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Red's Meadow, CA to Tuolumne Meadows, CA / Day72 - 74
7/1(thr) Hiking Day 52 / 20mi /9:15am-6:45pm (9:30) / NB 925mi
“Many Lakes”

JMT の中で最も有名な湖がある。
千の小島を持つと例えられている。
そこを目指して歩く一日が始まる。

早朝マウンテンゴートが部屋を出て行く。
彼は僕を待たずに別のハイカー達と先に出発することになる。

僕たちも早めに起きて荷物をまとめて出発の準備をする。
食事を終えて、POのオープンに合わせて荷物を出しに行く。
寂しくなるからしなければ良いのに、妻に電話をする。

POのカウンターの女性は、この前も10日前も同じ女性で、僕のことをPCTハイカーだと覚えていた。
日本人のハイカーは珍しいから当然だろう。
彼女は、いつまで滞在するの、と聞いてきた。
長くいるように感じたのだろう。今日出発だよ、と告げる。
Thank you. See you. 本当にまたここに来たいと思う。

まずはVillage に行ってバスに乗ろうと歩いて行く。
だが、チャーリーは、ヒッチハイクをしてみようと持ちかけてきた。
そうは上手く行かないだろうと、歩きながら親指を立ててサインを出す。
ところが、あっさりと数台目で車がストップ。
車の60代くらいの男性はハイカーで、これからシエラに行くという。
向かう先は一緒ということだ。

スキー場について、Red’s Meadow 行きのバスに乗り込む。
さっきの男性も一緒だ。
他にも数名のハイカーがいるが、女性四人のグループがいる。
彼女達は写真を撮るのが目的で入山するようだ。
他にも数名のDay hiker が乗っている。今日は盛況らしい。

バスはいくつかのバスストップで止まりながら進んで行く。
そのどれもがトレイルヘッドで、気軽にシエラの自然を楽しむことができる有名な観光地でもある。
そのうちの一つ、Agnew Meadow はPCTルートが横切っている場所でもあり、
最も簡単に“千の湖”にアクセスできる場所でもある。

車に乗せてくれた男性はそこで下車して行く。
再び感謝と、旅の安全を願う言葉を言い合い別れる。

女性のグループはその先の、Soda Springs で降りて行った。
いっぱい詰まっていそうなパックだ。

Red’s Meadow に着いて、準備を済ませたら出発だ。
PCTにはガイドブックでも推奨される、Alternative Route がある。
その一つが、Devil’s Postpile、だ。
観光地ではあるがせっかくだから通って行くことにする。

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砂埃舞うトレイルを淡々と歩いて行く。
トレイルヘッドに近く、多くの人が入るのだろう。
道は広くきれいに整備してある。
しかし、道が錯綜していて、signpost(道標)はあるものの、わかりづらい。

綺麗な川に沿ってしばらく進むと、人の声が聞こえてくる。
もうすぐに、Devil’s Postpile だ。これは日本でも見られる柱状節理のことだ。
たしかに、綺麗に縦に並んでいて、珍しくはあるが、まあまあ言ったところか。

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トレイルは道を分け、THとJMTに進んでいる。
JMTへのルートを通ると湿原があり、戻ってきた感覚がある。

次にはPCTルートとぶつかる。
PCTルートの方が雪も少なそうで、きっと楽に歩けるだろう。
ぼくらはJMTのルートを選ぶ。

森の中に入って行き標高を少しずつ上げて行く。
標高はそれほど高くないが、日陰に守られた雪が歩みを妨げる。
トレースもとても不明瞭だ。
しかし、道に迷うことも無くなだらかな地形を北西に向かって進む。

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途中休憩を挟み、まだまだ進む。
小さな湖や湿地状の場所を抜けて行くとまずはRosalie Lake が現れる。
湖に沿って進み鞍部を越えて、雪の急斜面を降りて行く。
目の前にはShadow Lake がある。
湖の近くまで降りると、トレイルが完全に水中で腰まであるのが見えてきた。
木も雪の重さで大きくたわみ迂回もしづらい。

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なんとか通り過ぎたあとまた上がって行く。
崖の突き当たりを上ったさきのPass を乗っ越す。
風が涼しいが、寒くはなかった。今日もよい天気だ。
ただ、すでにいい時間になっている。
どこまでたどり着けるだろう。
思った以上の雪に翻弄されている。

さすがに人気のトレイルで入りやすいエリアだけあって、デイハイカーが多い。
みんな時間は大丈夫だろうか、と心配になってしまう。

急斜面を下ると大きな湖が見えてきた、Garnet Lake だ。
湖が川の流れに変わる場所に架かるフットブリッジを渡る。
すると、犬連れのハイカーグループがいる。
どうりでたくさん動物らしい足跡があると思った。

Garnet Peak と Garnet Lake
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もうひと登りして、小さな湖をトラバースするように雪の中を歩く。
二つ越えると、ふたたび大きな湖が眼下に広がる。
Thousand Island Lake についた!
実際に見えているよりももっと大きいのだろう。
地図で見る限りかなり奥行きがあるようだ。

なにか落ちているなと思ってみると、マウンテンゴートが使っていたスタッフバッグだ。
カメラを入れる為に使っていた防水のバッグだ。無いと困るだろう。
追いつけるかはわからないが、持って行くことにする。

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JMTとPCTとが合流する道標が立っている。
ここからはまたPCTを進むのだ。

サウザンド・アイランド・レイクは山の中にある大きな湖。
点在する小島が多いので、千の、という呼び名になったのだろう。
大きさでは、Garnet Lake とそれほど変わらない。
しかし、その独特な景色で多くの人を惹き付けるのだろうか。

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湖に沿ったトレイルを歩く。
珍しい、黒人系女性ハイカーのキャンプに出会う。
人気のスポットだけあって多くのキャンプサイトがあるようだ。
今日もテントがたくさん見える。
ところが、その多くがまだ雪か、水で濡れた状態のままだ。
必然と少ない場所を取り合う形になっている。

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二人でうろうろとキャンプサイトを探すがいい場所が無い。
チャーリーは無理矢理斜面を上がって行くが僕は拒否する。
ちょっとむくれたチャーリーと、しかたなく先に行こうとする。
しかし、今度はトレイルが見当たらない。またうろうろと歩き回る。
すると、さっきのテントを張っていたハイカーのところがほぼトレイルの上だった。

地図を見る限りこの上に開けた場所があるだろうと上がる。
トラバース気味に進んで行くが、トレイルの上は陽が射している。
この上を探そうと言うが、今度はチャーリーが拒否。

少し先に行くと斜度も穏やかになり、しかし、平地には雪が多い。
トレイルを外れて少し上に上がってみると、ちょうど良いスペースが。
地面も適度に乾いていて、近くには水の流れもある適地だ。

今日は雪に翻弄されながらもなんとか20mi歩けたので上出来だ。
幕営の準備をして食事にする。

一息ついてふと気づく。
靴には亀裂が入っていた。破けたのだ。
まだ300miにも満たないくらいなのにだ。
ショックを受けるが、仕方ない、あれだけのキックステップを繰り返したのだ。
尋常じゃない使用頻度と酷使した結果だ。
応急処置的に裏からダクトテープを貼付ける。
表にも付けてみるが、メッシュ素材との相性は良くない。
買った靴は全て先送りだ。
すこし後悔した。

チャーリーと、Tuolumne Meadows で携帯がつながれば買えるかもしれないと希望を持つ。
どのみち歩かなければならないのだから。

今日もたくさんの星空のもと眠りにつこう。
とっとと寝てしまえば難しいことも考えずに済む。
人生とはハプニングだ。

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7/2(fri) Hiking Day 53 / 20mi /6:00am-2:00pm (8:00) / NB 945mi
“Tuolumne”

起きても靴の穴は塞がってはいない。
当たり前だが、今日はまたひとつ、Donahue Pass を越えるのだ。
キックステップはなるべく避けたい。
完全に開いてしまってはごまかしもきかないのだ。

標高を落として行き、もう完全になれてしまった雪と土のミックストレイルをいく。
かなり平らな場所になり見通しは良くない。
森と水の美しいトレイルを抜けて行く。

岩の上で休むハイカーは、Turbo だ。
彼は、ロッキーラクーンやクラウドキッカーと一緒に歩いていたが、一人になったらしい。

湿地と雪とで見失い、道に迷うが、ターボの力も合わせ、なんとかそこを乗り越えると森を抜ける。

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暖かい陽射しが感じられるようになってくる。
今日もハイカーとすれ違う。
独立記念日が近いから、みんな長期の休みで山に入っているようだ。

