなか経験の出来ることではない。

やっとの思いで平坦なエリアを抜けると、久しぶりの起伏が現れる。
ずうっと向こうまで高いものが見えない。
ここをゆっくりと下って行く。
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周りは静かで誰もいない。
今日は風もなく穏やかだ。
“ザッ、ザッ”と歩く足音だけがリズムを刻む。
明らかに人工的に作られたジープロードが突然出てくる。

それをいくつか横切って行くと、そろそろお腹が空いてくる。
ちょうど良い木陰で半分横になった状態で昼食を取る。
台地の上が全て僕の“リビング”だ。
時間は2時になろうとしている。
この分なら郵便局には十分間に合うだろう。
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通り過ぎた道路の傍にはキャンプグラウンドがある
ここから傾斜はまた無くなり、ブッシュの多いトレイルが続く。
道路を横切り、歩き続ける。
ゴールが近づいている感触があると、急ぎたくなる。
力を振り絞ってラストスパートだ。

ふとハイカー夫婦と出会う。
彼らはデイハイクを楽しんでいるようだが、僕に話しかけてくる。
“この先はどうなっている?道路は近いかい?”
足が悪いようだがゆっくり歩いて楽しんでいるようだ。
上手く説明できなかったが、地図を見せて大体の場所を教えてあげる。
“ありがとう”
なんだろう、こういうふとしたハイカー同士の出会いがとてもうれしい。

乗馬を楽しんでいる人達に出会う。
トレイルにゲートがあるところを見ると、いよいよ街は近そうだ。
だが、今日ははっきりとした印が無く、32N20という道路だけが情報だ。
標識が運良くあれば良いのだが。

まあまあ整備されたジープロードに出る。
おそらくここで良いだろう。
大体、小さいジープロードには標識があるのはわかっている。
見渡すと標識があり、そこには“32N20”と書いてある。
西に向かって5分くらい歩くとHwyにでる。
ここを南に歩いて行くと、Old Station の“街”に着く。

ここも、街と言うよりは集落に近い。
正しくはここより少し北のもう少し大きな集落がOld Stationだ。
しかし、POはこちらにあるのでハイカーはここに用がある。

建物が見えてくる。
手前には小さなストア。
昔はガソリンも売っていたようだが、今は形だけがある。
ストアの前には小さなテーブルとベンチがあり、休憩にちょうど良い。
その隣には小さなPost Officeが立っている。
裏手にはHat Creek Resort がありコテージがあって泊まれるらしい。
今日は泊まる場所を考えていない。
ここのコテージで泊まるのかキャンプするのか。

とりあえず荷物をストアの前に置いて、POに向かう。
POは人が三人入ったら一杯のスペースだ。
声をかけて顔を見せた人は、アジア人に少々驚いているようだ。
僕の荷物をリクエストしている間に脇にあったハイカーレジスターを見てみる。
その中には、すっかり先に行ってしまったハイカー達の名前がある。
みんな元気にしているだろうか。
ガットフックの名前もある。前日に来ているようで、もう会えないだろう。
と、POの扉が開いてガットフックが入ってくる。
“Why!!! Guthook!!”
思わず大きな声が出てしまう。
そっちこそどうして、とガットフックも驚いている。
彼の脇から入って来たのは、小柄な彼よりも大きな女性だった。
彼女は僕にGood Footと名乗る。

ガットフックと一緒の僕よりも大きい女性はトレイルエンジェルだという。
直ぐ近くに“The Heitman”というトレイルエンジェルの家がらしいのだ。
全然知らなかった、というか、あまり考えもしなかった。
ガットフックはそこでZero Day を取り休息していたようだ。
カレは大体お金のかからないTrail Angel の家では積極的にZero を取る。
賢いヤツだ。

一緒に行かないかと言われたが、ストアで買い物をしたいので断る。
とりあえず何か食べたいし、何か飲みたい。
彼女は笑いながら理解してくれる。
“用事が済んだら、ストアから電話してくれれば直ぐに来るから”
と、二人は出て行った。

僕はストアに向かい中に入ってみる。
こじんまりとした店の中は意外と綺麗だ。
品揃えは豊富ではない。
特にハイキングのホットミールに出来るようなものはなさそうだ。
それでも、コールドミールを中心にするのであれば十分。
スナック類は豊富に揃っている。