一気に森林限界上に入り見渡しの良いトレイルを検討を付けて上がる。
岩の間に幕を張るハイカーに再び出会う。
こんなにハイカーに会うことは、今まで無かった。

正面には特徴のあるピークが見える。
Donahue Peak に違いないだろう。
とすれば、あの西側にDonahue Pass があるということか。

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ふと思う。JMT全体のどれくらいトレイルの上を歩いたのだろう。
肝心なところはほとんどが雪だった。
全く、物好きにもほどがあるだろう、PCTハイカーは。

歩く人が多いせいか、かなりはっきりとしたトレースに沿って行く。
見事に地形の弱点を突くようなルートだ。
実際のトレイルもそうなっているはずだ。

岩を乗り越え、雪を蹴散らし、あともう少し。
向こうには人影が見える。ハイカーが二人いるようだ。
もう一人、座っているらしい。

数あるパスの中でも比較的簡単に、Donahue Pass(11060mi) は現れた。
いくつ目かも考えたくない。が、どうやら8個目。
Kearsarge Pass 往復も入れたら、10回も3,000m 以上の峠を越えた。
PCTに含まれるJMT区間の最後のPass となる。
良くやった!

ターボはパスで休憩せずに先へ行ってしまう。
どうやら座っているハイカーのところへ行くらしい。
よく見ていると、マウンテンゴートだった。
スタッフバッグを渡したいので、大声で呼びかけるも無反応。
聞こえなかったようで、そのまま行ってしまう。

あの向こう側に進んでいこう。
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ここからは下りとなる。
PCTハイカーによってあらされ、錯綜するトレースを無視して、下降して行く。
チャーリーはストレートウォークが好きで崖のようなところを降りようとする。
冷静にルートを考えながら、弱点を見つけて徒渉を終えると、トレイルが現れた。

そこからは見るからに雪が無く、歩きやすそうなトレイルが続いている。
今年は例年と比べかなりの積雪だったので、この谷にも雪が多いという話だった。
しかし、全く雪は無く美しい景色が広がる。
ところが森の中はやはり雪があり急斜面で嫌らしい。
木が多いので恐怖感は少ないが歩きづらい。
大荷物を担いだハイカーグループに出会う。
あれが普通なのだろうが、重そうだ。
この雪と斜度に完全に歩みを制限されているように見える。

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ここを降りきると橋が見えてくる。
ここは、Donahue Pass で会ったハイカーが蚊が多いと言っていたところだった。
しかし、全然いない。
気温や時間帯によるのだろうか。

水を汲み再び前に。
見渡す景色は大きな谷を一望できる。Lyell Canyon だ。
くっきりと森林限界が見え、谷底には大きな湿原と川が流れている。
急斜の石畳のようなトレイルを下って降りるといよいよ斜度は緩やかになる。

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平らで歩きやすい、雪の無い、道をさくさく歩く、歩く。
チャーリーには休むつもりなんて無いのだろう。
早い、止まらない。それが必要ないくらい楽なのも事実だ。
微妙に下っているがほぼ平らな状態が続く。

大きくうねるように川が蛇行し流れて行く。
色はエメラルドグリーンで、きらきらと輝いて美しい。

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もともと、湿地に近いトレイルは、大きくえぐられ荒れている。
田んぼの畦の様なトレイルを、びしゃびしゃ、歩き、川を渡り、飛び越える。
一気に降りてきているので、どのくらいの位置にいるかわからなくなってしまう。
前を歩くハイカーは、Shanghaiの相棒だ。
膝が痛くてゆっくり歩いているので、置いて行かれたという。
彼はシエラのほとんどを迂回していて歩いていない。
そのことに不信感がある僕は話したくなかった。

こちらに向かって歩いてきたハイカーは、巨体だが、荷物を担いでいない。
その後ろには彼氏らしき人物が。
さらに後ろには、どうやら歩荷の様だ。
びっくりした。そんな商売があったなんて。
これもJMTという有名トレイルだからなのだろうか。
だらだらと続く長いトレイルは、まるで梓川のようだ。

なんだか気のせいか蚊が多くなってきたような気がしていると、
今度は子供の姿とデイハイカーがいる。
いよいよ近づいてきているのがわかった。

すぐに橋のある場所に。
こんな小さな川に橋を架けるなんて。
レンジャーが山に入る人達の状況をチェックする為に来ていた。
大きな橋、大きな川、道標には Tuolumne の文字が。

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道は広がり整地されたトレイルからはアスファルトの道路が見える。
道路に沿うように続く歩道を歩く。
向こうから道路を歩いてくるハイカーがいる。
マウンテンゴートとターボ、それにボストン&カーヴィだ。
マウンテンゴートにやっとスタッフバッグを渡すことができる。
彼らはハーフドームのパーミッションを取るということを言っている。

ハーフドームは2010年からパーミッションが必要となったのだ。
過剰な利用を制限する為だが、当日でも十分取ることが可能だ。
しかし、ちょうど独立記念日の祝日と重なるため、そうはいかない。

ぼくは行く必要がないと感じていた。
ヨセミテですらバスで行こうと思っていた。
それは体力温存もあるが、靴のことが気がかりだったからよけいだ。

ビジターセンターに行くと多くのハイカーやフィッシャーがパーミッションのため列をなしている。
チャーリーが並んでいるのを外から眺めていた。
結局、最後のパーミッションは、ボストン&カーヴィのものに。
ターボもマウンテンゴートももちろん僕らも手に入れられなかった。

別にいいじゃないかと思いもする。
有名な場所だからといって行かなくてもよいと思う。
下から眺めているから美しいハーフドームなのかも知れない。

そこから道路を少し西に歩いて行くと、人が多いにぎやかな場所に出る。
Tuolumne Meadows Post Office とStore 、裏にはキャンプグラウンドがある中心地だ。

ストアの前には多くのPCTハイカーが溜まっている。
それ以外にも観光客の車でいっぱいだ。
彼らにしてみれば、臭くて汚い僕たちが異様に見えるのだろう。
しかし、こちらは逆に彼らの姿が“実”の無い姿に見えてしまう。
どちらが正しいということではないのだろう。
住む世界が大きく違うだけだ。

ストアには、併設してハンバーガーショップもある。
そこで買ったハンバーガーにハイカーはがっついている。
ストアの充実ぶりもなかなかのものだ。
シリアルバーや山用のフリーズドライフード。
チーズやサラミ、ソーセージ、シリアル。
他にもちょっとしたアウトドア用品もある。
パンなどの炭水化物類も豊富だし、いうことない。
もちろんアイスやソーダ、ビールもある。
基本的には、裏にあるキャンプグラウンドに来るキャンパー相手の品揃えだ。

集まっていたハイカーの中には久しぶりに会う、クロエーションやノット・ア・チャンスがいる。
それ以外にもファジーモンキーやシェインハイ、ニアン、チームゼロ。

まずは腹ごしらえとハンバーガーにありつく。
値段なんて見る必要も無い。
ベーコンチーズバーガーにフレンチフライにコーラ。
さらにデザートとしてチョコブラウニーを追加する。

腹がふくれても腹が減っているのはなぜだろう。
食後のアイスを食べ終わると近くにある、季節オープンのアウトドアショップに。
靴は納得のいくものが無い。
店員には意味が無いと言われたが、強力な接着剤を買い補強することにする。
アルコール燃料は量り売りが無いので、仕方なくストアで調達するか。

僕としては靴の温存を考えて、Yosemite Valley には歩いて行きたくなかった。
しかし、チャーリーの押しに負けて明日降りることにする。

キャンプグラウンドは広く、迷ってしまいそうだ。
どこかにバックパッカーズキャンプがあるらしく探しまわる。
なんとかチームゼロやターボ達が揃っている場所を見つけ一緒にさせてもらう。

みんないろいろな選択をしている。
ターボはネストの付いたシェルター。
ニアンはフライとグラウンドシートだけのテント。
マウンテンゴートはレイウェイだ。
キューベンのシェルターもある。
チャーリーはフライクリークの本体なしだ。

みんなでシェルターの話になるが、僕のツェルトを見て珍しがっている。
まず色がビビッドなオレンジ。それに形がクラシックだ。
ターボは、クラシックなAフレームがとても好きだと言ってくれた。

みんなとあれこれ話をする。
ニアン、チームゼロは一緒に先へ進むようだ。
さっきまでいたボストンとカーヴィはヒッチハイクでマンモスに戻ったらしい。
PCTルートを歩いてここまで来たが、戻って今度はJMTルートの完歩をするらしい。
いろんな人がいるものだ。

熊がもっとも出ると噂の、このキャンプ場。どきどきもんだ。
食料はしっかりベアボックスの中に入れて就寝だ。

ハイライトを抜け、少し安心した。
心が満たされた、良い一日だ。





-"easy"Turtle

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by hikersdepot | 2011-07-19 10:48 | PCT 2010 by Turtle
Mammoth Lakes, CA / Day 71 ZeroDay16
6/30(wed) Zero Day16 Mammoth Lakes, CA / Day 71
“In Mammoth Lakes”

朝から食欲は旺盛で、Motelの朝食をたらふく食べる。
ワッフルを簡単に焼ける機械を使って自分で作るのが面白い。
飲み物も飲み放題だ。

今日はやることが多い。
まずは無料循環バスを利用して、昨日映画を見た場所まで向かう。
そこから歩いて図書館へ、インターネットをやる為に行く。

カメラにたまった画像を移したり、日本にメールを送ったりした。
画像が大きくて思うように遅れないのがもどかしい。
日本で無事に受け取れていれば良いと思う。
その後、WEBショップで買い物をする。
これから先の靴とハイキングシャツを買う為だ。
この街にもアウトドアショップはある。
そこで買えば煩わしくなくて良い。
しかし、自分が納得のいくものを使いたいという気持ち。
それと、ここまで問題なく使え、信頼をおいているものを変える怖さだ。

特に、靴に関しては、ここまで三足のシューズを履いてきた。
全て別のモデルだが、一足目は足に合わず苦労した。
二足目は悪くはなかったが、満足のいくものでは無かった。
三足目は、いままでと違い、何の問題も起きずに快適に歩けてきた。
それを考えると、同じものを履きたいと強く思うのだ。
しかし、ここのアウトドアショップには同じ靴が売っていなかった。
同型ラストの靴もあったが足入れは良くない。
というわけで、まとめてこの先の分三足を買うことにしたのだ。
ついでにシャツも、ということになる。
送る先は、ここから約190mi先のSouth Lake Tahoe だ。
折れたトレッキングポールの替えもそこに手配した。

図書館でだいぶ時間を使ってしまったようで、もう昼時だ。
腹が減っているのかわからないが、とりあえず食べておく。

その後、チャーリーは昨日予約したスパへ向かい、僕はVONS というグロセリーに買い出しに行く。
買い出しの度に、違うものを買う訳ではないのに、悩んでしまう。
だいぶ時間をかけて“いつも通り”の買い物を終えた。

バスを待たずに歩いて行こうと思ったが、荷物の重さもさることながら、距離が意外とあり、バスに追い抜かれる。
他にも買い出しをしつつ、モーテルに戻る頃には、三時を回っていた。

POの近くに着くと、マウンテンゴートがPOから戻ったところだった。
POはもうすぐ閉まってしまうと言う。
すっかり時間を勘違いしていたようだ。
いまからパッキングしても、間に合わないだろう。
仕方ない、明日の朝の出発を遅らせて、朝一でPOに行こう。
ちょうどチャーリーもスパ終わりでこちらに来た。

僕はマウンテンゴートから驚く話を聞かされる。
ロッキーラクーンが国に帰ってしまうという。
要するにリタイアだ。
たしかにさっきPOにCardboard Boxを探しに行ったとき、彼は大きい箱を持っていて、いらない荷物を送る、と言っていた。
リタイアの理由は雪が多すぎて時間がかかるため、リミットでは行けないから。
それと、彼女が恋しいからだという。
なんだそりゃ!
もう三日も歩けば、Yosemite に着く。
せめてそれからでも遅くないだろうに。

夕食は日本食を食べに行ってみようということになったが、マウンテンゴートはリブステーキが名物の店に行くという。
僕たちは、Sho-Gun、という日本食レストランにチャレンジに行く。
地元の人がおいしいと言っていたので、それにかけてみることにしたのだ。

結論から言えば、決してまずくはなかった。
だけれども、日本人が一人もいないというのには驚いた。
いや、ここまで日本食がアメリカで定着すればそれも当たり前か。
日本にはイタリア人のいないイタリアンレストランもフランス人のいないフレンチレストランもたくさんある。
天ぷらはフリッターのようだった。
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トンカツは薄すぎる。
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しかし、それぞれの味はアメリカ人に合わせてあるようだ。
アメリカの味にすっかり慣れた僕にとっても悪くなかった。
チャーリーは日本のトンカツソースを初めて味わったらしく、いたく気に入ったようだ。
たしかに甘辛はアメリカ人が大好きな味だ。
いつか日本に来たら、もっと美味しいトンカツを食べようと約束する。
チャーリーは、今日はシンのバースデイのやり直しだ、と言いおごってくれた。
Mono のことを気にしているらしい。
ありがとう。その気持ちが嬉しい。

マンモスレイクスは良い街で離れがたい。
トレイルに戻るときには心がざわめく。
夜の空気は冷えて気持ちを落ち着けてくれる。


-"easy"Turtle
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by hikersdepot | 2011-07-12 22:52 | PCT 2010 by Turtle
Vermilion Valley Resort,CA to Red's Meadow,CA and Mammoth Lakes, CA/ Day 69 - Day 71
6/28(mon) Hiking Day 50 / 17mi /10:00am-6:30pm (8:30) / NB 894.0mi
“One Thirds”

早朝から落ち着かず、ドタバタと出発をする。
Mono Hot Spring には朝食を食べるところも無く、まずVVRに戻る。
フェリーの時間にも間に合わなければいけないので、気持ちが前に行ってしまう。

車を出してくれたSpaの経営者は、トレイルネイムを”Butt Queen”という。
たしかに名前の通り、色っぽい女性だった。
彼女の車には後部座席が無く、マウンテンゴートと荷物と一緒に乗っかる。
しかも、後ろのハッチが少し壊れていて、いつ開くかわからない。
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がたがたと揺れるダート道をVVR へとひた走る。
実際、恐れていたハッチが開くというハプニングの中、40分以上かかりでVVR に到着した。

フェリーの時間までが迫っているので、急いでレストランで朝食の注文をする。
しかし、立て込んでいるせいでなかなか出てこなくて気持ちが焦る。
適当に腹に詰め込んだので何を頼んだのか、何を食べたのか記憶が無い。
プラスで必要な物をストアで買い足して波止場へと急ぐ。
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フェリーに乗り込んだハイカーは来る時より多かった。
昨日の午後にこちらに渡ってきたようだ。
Sherman というスイスから来た女性のハイカーとチャーリーは顔見知りだったようだ。
彼女は彼と一緒にPCTを歩いている。
Shanghai(上海。ほかにも暴力的な意味あり)とは、Kearsarge Pass に行く車の中で一緒だった。
その時のパートナーは一緒ではないのかと聞くと、
彼は雪が多いのを嫌って下山し迂回するのだと言う。
びっくりした。ここがハイライトの場所だというのに!
まあ、たいていのハイカーは後か歩き直すのだが。

フェリーが波止場に着く。
みんなはすぐにスタートする。
僕はといえば、やっと靴ひもを締めてスタートだ。

一度通った道を戻る。
時期には人が多く入るからなのだろうか、木道が敷かれている。
見たことのある橋が出てくる。行きよりも早く感じるのはなぜだろう。
そのまままっすぐトレイルを進む。

すぐに徒渉となる。
ガイドブックや地図には注意すべき徒渉と紹介されているが、たいしたことは無い。
そこからは急斜面を登り、標高を上げて、山の中に入って行く。
いくつかの徒渉を繰り返し、細かいスイッチバックを繰り返す。