奥にはスナックコーナーがあり、ハンバーガーが食べられる。
とりあえずメニューを見てみると、ミルクシェイクもある!
コーラも飲みたいし、どうしたら良いんだ!
Oh my gash!
と嘆くほどでもない。
両方いただけば良いのだから。

さすがにハンバーガーはやりすぎの気がするので、タコスにしよう。
それから、チョコレイトシェイクとコーラ。
外のテーブルにざっと広げ、のんびりと午後の陽射しを楽しむ。
チャーリー達はまだだろうか。
どれくらい遅れで歩いているのか。

あっという間に平らげ、またストアの中に。
ちょっとスナックを買い足してから、店員の人に電話をしてもらう。
それから直ぐにGood Foot の車が来る。
よっぽど近いのだろうか。

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車に乗り込んでから5分もしないで、“The Heitman”に到着。
母屋の他に、母屋より大きいガレージが見える。
既に何人かのハイカーがいるようだ。
その中には、PCTA(※1)のFreefall がいる。
Kick Off Party にも顔を出している、ちょっとした有名人だ。

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Hui もやっぱり先に到着していて、木陰で食料の仕分けをしている。
ひょっとしたら先に行っているかもと思ったが、Trail Angel は外せないらしい。
“いつ出発予定?”とHui に聞くと、“ああ、たぶん、今日の夜かな”と答え。
Good Foot がざっと施設の紹介をしてくれる。
奥に広がる庭には、なんとTree House がある。
ちょっと興奮するなあ。

ガレージにはPC、シャワーと洗濯機がある。
初めて会うPCTハイカーのピクルスという女性がいる。
一人で歩いているというが、真っ黒だ。
PCTハイカーといえ、日焼けを気にする女性が多い中、若いのにすごい。
タオルや着替えも用意してあるので、お言葉に甘えて借りることにする。
このところ頻繁にシャワーを浴びられるので清潔だ。
やっぱり毎日浴びても悪いものではないな。

シャワーのあとは洗濯。それから食料の仕分けをしなければ。
どこでしようか、どこに泊まろうか。
ツリーハウスの前にはテントも張れるし、
室内で寝てしまう手もある。
ツリーハウスの内部を覗くとなかなか良さそうだ。
二段ベッドにはガットフックのものらしき荷物が。
小さなテレビと映画のビデオテープがたくさん置いてある。
ここが良さそうだ。

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ツリーハウスの下には椅子とハンモック。
そこで荷物を広げよう。
と、車が入って来たのは新しいハイカーが来たのだろうか。
行ってみると、チャーリーとジョーのご到着だ。
二人とも笑顔で楽しそう。
ミルクシェイクの話をしようとすると、その手には既に握られたカップが。
“もちろんさ”と、したり顔のチャーリー。
お見それしました。

二人が案内されている間に僕は片付けに戻る。
この辺りの区間は意外に食べるところが多く、食料が減らない。
嬉しいことだが困ることでもある。
大分余っているので、ハイカーボックスにと思ったが、
きっとガッツフックもジョーも欲しがるだろう。

ここから次の補給までは4.5日程度か。
しかし、予定ではバーニーフォールでチャーリーの荷物をピックアップ。
そこのストアでもいろいろ食べられるだろう。
ここでも大幅に食料が余りそうだが、その分食べてしまおう。

今日も天気が良くて暖かいが、乾燥しているので木陰は涼しい。
さっきBen とFidget も来て、今日もたくさんのハイカーでにぎやかだ。
おっつけトレイン達も来るだろう。
各自作業も済んで、自由な時間を過ごしている。
ディナーまではまだ時間があるので、のんびりとしよう。

母屋のテラスに座ってみんな話している。
僕もそこに座り話を聞いてみる。
こういったのも英会話の上達につながる。
みんなの話題の一つは、明日越えることになるだろう、Hat Creek Rim。
Rim の意味は縁(へり)だが、自然のリムというと絶壁を有する溝やへりのことを言う。
地図で見てみても異様なほど等高線が密になっている。
それだけ急斜面と言うことだ。
Rim の頂上と下とで300mくらいの高さがあるのだという。
この辺り一帯は火山地帯で地盤がもろく、長い年月をかけて水で削られたのだろう。
大地の記憶というものか。
これがほぼ一日の行程という長さに加え、水が全く無いらしい。
ここをどのようにクリアするのかが問題だ。