ごうごうと音を立てて水が流れ落ちている。
雪解けが急激に進んでいる証拠だろう。

それはトレイルにも影響していて、トレイルは水に浸食され、川の一部になっている。
予想外の水量に足が押されてしまい、今日一番のデリケートな徒渉になった。
名前に反して優しいShanghai が待っていて、通り易いルートを教えてくれる。
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急斜面を上がりきると斜度は緩やかに景色が開ける。
トレイルは雪に隠され見えなくなる。
まあいつものことさ、と前進して行く。
所々雪が切れてはトレイルに降り、また雪の上を歩く。
木々の陰の雪はまだまだ多く、融けずに締まっている。
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もうひと登りした先からはPass に向かって上がって行く。
雪と岩と水のオフトレイルを歩く。
日当りの良いところで一休みして食事をする。
緩んだ雪上歩きは力を奪われてしまうので本当に歩きづらい。
うんざりする。

斜度を増して一気に登り詰める。
トレースがハッキリしていて上りやすい。
開けた見晴らしの良い場所に出て、ここがPass か、と喜ぶが、違う。
Yogi にも間違いやすいので注意と書いてあった。
右側に見える高いピークの方だ。

トラバース気味にさらに上ると大きく開ける。
周りにあまり高い山が無いのでほぼ360度の景色だ。
7個目のSilver Pass(10900feet)に到着だ。

思っていたよりもスムーズに上ってくることができた。
ゆっくりと時間を取って休もう。
ビデオや写真を撮って楽しむ。
なぜなら、なんとここがPCTのほぼ三分の一だからだ!

もう?いや、まだ?しかし、喜ぼう!讃えよう!

長い長い旅だ。いつ終わるかと呆然としたこともあった。
だが、着実に進んでいる。今がその証の一つだ。

下からJMTハイカーが上がってきたが無視されてしまった。
おいおい。挨拶くらいしようぜ!

Silver Passからはちょうど良い斜度と緩んだ斜面が続く。
一気にグリセーディングで降りて行く。
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振り返るSilver Pass。
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あっという間に、Squaw Lake、雪の無いところまで来てしまう。
トレイルも登りの時と違って雪がほとんど残っていない。
快適に歩ければ、PCTハイカーはとにかく早い。
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豪快に流れる川、Fish Creek の橋を渡り、川に沿って行く。
気づけば今日のキャンプ予定地であった、Tully Hole まで来てしまった。
時間もまだ早く、ここに留まる必要も無い。
明日にはRed’s Meadow に着ける。早いにこしたことはないとみんな思っている。

蚊が少ない川沿いで一休みした後、川と反対側の壁のような斜面を上がる。
うんざりするほどの大きなスイッチバックは歩くのは楽で良いが長い。
そこを上りきると平坦な斜面と大きな湖が現れる。
Lake Virginia 。バックには通り過ぎてきた山々が美しく輝く。
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湖周辺は冷やされているので残雪が多い。
水辺を沿うように歩いて行く。
普段は水の流れが少ないのだろう。
飛び石で石が並んでいて、ここがトレイルだということを表している。
だが、今はそれも水の中だ。
水中トレイルを上から撮る。
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雪が少なくなりグチュグチュになったトレイルを辿り、谷を外れてピークに挟まれた場所を乗り越える。
南西からは真っ黒で怪しい雲が近づく。

向こう側に抜けると急斜面のトラバースになる。
先頭をいくチャーリーの足取りは軽い。突然!
チャーリーがポストホールを作った!
良くあることだが、やたらに悪態をついていて、いつもと様子が違う。
足を引き抜いたチャーリーの足には血の跡がべったりと付いている。

とりあえず、もう少しだけ歩いて座り込むチャーリー。
パンツの裾をめくるとかなりひどい傷だ。
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出血は既に止まり始めているようだ。
みんなの物を持ち寄ればたいていそろってしまう。
それでチャーリーの傷を消毒し塞いで応急処置を施す。
傷も痛そうだが、それ以上に精神的に傷ついていそうだ。

やや北よりの斜面には雪がびっしり付いている。
なかなかにデリケートな状況だ。
ランニングシューズが滑りやすいのか、マウンテンゴートは恐る恐る歩く。
グリセーディングには急すぎるし、木が多すぎる。
ヒールキックでしっかりと雪を踏みながら下って行く。
さっきの黒い雲からは時折低音が響いてくる。

トラバースの道を横切り下部まで降りてくるとすぐに、Purple Lake に着く。
良い時間となり今日はここでキャンプする。
小さい橋を渡りキャンプサイトを探す。
チャーリーは浮き石に足を乗せてしまい転んでしまう。
泣きっ面に蜂、だ。
悪態をつくチャーリーを見ると、チャーリーも悲しそうな顔をする。
チャーリーをハグして慰めてあげる。

Tully Hole より先に行きたいと強く言ったマウンテンゴートは、
チャーリーの傷の責任を感じているようで近づいてこない。
また子供みたいに。気にしなくても良いのに。

Purple Lake はとても綺麗な場所だった。
湖からの水も澄んでいる。
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各自良さそうな場所を選んで、今日の“家”を建てる。
いよいよ雲は黒く覆いかぶさってきた。
ぽつぽつと雨が降ってきたが、本降りにはならなそうだ。

マウンテンゴートは一人離れてRay-Way Tarp を張っている。
夕食の時間になって、みんなで集まっても一人来ない。
声をかけるが反応が無くて寂しい。
しばらくしてマウンテンゴートが参加してくれたので良かった。

ぽつぽつ降っていた雨も日没後にはほとんど止んでしまった。
星も見えてきた。
Shanghai の作る火はマウンテンゴートとはまた違った趣がある。
火を前にして今日も話が弾む。

明日は久しぶりの街だ。勝手知ったる、Mammoth Lakes 。
楽しみだ。

希望はピザとコーラ。
待ちきれない!



6/29(tue) Hiking Day 51 / 14mi /6:30am-12:00pm (5:30) / 908.0mi
“Red’s to Re-Mammoth”

起床してすぐにスタート。
標高が上がると再びの雪となる。
そんなに難しいところも無く、トレイルもわかりやすい。
山肌を大きくトラバースするように歩いて行く。
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アップダウンも少なく、ひたすら前に、前に歩いて行く。
Duck Lake へのトレイルをパスすると緩やかに下りはじめる。
足はもう止まらない。
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お腹は空いていたが朝の休憩も取らずに歩く。歩く。歩く。
平坦な道は歩きやすく、駆け出したくなる。

Deer Creek まで来てやっと止まって一休みとする。
昨日から蚊の襲来が極端に減って助かる。
シンがいつ止まるのかと思った、とチャーリーが言う。
いつも僕がチャーリーに思っていたことの逆だ。

小さな湿原と美しい流れに架かる橋を越える。
森の中から出て、明るさの増したトレイルは左右ピークの間を抜け、再び森の中に入る。

今日はここまでほとんど雪がなかったのに、標高を落としたここにきてたくさんの雪が現れる。
森が濃いため、日陰の雪が融けにくいのだろう。
上ったり降りたりを繰り返し、川を渡る。
途中でJMTハイカーと出会う。
スタンダードなハイカースタイル。歩くのが大変そうだ。
雪の状況について情報交換をして別れる。
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道があるようで無いような状態が続く。
向こうにきれいな円錐形のピークが見える。
道の雪も消えてなくなり、近づいて行く。
これは良い目印なので地図にもはっきりと書かれている、Red Cone だ。
これを巻くように歩くとあっという間に通り過ぎてしまう。
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斜度を大きく傾けトレイルは下って行く。
大きなスイッチバックの開始だ。
二回くらいしかスイッチしないのにそれが長くて困る。
途中でHorse Riding の人たちと出会う。
PCTはもともと公益の歴史を辿る道でもあるから、馬でトレイルに入ることが出きる。
PCTで初めて、やっと出会うことができた。
トレイル上では、しょっちゅう馬の糞に出会い、踏みしめ乗り越えて来たので会いたかった。
ただ、馬が通った後はトレイルが荒れてしまう。
それがやわな地面であればあるほどだ。
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斜面が緩やかになり開けてくると、次に目の前に現れるのは大規模な森林火災跡だ。
Forest Fire は日本では想像できないほど、頻繁に、普通に毎年起きている。
それは、PCT はもちろん、JMT も決して例外ではないのだ。
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規模にはよるが一度火災が起きてしまうと、その再生と回復には人の生涯よりも長い時間がかかる。
しかし、この火災があるかからこそ、陽が入り、新しい木々が育ち、花畑が広がるのもまた事実だ。
まだここの森はやっと再生への道を進み始めたばかりの森だった。
生々しいほどの焼け跡はそのままに木々は倒れ、朽ちていた。

久しぶりにとんがって攻撃的な植物の間を縫って傷を作りながら進む。
標高の高さと水の豊富さで植生も豊なシエラだが、東側は完全な砂漠気候の台地。
ここもまた砂漠気候の中にあるのだと改めて認識する。

いまどの辺だろう。もうすぐかな。と話していると、トレイルはやや広いダートへ。
そして看板が目の前に。Red’s Meadow へ続く道に間違いが無かった!
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ダートロードを上がって行くと、馬の牧場がある。
Horse は人が乗るもの。Mule(雄ロバと雌ウマの雑種)は荷物を運ぶと決まっているらしい。
Muleは、運搬を主な目的として繁殖させられている。
馬とロバのどちらの良さも兼ね備えているからだ。
だが、繁殖能力は無く、一代限りの悲しい生き物だ。
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そのまま歩いて行くとコンクリートの硬い地面を踏む。
目の前にはRed’s Meadow の看板がある。
やっと着いた!
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その奥にはストアとカフェがある。
ストアにはおいしそうな物がずらっとん並んでいる。
ここで十分次の補給点までの物が買えるほどの充実ぶりだ。
ストアの前には、Cloud kicker、Rocky Raccoon達がいた。
その他にもハイカーがたくさんだ。
ここまでJMTを歩いたハイカーなのか、これからなのかはわからない。
比較的みんなきれいな格好をしているな。
いや。あれが普通なのか?

下まで我慢しきれない僕たちは、お腹が痛くなるのも構わずに、アイスクリームにコーラやジュースにスナックと食べ放題だ。
ストアの前にバスが止まって人が降りてくる。
そして僕たちは、あのバスに乗ってMammoth Lakes の街に降りるのだ。

バスの運転手の女性の話ではやはり今年の雪はとても多いらしい。
それだけではなく、気温が低温なのが特徴だそうだ。
バスの価格は$7で往復。期限なしとはものすごく安い。

バスはAgnew Meadow などこれからPCT が通るところにも寄りながらスキー場に降りて行く。
見慣れた景色が現れた。あのマンモスの像だ!
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スキー場に来たのは今から約10日前のことだが、雪の融け方がすごい。
あの時が想像できないほど青々とした草が生え、雪はかろうじて斜面にしがみつく程度だ。
スキー場の風景も、独立記念日を前にすっかりサマーシーズンに模様替している。
スキーの無い時期は、マウンテンバイクが売りらしく、レンタルも大規模に行われている。
驚いたのは、ここから乗り継いで下に降りるバスもマウンテンバイクの人達用で外付けの自転車ラックが異様な数ついていた。
ヘルメットを片手にしたライダーを横目に、臭いハイカーが四人座っている光景。

ビレッジでまたバスを変えてダウンタウンのメインストリートへ。
Shanghaiはパートナーを捜してそこで泊まることになる。
Motel6 ではTeam Zero の面々に会う。
Graduate のことを聞くと、彼は一人で先に進んでいるという。
先にPOに行って、Bounce Box をピックアップしてから宿を選ぶ。
今回はチャーリーが一緒なのでちょっと高級なモーテルに泊まる。


ベッドは二つだがエクストラで足してもらう。
僕がエクストラで良かったのだが、マウンテンゴートが強く譲ってくれたのでベッドを頂く。

しかし部屋にクーラーが無いのに参った。
たしかに夜は涼しいのだろう。だが、日中は暑いに決まっている。
これには少々参ってしまった。
理由があるらしいのだが。
本来ここの土地はクーラーがいらない涼しさらしい。
ところが今年は寒く雪が多かったが、ここに来て急に暑くなっているらしい。
確かに、山の中でもほとんど寒さは感じなかった。
まあ、屋根があって寝られれば十分かな。

とりあえず、交代でシャワーを浴びてきれいになる。
それから、中途半端な時間だったがピザを食べに行く。
久しぶりの高カロリー食はなんとも言えずに旨いものだ。
コーラもたらふく飲んだ。

日本に電話をする。向こうの時間は朝の7時くらいだろうか。
兄にあててだ。
兄夫婦に二人目の子供が生まれた。
今度は姪っ子だ。メールの写真はまだしわくちゃだったが、かわいい。
兄に、おめでとう、と言う。
彼女の誕生日は僕の次の日、28日だ。
ちなみにかわいい甥っ子は僕の二日前、25日。
だめな叔父さんに似ないことを切に祈る。

その後、チャーリーは病院へ、僕はコインランドリーに行く。
暇をつぶしていると、Neon に出会った。Lone Pine から遊びに行くバスの中で出会ったのを思い出す。
彼女は父母と会う為にReno に行ったはずだった。
彼女はここから先にNorth California を歩いて、雪解けしてからここに戻り、SOBOでJMT区間を歩くという。
それも、またHiker Direction 。

病院から戻ったチャーリーと街を歩いているとダニーに出会う。
僕らの方がだいぶ先に行っていたが、すっかり追い抜かれてしまった。
まあ良いか。

さっき食べたピザハウスでは、Team Zero の面々やCloud Kicker、Rocky Raccoon、Neonが集まっていた。
挨拶のつもりが残り物処理班にされてしまった。

結局腹の減らない僕らは、チャーリーの希望で映画を見に行くことにする。
たった$5で見られるという。ポップコーンのバターのせ、とドリンクを足しても$10だ。
くっだらない、でもサイコーに笑えるアメリカンコメディを見て久しぶりに大笑いした。

マウンテンゴートは別行動。
どうも僕たちとは上手く行かないようだ。それはしかたないことだ。

そろそろ靴と新しいハイキングシャツを準備する必要が出てきた。
明日はZero とって用意をしなければ、時間はありそうで少ない。

夜は静かな街だ。
なんだか、ここがアメリカという異国なのかわからなくなってきた。
慣れて当たり前になってきたのか。
日本もここも僕にとっては同じような気がする。

乾いた風が気持ちよい。
ヘッドライトのいらない、街灯に照らされた、静かな夜が過ぎて行く。


-"easy"Turtle
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by hikersdepot | 2011-07-08 09:35 | PCT 2010 by Turtle
Kearsarge Pass,CA to Vermilion Valley Resort (VVR),CA / DAY 62 - 68 / Part 5
6/27(sun) Hiking Day 49 / 6mi 5:30am-9:00am (3:30)
And Vermilion Valley Resort & Mono Hot Spring

“ Unhappy Birthday !? ”

32歳となる今日、平穏な誕生日になることを願った。

太陽が出きる前に素早く撤収。
気を抜くと朝から蚊の良い餌にされてしまう。
未だ月が少し見えていた。
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川沿いの道はアップダウンもほとんどなくスピーディーに歩ける。
朝のウォーミングアップにちょうど良い。
山肌を切って進むトラバース道はいくつかの分岐を分けて行く。

大きな谷に沿って歩いてきたが途中から、その谷を突っ切るように一気に標高を上げる。
ここを上ってしまえば後は降りるだけ。

短い登りだが短いと思うと長く感じてしまうのが人間の悲しい性。
一気に斜度が緩くなってくると、谷の上の台地状に出る。
木々に囲まれた綺麗なトレイルを北西にストレートに進んで行く。
時間に余裕はあるのに、時間が定まっていると、どうにも落ち着かない。

VVR 渡る為には船に乗る必要があるのだが、一日二本しか無いのだ。
朝の便を逃したら、午後まで待たなければいけない。
標高はそれほど無いのに、日当りが悪いからか雪が結構残っていた。
しかし、トレイルのほとんどは出ているので楽に歩いて行ける。
その緩やかな登りが、Bear Ridge Trail の分岐を分けると下りに転じる。

すぐにその緩やかな下りも急斜面に変わっていき、大きなスイッチバックを切りながら下降して行く。
斜度がかなりあるのでスイッチバックを切るのは楽に歩ける。
しかし、トレイルが直ぐ下にあるのに降りられないジレンマ。
歩けども歩けども、高度計の数値は下がらず下にたどり着かない。
チャーリーは膝が痛いようでのんびりと歩いてきている。
マウンテンゴートは絶好調で一気に姿が見えなくなった。