それからもう一つの話題は8月の最後の週末に開催される、PCT Days!
しかし、今ここから開催地のCascade Locks の街まではぎりぎりの時間だ。
ほぼ休み無く歩いて、かつ一日25mi平均といったところか。
体への負担をかなり強いなければ厳しい状況だが、諦める必要も無い。
前向きにできる範囲で歩いて行くしか無いさ。

夕飯まではもうしばらくあるらしい。
チャーリーのレンタカー探しを眺めてたり、ガレージで過ごしたり。
Firewood はここHeitman を作った人物。
奥さんはあまり表には出てこないが、彼はとてもFriendly だ。
もともと建築関係の仕事をしていたらしく、だからツリーハウスもお手の物だ。
とても有名な建物も手がけたらしく、チャーリーが驚いていた。

夕食前になって誰かが来たと思ったら、Warner Spring Monty だ。
また会ったというか、一体何者なんだ。
彼は各地に出没してはハイカーをサポートしてくれる素晴らしいトレイルエンジェルだ。
しかし、それにしても出没率が高すぎるのではないだろうか。
もう一人、“Pickles”もKick Offで見かけたTAだ。

Train やSun Seeker も到着したころ、やっと夕食が始まる。
もちろん夕食が出るトレイルエンジェルは普通ではない。
それだけ負担が増えるのだから。
だからこそ、ありがたく感謝しなければ。
また、あとのハイカーの為にドネーションは欠かせない。

トレイルエンジェル達が用意してくれたのは、ブリトーを中心とした料理だ。
“料理を食べる前に手を洗って!”とお母さんみたいなGood Foot。
みんなテラスのテーブルに座り、夕食のスタートだ。
今日は続々とハイカーが集まって、セクションハイカーも加わり、本当に楽しい。
一日の最後の夕食が素晴らしいものになって、幸せだ。
テーブルにあるアルバムにはたくさんのハイカーの写真がある。
顔を撮っとかないと忘れちゃうから、と奥さんが言う。
みんなそれぞれおかわりをするとあっという間に食事は無くなっていく。
今日出て行こうかと言っていたHui も夕食につられ滞在を決めたようだ。

今日はまだまだ時間がある。
明日は早くはない。
Hat Creek Rim を越えるのに早朝から歩くことにしたからだ。
明日はのんびり過ごし、Subway Cave など観光して過ごす。
そのあと、トレイルヘッドまで行ってそこで早めに就寝し、翌早朝出発の予定だ。

チャーリーはレンタカーが見つからず、Dunsmuir からAmtrakで行くことにしたらしい。
ジョーは、兄のダニエルを待つかどうかを悩んでいる。
このまま進んでしまうと、その距離はいつまでも縮まらない。
でも、ジョーは僕達と一緒に進みたいらしい。
“待てないのか”とジョーに聞かれる。
待てるものなら待ちたいが、そうも言ってはいられない。

僕はツリーハウスの中で寝ることにする。
ガットフックは“ネズミに気をつけて”と言う。
食料はしっかりパックライナーに入れて口を締めておこう。
チャーリーとジョーはどこかに寝床を見つけているようだ。
昼間の暖かさが嘘のように冷えてきた。

それぞれの道への別れが近づいている。
でもその先には一人一人の光が見えると信じよう。

※1 Pacific Crest Trail Association の略

-"easy"Turtle
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by hikersdepot | 2011-12-07 22:50 | PCT 2010 by Turtle
Belden, CA to Old Station, CA/ Day95 – 98 Hiking Day72 – 75 / 1293.8mi – 1382.8mi(89.0mi)/ Part2
7/27(Tue) Hiking Day74 / 22mi /6: 30am-4:00pm (9:30) /NB 1359mi
“Drakesbad + Bad”

体がだるい。
さすがに昨日の疲れが残っているようだ。
甥と遊ぶ夢を見た。
どうも今更ホームシックになってしまったのか。

いつも、余裕があると余裕を取りすぎて余裕が無くなる。
今日目指すは温泉と食事。
時間は十分あるが、余裕を持って歩きたいと思う。
結局いつも通り目が覚めて、いつも通り歩き出す。
いつもと変わらない朝だ。

今日もチャーリーとジョーに先行してのスタート。
少し気温は低く寒い。
すぐに小さな湿原が現れる。
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木道を渡り越えて行くと、シダーの森に入って行く。
平で歩き易い道はいくつかジープロードを横切る。
標識があるトレイルヘッドもあるので、人が多く来るのかも知れない。
少しだけ標高を上げた先にはHighwayがあり、道が見える。
トレイルの直ぐ脇には、カウボーイキャンプのハイカーが寝袋にくるまる。
PCTハイカーではなさそうだが、顔を向けて挨拶をしてくる。