やっとの思いで急斜面を終えると、この旅で初めての白樺に出会う。
太陽が差して、緑がとても美しく輝いている。
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小さいスミレ科のような花が咲いている。
日本の山を思い出す。
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橋のたもとにハイカーがキャンプしている。
あのエヴァンをそそのかした、トーマスだ。
あれほど会ったのに、この人は僕の顔も覚えていない。
こっちも興味が無いので良いけど。
どうやらエヴァンやノガ達が僕たちの後に入山したらしく待っているのだと言う。
なんだかトレイルエンジェルの領域を大きくはみ出しているような。
これもハイカーディレクションだろう。
フェリーの波止場が変わったから注意した方が良いという。

この橋を渡って右に行けばPCT。
左に行けばLake Thomas A Edison 、そしてVVRだ。
止まらず迷わず左に舵をとる。
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しばらく森の中を抜けて行くと大きな湖が見えてくる。
看板には大きく時刻が書いてある。
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特に波止場が定まっていないらしく。どこで待てば良いか分かりにくい。
うろうろ探しているがらちがあかない。
湖上で釣りをしている人に声をかけて聞いてみるともっと奥にあるというので行ってみることに。上ったり下ったり進んで行くと確かに人口の浮き島が用意されていた。
そこで三人並んで足を乾かしながら船を待つ。
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それほど待たずに旗をはためかせたボートが近づいてくる。
すぐにそれだとわかった。
Ferry とはお世辞にも言えないほどの小さなボートだが、ここにはぴったりの小回りが効く船だ。
なぜなら、この後船は波止場を引いて場所を移動する。
そしてもっと陸地よりに待っていたハイカーを迎えにいった。
結局どこで待っても良かったんだ。
トーマスの情報に振り回されてしまった。

船にはウィークエンドハイカーのカップルと僕たちの五人。それから船長と2匹の犬だ。
賢く大人しくしている。いいこ達だ。
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五分ほどで船は岸に着いた。
VVR に着いたようだ。
Resort というにはちょっと大げさなそんな場所だった。
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とりあえずレストランに連れて行かれて朝食を食べることに。腹ぺこだ。

Yogiには一杯目はただと書いてあったが、しっかりとお金は取られてしまうようだ。
まずは、レストラン内でここの施設についてのレクチャーが始まる。
とても早口で一気に話終えたお姉さんにびっくりする。
何を言っているのかさっぱりわからなかった。

メニューを見ると、観光地価格。
どれも正直高い。しかし、空腹は抑えられず、あれやこれやと注文する。
やる気のなさそうな厨房のおじさんの作る料理はまあそこそこだ。

VVR には最低限ハイカーに必要な物がそろっていると言っても良いだろう。
スナックやキャンディー。アイスクリーム。ソーダにビールに、マウンテンハウスも置いてある。
アルコールストーブの燃料も量り売りで売っている。
ここから、Red's MeadowまではPCTハイカーの足で二日だ。
ここで買った物で十分歩くことも出きるだろう。

チャーリーは食事そっちのけで、さっき船で一緒だったハイカー夫婦と話している。
Yogiにも書いてあるが、ここから少し行くとMono Hot Springs という
小さいリゾートがあるらしい。
そこが良いところかを聞いているようだ。
ここにバウンスボックスをチャーリーは送っているが、ここではパソコンが使えない。
なんとか使える場所を探したいようなのだ。
夫婦は、Mono の施設は休業しているが、温泉は天然で出ているので入れるという。
店の人間に試しに聞いてみるが、露骨に嫌な顔をしながら、あっちのことはわからないと言う。
そんな訳ないでしょう。

夫婦のご好意でとにかく温泉には行ってみようということになる。
ちょっとした物だけ持って温泉に出発する。

VVR から30分位のドライブだ。
途中でダムの脇を通り、久しぶりの大きな人工物を見る。
近くに大きな施設があるらしく、携帯電話の電波がやけに良い。

橋を渡った先に車を止めて、川沿いに降りて行く。
コンクリートに覆われて湯船が作ってある。
ここが、Mono Hot Spring だ。
数カ所あり、綺麗なところとそうでないところがある。
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とりあえず空いているところに入ることにするが、当然裸にはならない。
アンダーパンツのまま入ることになる。
とにかく気持が良い。
久しぶりに肩まで湯につかれる。
日本人にとってはまた格別な思いがある。
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夫婦とマウンテンゴートはビールを飲みながら、僕とチャーリーは水で乾杯をする。
いろいろな話をしながらのんびりと過ごす。
彼らの興味はやはりPCTについてだ。
いつかは行きたいと思うからこそ、どうなのか知りたいのだろう。
奥さんの方はアジア系で、話ではチャーニーズの四世だという。
さすがに四世にもなると、ほとんどアメリカ人と一緒だ。中国語は話せないらしい。
旦那さんのほうはイギリスから移住してきているという。
二人でいろいろなアウトドアを楽しみながら、いろんな場所に行っているという。
彼らの一番のおすすめはモンタナだった。
何よりもその自然が素晴らしいという。
いつか行ってみたいと思う。それがCDT であれば良いなとも思う。

場所を変えまた風呂に入るも、いい加減のぼせてしまう。
一時間以上はいただろう、ぼちぼち戻ることにする。

道はぬかるみがひどく、せっかく風呂に入っても靴は泥だらけで体にもはねまくる。
まあ、ハイカートラッシュだから気にしない。

さっき風呂で一緒になった人が言うには、Mono Hot Spring は開いているらしい。
とりあえず見に行ってみようということになる。
奥さんはその間釣りをするというので残ることに。

Mono Hot Spring はVVRよりも綺麗な施設が多く、スパやシャワールームもある。
中心にはPOを併設したストアと脇にはレストランがある。
コテージも多く、なかなか良さそうなところだった。
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こちらにはPOがあるのが大きい。
この辺りの重要な拠点となっているのだ。
ストアの内容はもっと滞在型のツーリスト向けで、肉なども売っている。
VVR よりも全体的に綺麗だといっても良いだろう。

チャーリーは気に入ってしまったらしく、今日はここで泊まりたいという。
あまり気が乗らなかったが、チャーリーが二人の誕生祝いだと言って部屋代を出し、
明日のVVRまで帰る段取りまでつけてしまった。
そこまで言うなら拒否することも無い。
コテージの支払いをとっとと済ませてしまう。
チャーリー、お金持ってるなあ。

それから、以前会ったことのあるハイカー一人を乗せてVVR まで荷物を取りに帰る。
VVR での支払いや荷物のピックアップを済ませて、再びMono へ。

ずいぶん待たせてしまった奥さんを乗せて行く。
部屋に入った後で、みんなで軽食を食べながら一杯やる。

楽しい時間の始まりだ。
それにしても偶然の出会いがこんな形になるとは思わなかった。
とても親切な人たちだ。
本当はもっと早くにかえる予定だったらしいが、それを延ばしてまで尽くしてくれた。
本当に感謝。チャーリーの、僕たちのわがままにつき合ってくれて感謝です。

寂しいが彼らは帰途に着く。
一期一会。そんな言葉が頭をよぎった。

Mono は携帯の電波状況がとても良かったので、折れたポールの手配や妻への連絡をする。
気持ちの良い風呂に入り、体を休める。
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Spa 大好きのチャーリーは夕食前に予約を取ることにした。
みんなで洗濯機を回し、それが終わる間僕は一眠りする。
それが間違いの元だった。

一時間くらいか、眠っていたようだ。
お腹も減ったので二人を探すが見当たらない。
洗濯物が部屋にあるということはマウンテンゴートがやってくれたのだろう。
チャーリーはスパかな。
着替えて外に出ると風が涼しく気持ちよかった。

レストランの前に行くと何やら準備をしている。
日曜日なので催しがあるそうだ。
時間がかなり微妙になってきてしまい心配になるが二人は見当たらない。

ふらっとマウンテンゴートが現れる。
チャーリーも戻ってきてみんなでさあレストランに行こう。
ところがチャーリーが何やら慌てている。
レストランが終わってしまったというのだ。
日曜の催しがあるため、いつもより早く店を閉めてしまったという。
なんてことだ。そこでマウンテンゴートと僕の誕生日を祝おうとしていたのに!
時間を確認しなかったのがいけなかった。
後悔しても遅かった。

一応少し残った物を出してくれたので、それをチャーリーが買ってくる。
しかし、慌ただしくそれを食べようとも一人分にも満たないものを三人で分けた。
それで足りる訳も無く、閉店間際のストアで冷凍のハンバーガーを買って食べることにする。
それでも食べられるだけありがたいというものだろう。

ところが、それだけでは済まなかった。
まずコテージには電気が通ってない。
コンセントはあるのにも関わらずだ。

明かりは灯油ランタンでとる。
別に、何の問題もないのだ。
ただそれにしては部屋代がものすごく高かったのはなぜだろう。
ベッドのシーツさえもろくに用意されていないのに。

さらに、帰りの車を用意してくれると言ったはずのストアのオーナーが、人が集まらなければ出さないという。
帰る手段も奪われてしまう。
チャーリーは少し抗議をしたが聞き入れてもらえることは無かった。

チャーリーはSpaを経営している女性に頼んでみるという。
なぜなら、彼女はトレイルネイムを持つハイカーなのだという。
喜び帰ってきたチャーリーは成功を僕たちに告げた。
とりあえず一安心だ。

最初は良かったが、なんだかどたばたと忙しくなってしまった。
自分らしい誕生日だと思う。そう思うことにする。

寝る前にまた日本に電話をする。
妻からの励ましと、“誕生日おめでとう”の言葉がうれしかった。

今ここにいることに感謝をしよう。
生まれてきたことに感謝をしよう。
生んでくれた父母に感謝をしよう。
支えてくれる仲間に感謝をしよう。

今日は僕の生まれた日だ。
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by hikersdepot | 2011-07-04 00:38 | PCT 2010 by Turtle
Kearsarge Pass,CA to Vermilion Valley Resort (VVR),CA / 62 Day - 68 Day / Part 4
6/26(sat) Hiking Day 48 / 20mi 6:30am-6:00pm (11:30)
“Not Loner”

今日もまたPass を越えるが、今までよりは規模も小さく、普通の一日のはずだった。しかし、人生とは面白い。

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いつもと変わらない朝。違うのはモスキートの量だけだ。
歩きやすいフラットなトレイルが川沿いに続いている。
多くの支流が流れ込むようで、今日はいくつも橋を渡りながら進んでいく。
ペースも速く、さくっと歩ける。
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今日の前半は、標高もあまり上げず、深い谷を歩いているので、時間が経っても薄暗くて涼しい。
どんどん進む雪解けに川の流れも強い。
雪もほとんどなく、トレイルに咲く花々が美しい。
花の季節がもう、直ぐそこまで来ているのだろう。
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岩が美しい。日本ではあまり見られない景色だ。
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Piute Pass Trail の分岐をパスして橋を渡る。
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ここはまだ、Yosemite ではない、John Muir Wilderness。
American Hiking Cultureの、California の象徴の人の名前が冠してある。
さすがJMT!?
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やっと谷が開けて陽射しが入りはじめる。
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景色が美しく広がり気持ちよい。
雪が無くて歩きやすくて快適だ。

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Meadowに出てしばらくでまた分岐にあたる。
ここを北に行けばPCT。西に行けば、Muir Trail Ranch がある。

Muir Trail Ranch または Muir Ranch はJMTハイカー、PCTハイカーにとってとても重要なポイントだ。
Mt. Whitney から VVR までの7日から12日くらいの区間で、食料を送っておくことができ、若干のスナック類を補給できる唯一の場所だ。
しかし、荷物を送るのには問題がある。
時間的猶予が必要で10日から14日くらいあると良い。
それくらいないと届いていない可能性があるのだ。
さらに、そこまで荷物を運んでくるのが人力の為、プラスで料金が加算される。
これが、$45とか$50とか。
しかも、開く時期が遅く、雪の多い今年はまだのようだ。
以上の理由からPCTハイカーにはあまり縁がない場所のようだ。

僕たちもPCTへのルートを選ぶ。
今までのPassへとは違ったアプローチで山側をスイッチバックで上がって行く。
森の中を進む。

休憩タイムをとるが、蚊が多い。
でも、慣れてきてしまったようで気にならなくなってきた。
とはいえ、刺されればかゆい。
一寸の虫にも五分の魂。
殺生を避けるようにしているが、蚊は容赦なく叩く。

Muir Trail Ranchのトレイルヘッドは開いているようで、若いハイカー達が上がってきた。セクションで歩くのだろう。
彼らに巻き込まれる前に出発して先を進む。

小さい沢を越えるころ、斜度も緩やかになりはじめる。
一瞬気を抜きかけるが、アップダウンの連続になりトレイルは山の中に向かって進んで行く。
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また高い場所に上がってきた。良い景色だ。
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水の溢れた湿地を抜けて丘を越えると、湖が見えてくる。
雪も現れ始め、行く手を遮るようにトレイルに横たわる。
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先行するチャーリーの姿が全く見えなくなり、心配するが見つからないまま進む。
後をくるマウンテンゴートも気配がない。
急に一人になってしまうと、道を間違えたのではないかと不安になってしまう。

トレイルは “Sally Keyes Lake” の間を抜けるように通っている。
水が溢れて、道はぬかるみ歩きにくい。
雪を乗り越え、水に入り、雪を越え、水に入る。
それにしても、両側を湖に挟まれ、なんて美しい場所だ。歩いていて幸せだ。
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湖の突端に来るが、誰の気配もなかった。
どうやらチャーリーの足跡もあるような無いような状況だ。
待つか否か。
岩に腰掛けて、行動色を食べ、しばし休憩。
マウンテンゴートも来ない。だが後ろにいるはずだ。
分岐もなく、道を間違えようも無かった。

・・・、・・・。
よし、行こう。
チャーリーが待っているかもしれない。
全く一人先に行ってしまうなんて。

今までと違い、一気にトレイルを雪が覆う。
丁寧にトレースを辿り、道を見極めて行く。
雪が増えるほどトレースは曖昧になり、雪解けでウェーブになった雪面と見極めがしにくい。
今までと違い、小さい谷で向かう方向は一つだ。
念のため、地図とコンパスで方向はしっかりと定めて、弱点を探しながら上って行く。
しかし久しぶりにわかりにくい地形だ。
アメリカの大きな地形に慣れると細かいルートファインディングがやりにくくなる。
なんて心に言い訳しながら、方向は決まっているので、行き止まらないようにだけ注意する。

途中から全くトレースを外してしまったようなので、ストレートウォークで進む。
地図を見る限り、谷の東側に沿うように行けば良いのだろう。
おおざっぱな地図だからあくまでおおざっぱな判断だが。
左手には雪が未だ被る湖が見える。おそらく、Heart Lake だろうか。
道はあっていそうだ。

数歩進んでは立ち止まり、振り返り人の気配がないか見る。
そしてまた歩き、周りを見渡し進む。
斜度も増してきて、緩んだ雪が踏み込む力を奪う。

谷が狭まってきて、岩が迫ってくる。
右手を見上げると、雪が切れたところからトレイルが見える。
よし。良かった。
左手の奥にも雪の間にトレイルが見える。どうやってトレイルを辿るのか。
いや、まっすぐ上がってしまおう。
頭の中にスイッチバックするトレイルを思い描きながら上を見上げ、一歩また一歩。

左からのトレイルにぶつかる頃、斜度と日当りのせいだろう、雪がほとんどなくなってきてトレイルの姿が見える。
Pass まではもうすぐ。
乾いた大地の感触を踏みしめながら一気に上りきる。

Selden Pass(10900feet)。やっと着いた。
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不安の中歩いていたからだろうか、それほど時間がかかった訳ではないのに、長く感じた。
Pass には人の気配が無い。
??? ということは、チャーリーは来てないということだ。
さすがにそこまでの気まぐれ屋では無い。
では、どこで追い抜いたというのか。

バックパックをおろして、一息つく。
今来た道を写真に収め眺める。きれいな景色だ。
たくさんのきれいな景色を見たが、どれも同じように、それぞれに美しい。
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チャーリーとマウンテンゴートは何処。
と、下から声が!チャーリーだ!
奥にはマウンテンゴートも見える!