Highwayは大きな道では無いが、少しは流れがあるようだ。
トラックも通っているところを見ると主要な一つなのだろう。
横切って向こうに続くPCTへ向かう。
大きな丸太が一本、ガードレールの様に横たわっている。
そこを回り込んで見ると、丸太の陰にはクーラーボックスが二つ。
Trail Magic だ!
今日は夕食を贅沢できるので、必ずしも必要では無いがとりあえずチェック。
大好物のPopやフルーツがたくさん入っている。

これはラッキーと思い、二人を待つ。
チャーリーがすぐに来て、手を挙げる。
こっちに回り込むと、ニヤリ。
ハイタッチだ!
ジョーを待つ間ネクタリンをいただこう。

ジョーも来て、見て喜び!
しかし、これはPCTハイカーの為に用意してくれたものだ。
これを用意してくれたトレイルエンジェルからのメッセージが書いてある。
さらに、ここからChester の街に降りる場合は呼べるように電話番号も。
本当に感謝しか無い。

ソーダを飲み終えたら出発。
しかし、急の腹痛を覚える。
食べ過ぎかな?

することをして、二人を追いかける。
この森にはたくさんの看板がある。
ここにはたくさんの種類の杉があり、それを説明している。
また、ここには旧国道があり、馬車で行き来していた歴史の跡がある。
二本のくっきりとした轍(わだち)は、長い年月でも残ったままだ。

これといって特徴の無いトレイルをひたすら先へと進む。
カリフォルニアのPCTは北に真っすぐ進まずにくねくね曲がっている。
国立公園や国定公園、州立公園を繋ごうとするとそうせざるを得ない。
ハイカーにとっては辛いところだが、道路歩きはもっとお断りだ。

さくさく歩けていかにもアメリカらしい雰囲気のトレイルだ。
アメリカのトレイルはなだらかと言われるが、決してそんなことは無い。
たしかに、日本よりも直登は少ないが、日本も昔はそうだった。
旧道や古道を通ると、たいてい無理な道の造りはしていない。
日本の近代登山道が無理矢理なのだ。
アメリカのトレイルはそれと比べれば歩きやすいかも知れない。
しかし、良く写真にもあるようなたおやかな道はそうはない。

ところが得てしてこういう道は記憶には残らない。
きっとそうなのだろう。
昨日見えた山が更に近づいて見える。
外輪山を含めて、とても大きな、雄大な雰囲気を持っている。
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今日もジープロードをたくさん横切る。
それだけ人里が近いということなのだろう。
一度休憩を挟むが、あとは黙々と歩く。

いつの間にか先頭になっていて、自分の速度で進んで行く。
今日は珍しく四人でほぼ前後差少なく歩いている。
またジープロード出て脇から続く道を降りる。
下には広がる地形が見える。
そこまで降りると、強い流れの川に当たり、橋が架かっている。
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North Fork Feather River。
チャーリーが傘を流した川と同じ名前だ。
ここまで繋がっているのだろうか。
ここに流れ着いたりしたら面白いのにな、とありもしないことを思う。
ちょうど日陰も気持ち良い、橋の下で休憩することにしよう。
みんなでのんびり休憩だ。

今日の目的はDrakes Badというリゾート地だ。
そこでの食事は昨日のMid Point 到達の祝いでもある。
ところが夕食となれば時間はかかる。
スタート点から22miでは足りない訳では無いが、明日の為にももう少し歩きたい。
明日はOld Station に着けるのだが、POには制限時間がある。
閉まる時間までに着かなければならない。
今日22miとしたら、明日は24mi。
歩けないわけでは無いが、時間に余裕が欲しい。
だからこそ今日中に距離を伸ばしたい。
出来たら、食事だけにしようかと話をする。
しかし、ジョーとチャーリーはのんきだ。
まあまあ、なんて言っている。
チャーリーは時間に制限が無い。
いつゴールしても同じだ。
ジョーは兄のダニエルを待つ必要がある。
ここで急ぐ必要は無い。
Hui は帰りの日にちを決めているが、今のペースで行けば無理なく行ける。
僕も急ぐ必要は無いが、のんびりする理由も無い。