しばらくして上がってきたチャーリーは、一言。
“シン!どこに行ってたんだい?”
同じ台詞をお返しした。

チャーリーは途中トイレタイムをとったらしい。
しかし、トレイルに戻るときに迷ってしまい時間がかかってしまったようだ。
僕はそれに気づかずに先に行ってしまったということだ。
マウンテンゴートもチャーリーに気づかなかったようだ。
疲れて休憩をしている時にチャーリーが追いつき、一緒に僕を捜していたという。
僕だけが、一人思い違いで、先へ行ってしまったのだ。
僕は一人ではなかった。

VVR 前最後のPass を越えて一安心。喜びを分つ。
何度こうして喜び合ったのか。
さあ、ゆっくりと休憩を取ろう。


昼飯を食べていると、Marmot が近づいてきた。
この辺りを縄張りとしているヤツらしく、警戒して姿を消しては現れる。
Chipmunk と違って、近くに餌があっても取りにくるようなことはしない。
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なかなかユーモアのあるMarmotで、チャーリーの後ろの岩にひょっこり現れて、のんびりしている。
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腹もいっぱいになったので、ぼちぼち行きましょう。

斜面を一気に下りたいがグリセードするには斜めすぎる。
トラバース気味に歩かなければならなかった。
ちょうど大きな湖があり、西側を山肌に沿うように歩き途中から北西に抜ける谷を降りて行く必要がある。
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油断があったのかもしれない。
まさかこのタイミングでとは思わなかったが、またポールを折ってしまった。

雪は相当に緩んでいてポストホールの危険性が高かった。
先頭のチャーリーも苦労している。
いきなり、なんのことの無いポストホールを作ってしまった。
その時、ちょっと力が変な方向にいってしまった。
上手く力を抜こうと思ったが、思ったより深く埋まってしまったからだ。
硬くもなく柔らかくもない、そんな感触だった。

ややへこむ。
いや多いに落ち込む。
だがしかし進まなくてはならない。
マウンテンゴートが励ましてくれる。
チャーリーは、VVRに着けば送ってあるバウンスボックスに、同じポールがあるという。
そのシャフトを使ってよいと言ってくれた。
ありがたい。ありがとう。

落ち込んでも仕方が無いので、進むこととしよう。
ポストホールに気をつけるのはもちろん、その下に流れがないかも気をつけなければならない。

正面からはわかりにくいが、間もなく左手に大きな切れ目が見えてきた。
この谷を降りて行く。
出だしは見えていたトレイルもわからなくなり。全く道を外してしまう。
チャーリーはGPSを持っていたので道を合わせるが、だいたい近くにいるのにトレイルは無い。
仕方ないのでまっすぐ下る。ほとんどオフトレイルだ。
川の東側をぐんぐん降りて行く。

すぐにトレイルに復帰でき快適に歩いて行く。
ただ、まだショックが残りぼんやりとしていた。
また用意しなきゃ。あーして、こーして。と考えを巡らせる。

チャーリーが、“見てみなよ、シン。シャワーだよ。”
左に目をやると面白そうな小滝がある。言われてみればシャワーに見えなくもない。
行ってみようよ、とチャーリーは楽しそうに行ってしまう。
周りに雪がまだいっぱい残っているのに、まさか水浴びはね。
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しかしチャーリーはノリノリで滝に入って行く。
“Yeah! Let’s go! Heehaw!!”
なっ!なんて57歳だろうか。ほめるべきなのか、あきれるべきなのか。
子供みたいに無邪気にはしゃぐ“おじさん”を眺める。
“あっ、写真取ってもらうのを忘れた。”ともう一度入り直す。
やはり、ただ者ではないな。
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マウンテンゴートも“ひとっ風呂”浴びにいく。
元気な叔父樣方だ。6月23日に誕生日を迎え46歳になったばかりですよ。

僕はどうせ明日VVRでシャワーを浴びられると思い行く気がなかった。
しかし、二人がニヤリしたり顔。
シンも入れ、と言ってきたので、いいよ、と言ったが許される訳無かった。
二人は着の身着のまま入ったが、僕は上のシャツだけは脱いだ。
いくら天気が良いとはいえ、さすがに寒そうだ。乾いた服は取っておきたい。
突入!!!
足下がとても滑りそうになる。こんなとこでこけたくない。
水が冷たいけど気持が良い。
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風呂の後は岩の上で体ごと日干しする。
暖かい陽射しに心も乾いていく。
チャーリーとマウンテンゴートが励ましてくれたのがわかる。
優しさに感謝。

湿地のようになった広い川をひとつ越える。
雪がすっかりなくなるとすぐに大きな川の音が聞こえてくる。
PCTハイカーが恐れなければならないもう一つのFording 、それがBear Creek だ。

Evolution Creek よりはやや幅が狭いか。それでも5〜6mあるのか。
PCTルートが川に当たる。そこから川面を覗いて様子を見る。
大きめの石が多くかなり歩きづらそうだ。
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Yogi’s Book には上流に少し行くと渡りやすいと書いてある。
三人で探るもそんな様子も無く、引き返す。

とりあえず渡ってみよう、ということになり準備する。
蚊がとても多く、じっとしていられない。
川に入り、スクラムを組んで歩こうとするが、マウンテンゴートのストップが入る。
こんなの怖くて渡れない、という。
川から上がり、また徒渉点を探す。

マウンテンゴート曰く。
インターネットで見たハイカージャーナルの情報だと、三回川を横切る場所があるという。
それが、Yogi と違って下流に向かうのだという。
蚊の大群をかき分けながら川沿いを踏み後に沿って行く。
踏み後がまばらになった頃に、右手に中州が見えてくる。
あれだ!
たしかに流れが分断されて三つに分かれている。
よく見るとかなり浅いのがわかる。

“ほら!あそこから渡って、あっちに抜ければいけるよ!”
と僕が言っても二人はよくわからないようだ。
チャーリー。“さっきからシンはよく見えているようだけど、なぜだい?”
ぼく。“見えないの?”
チャーリー。“サングラスの違いかな?”
ぼく。“かけてみる?ほら。”
チャーリー。“うわあ!よく見える!マウンテンゴート!見てごらん。”
マウンテンゴート。“うん、そうだね。”
といったような会話が交わされここを渡ることに。

沢登りの経験もあるし、この程度の徒渉は何でも無かった。
一気に渡ってしまおうと、後ろも見ずに川に入って行く。
膝下の水量だったが、流れはやはり強い。
足を取られないようにだけ気をつけて進む。
後ろからはマウンテンゴートとチャーリーが付いてくる。
中州にあがり、また次へ。
中州ではないが、中間に滞留した浅瀬に一旦あがり最後の流れを横切る。

やった!Bear Creek を渡った!
三人で何度目かのハイタッチ、握手を交わす。
マウンテンゴートは怖かったのか、少し無口になっていたが、今は笑顔が見えていた。

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上がったところはちょうど湿地のようになっていて蚊が多い。
さっさとトレイルに戻って再開だ!

緩やかな下りを一気に歩き抜く。
谷間に入っているので暗くなるのが早い。
もう少し歩きたかったが、トレイル下にファイヤーサークルがある場所を見つけ終了。
チャーリーは膝の調子を気にしているし、マウンテンゴートもお疲れのようだ。
20mi進めたから十分と言えるか。

今日は昨日よりも標高が低いせいか蚊の量が普通じゃない。
シエラで初めてモスキートヘッドネットを出した。
気温は高いのでウィンドシャツは着たくなかったが仕方ない。
ほっといたら何カ所やられるかわかったものじゃない。
今日も蚊取り線香のお世話になることにする。
焚き火の煙には近づいてこない蚊だが、空いている場所は容赦なく狙ってくる。

明日はやっと、Vermilion Valley Resort に到着する。
どんな場所なのだろう。楽しみではあるが、怖くもある。
明日になればわかるか。

三人で話に花が咲く。
一人では味わえない楽しい時間だ。
今日は一人歩いた。迷った。
大きい川も徒渉した。
ポールが折れた。さっき水筒が壊れた。どちらもこの旅二度目。
Idyllwild から Big Bear City の時のことを思い出した。
だが、前と違うのは、今は一人じゃない。仲間がいる。

結局、アルコールもマウンテンゴートにもらったのでほとんど間に合ってしまった。
意外と少なくて済むもんだ。勉強勉強。

ハイカーは一人だけど、一人じゃない。
PCTハイカーの絆を実感した一日だった。


-"easy"Turtle
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by hikersdepot | 2011-07-01 09:30 | PCT 2010 by Turtle