なんとなく四人で歩き始める。
単調で歩きやすいトレイルは続く。
稜線は低く、平で、展望も見込めないものだった。
しかし、のんびり山歩きを楽しめる。

木々が多く、陽の光が入らない稜線を降りると、森はより鬱蒼とし暗い。
森の中のアップダウンが繰り返されて、池へと飛び出す。
池や湖はたくさん通るが、そばを通るのは久しぶりな気がする。
そこを降りていくと、トレイルは分岐する。
チャーリーとジョーは分岐を行きたいという。
その方向には、Terminal Geyser があるという。
“間欠泉”のことだ。
アメリカにも思いのほかHot Spring はたくさんある。
特に中西部から北西部は火山もあるので、当然なのだろう。
ここも、Lassen Volcanic National Park 。
火山によって生成された山域にあるのだ。
とはいえ、間欠泉はそれほど一般的ではなく、とても珍しいものだ。
しかし、僕は日本人。火山の島に生まれ育った。
日本人にしてみれば、間欠泉はそれほどの珍しさはない。
むしろポピュラーな観光スポットと言って良いのだろう。
そんな僕には、当然興味はあまりなかった。
Huiもあまり興味を示さず、とっとと先へ。
僕もチャーリー達と別れ、先を急ぐ。

丘のような場所にあがると先が見える。
森が広がっているだけだ。
そこを一気に下って歩く。
しばらくして見えて来たのは小さな池だ。
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しかし、その色は独特の乳白色をしている。
そして周りに漂うのは硫黄の臭いだ。
池の周りにはMud Potという温泉が湧き出ている場所もある。
草津温泉を思い出して、懐かしい気分になる。
それにしても、Mud Pot(泥の壷)とはストレートなネイミングだ。
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トレイルが森に入り、森を抜けると、下に建物が見える。
あそこがDrakesbud だ。
プールのようなものも見えるが、あれが温泉だろうか。
トレイルはプールの近くを通るが、少し遠回りしてPCTを辿る。
トイレがあるトレイルヘッドに出ると道路にぶつかる。
PCTはここを右に行って再び山へ。
でも僕の目的は左にある。

道路を歩くときとても違和感が強くなる。
道路はやはり人が歩くものではなく、車の為にある。
人が作ったのにも関わらずだ。
人にも自然にもハイインパクトなのに。

とぼとぼ歩いてコテージが建ち並ぶ場所を抜ける。
滞在している人からは奇異の目で見られるが慣れっこだ。
大きな建物が二つ見えてくる。
時間は午後4時になっている。
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右手の建物の前にはテーブルが並んでいる。
ここがレストランなのだろう。
Huiが着いていてくつろいでいる。
Ben とFidget も合流。
一人、ハイカーが増えている。
入り口の脇にはにくい看板が。
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Drakesbud は道の終点にあるリゾート地で温泉プール以外には乗馬ができるらしい。
そこらには馬の糞の良い臭いが漂っている。
日本で言う、秘湯、の部類に入るのだろうか。

椅子に座り、午後の陽射しを楽しむ。
話はたくさんあり尽きない。
Ben も間欠泉に行ったようで、その途中に熊に会ったという。
かなり至近距離で見たらしく、写真を自慢げに見せている。
しばらくそうしていると、チャーリーとジョーもやってくる。
間欠泉はとても珍しく楽しかったようだ。

ここでは、ハイカーの為に温泉プールに入る為の水着やタオルを貸してくれる。
それぞれに借りてプールへ向かう。
プールに入る前にシャワーを浴びてしっかりと汚れを落とそう。
ふと、プールにいる人にびっくり!Train達がいる!
どう考えても追いつけないはずなのに!
シャワールームのそばでチャーリーに
“なんで彼らがいるんだい?絶対にスキップしたんだ!”
“ああ、そうだね。まったくどうしようもない”
と二人で呆れてしまう。
確かに、Belden からここまではこれといって特徴も無く、面白くもない。
しかし、それでも歩けるならば歩かないと自分たちのしていることの意味が希薄になる。
顔に出さないようにみんなに挨拶をしてプールに入ろう。

お湯は硫黄の臭いを少し感じるくらいだ。
少し軟らかく、なかなか良い温泉だ。
しかし、プールは深く、日本のようにのんびり浸かるという感じではない。
水鉄砲で遊んでいる人もいるし、浮き輪で浮いている人もいる。
そういえば、Warner Spring もそうだったなと、懐かしく思い出す。

周りは家族連ればかりでみんな楽しそうだ。
僕達はものすごくむさ苦しい男集団だ。
紅一点のFidget はプールに入る水着が無いのでシャワーを浴びるだけらしい。

陽が傾き始めると意外と涼しい。
洗濯をしたいが、自分達で出来ないので頼むしかない。
仕方なく待ってもなかなか進まないことに焦る。
それにしても空腹だ。
夕食はいつなのだろう。

待ちに待った夕食は午後6時に訪れる。
外に並べられたテーブルの上には“PCT”の予約が。
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各自席に座りやっとのスタートだ。
コース料理らしく前菜からスタート。
当然お供はコーラだ。
みんなそれぞれに飲み物を頼み、乾杯!
まずはパンからだが、あっという間に無くなる。
気が利くウェイトレスの女性がおかわりを持って来てくれる。
とても感じの良く、みんなとも会話が弾む。
チャーリーがどこから来たのか聞くと、クロアチアからだという。
チャーリーの話では、クロアチアから仕事に来る人がとても多いのだと言う。
とても真面目でアメリカの文化に入るので新たな労働層になっているらしい。
サラダはボールで出てくるのだが、どれだけの取り分かが難しい。
しかし、アメリカ人相手に遠慮しても仕方ない。
積極的に行こう。
メインディッシュは平面のパスタ。
アメリカのパスタに良い思いは無いのだが、ここのはとても美味しい。
ウェイトレスの彼女が気を利かせてくれてみんなの写真を撮ってくれる。
とても嬉しそうな顔ばかりだ。
これが1600mi以上を歩いて来たハイカーの誇らしげな顔だ。
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おいしいパスタもあっという間に無くなるが、これもおかわりを用意してくれた。
ありがとう。PCTハイカーのことをわかっていらっしゃる。
最後にはオーナーが挨拶に来てくれて、みんなで感謝を述べる。
彼も僕達にあと半分がんばるようにと言ってくれる。
本当にありがとう。

洗濯をなんとか始められたが、その間に小さなストアでお菓子を物色。
高いうえに品揃えも乏しいので僕は我慢する。
陽が大分落ち、空も徐々に暗くなるが洗濯は終わらない。
本当はこの後少し歩きたいと思っているのだが、これでは出発が出来ない。
しかも、チャーリーは自分へのご褒美にスパの予約を入れてしまった。
時間は午後7時からだという。
おそらくはそれほど問題も無く明日は歩けるのだろうが、少しは余裕が欲しい。
それにここにはキャンプスペースが無い。

気持ちを決め、出発することにする。
チャーリーとジョーを置いて。
といってもまた明日には会うのだろうが、僕は僕のペースがある。
合わせられるところは合わせたいが、全ては出来ない。
プールで遊んでいるジョーに先に行くよと告げて出発する。
Hui やBen、Fidget らは、既に出発しているようだ。

歩くと言ってもほんの少し、直ぐ近くのパブリックのキャンプサイトだ。
真っ暗な中、来た道を戻る。
明日の為にも早く休みたい。
楽しむべき場所はここでは無いはずだ。
あれこれ考えていると直ぐにキャンプサイトに到着。
ナイトハイクをしても良いのだが、無理をしても楽しくない。

綺麗に整備されたキャンプグラウンドだ。
シャワーなどは無いようだが、そばに温泉プールがあることを考えれば十分なのだろう。
数張りのファミリーテントが見えるが、その中にはソロ用のテントも。
暗いので傾斜が良く分からない。
歩くにはライトはいらないが、さすがに設営は難しい。
ヘッドライトを出して、地面を照らし傾斜を見る。

とっとと立てて寝るようにしよう。
すると向こうから声をかけられる。
ソロテントの住人はPCTハイカーだったらしい。
彼は“Old Scout”と名乗る 。
同じ名前のハイカーを知っているが、彼では無いようだ。
暗くて顔が見えないので、話だけで、すぐにお休みの挨拶。

チャーリーもジョーも来る気配が無い。
まあよいだろう。
明日はOld Station という街に降りる。
とりあえずそこで食料の補給をする予定だ。
どこで泊まれるのかはわからないがなんとかなるだろう。
そしてどうせそこで会うことになるのだろうから。

時間は10時近い。
どうしても遅くなってしまう。
もやもやした気持ちはあるが、忘れてしまおう。
明日も楽しいハイキングの時間が待っている。
さあ、寝よう。明日の為に。自分の為に。


-"easy"Turtle
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by hikersdepot | 2011-12-06 22:42 | PCT 2010 by Turtle