「ほっ」と。キャンペーン
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Kearsarge Pass,CA to Vermilion Valley Resort (VVR),CA / DAY 62 - 68 / Part 3
6/24(thr) Hiking Day 46 / 7mi 9:30am-1:30pm (4:00)
“Easy Going”

暖かくのんびりした朝。
標高が低いからか思ったよりも寒さを感じない。
いつもはBreakfastも食べないで飛び出すように歩き出すのに、今日は朝からマウンテンゴートの暖かい飲み物を飲みながら、のんびり朝食を食べている。
些細なことに大きな喜びを感じる自分が見える。
みんなで倒木を椅子代わりにして朝を楽しんでいる。

ふと気配がすると、Deer(鹿)の親子がこちらを見ている。
昨日から、ちらちらと気配がしていたところをみると、どうやらここは彼らのお気に入りの場所のようだ。
なるべく迷惑をかけないようにしようと、みんな音を大きくたてないようにして食事をしていると少しずつ近づいてくる。
良い餌場なのだろうか、母鹿と二頭の子鹿は一生懸命草を食んでいる。
写真を撮ろうとカメラを取りに動くと警戒してこちらを見るので、そっとそっと動く。
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一度は離れるそぶりを見せたが、向こうも慣れてきたのか、それともこちらが警戒に値しない、Hiker Trash と解ったからか、近づいてくる。
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鹿がこんなにも警戒しないで近づいてくるなんて驚きだ。
シエラの鹿たちはよっぽど狩猟の対象になっていないのだろうか。
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かなり長い時間キャンプサイトをぐるぐる回っていたが、満足したのか静かに去って行った。
僕らもそろそろ立ち上がらなければ。

一ヶ月以上のハイキングで鍛えられた撤収の早さは、みんなさすがだ。
いやそれとも、持っているものが少なくシンプルなだけなのか。
かといって今日は全く急ぐ必要がない。
7mi歩けば終わりだからだ。

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標高から考えてぎりぎりキャンプサイトがあるだろうと予測を決め、そこから明日早くにMuir Pass を越えて行こうということになったのだ。
この谷は大きなMeadow を持っていて美しい景色が続いている。
Le Conte Canyon というちょっとおしゃれな名前がついた谷だ。
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湿原には立派な角を持った牡鹿が悠然と歩いている。
のんびりと写真を撮りながら先へ。
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岩山と川の流れ、白い岩のスラブと全てがうまく調和している。
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鉄製の短い橋が現れる。
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Ranger Stationがある分岐、Bishop Pass Trail は距離は結構あるが、Bishopの街からの出入りに使える。
距離が長いためさすがにPCTハイカーも敬遠する。
トレイルはMeadow に沿い、シダーの森を抜けて進む。

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開けた陽射しの暖かい場所で昼寝に興じる。
なんて気持が良いのだろう。
チャーリーと仰向けになりながら、内容はさっぱり覚えていないが、無駄話をした。

さあ、ぼちぼち行こうぜ。

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川幅が徐々に細くなっていくと谷も両側から迫り、斜面も急になっていく。
雪も増え始めるが、おそらくこの上が開けているのだろう、段になっていて上の様子が見えない。
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雪がトレイルに再びかかり始める。
予想よりも早い雪に嫌な予感がするがまずは行ってから考えよう。
最後の急なスイッチバックをあがると広い平らな場所が現れる。

今日のキャンプサイトと考えていたが、予想以上に雪が多く、開いているところが見当たらなかった。
雪上で張ることも覚悟しつつ、先に進むのか、ここで探すのか思案する。
左が湿地状になっていて、右側は大きい一枚岩がある。
木々に覆われた斜面を一枚岩に向かってあがっていくと、やや平らで開けている場所があった。
スペースは非常に狭いが適度に木々が風を遮り、適度に開けた良い場所だ。
岩の上まであがってみるも平は良いが、適当な石も無く、ペグダウンできないシェルターでは厳しい場所だ。
ほかには水たまりのフラットスペースか。
はじめの場所に戻り考えてみるが、四人のシェルターは張れない。
マウンテンゴートがちょうどすぐ裏の岩のくぼみが寝られそうだというので、カウボーイキャンプをすることになる。
三人でもかなり微妙な広さだったが、一段高くなった場所はまるでツェルトの為に用意されたような狭いスペースだったので僕は自ら進んでそこに設営する。
チャーリーとグラデュエイトの二人は僕の目の前に広々とテントを広げた。
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陽射しも暖かくのんびりと景色を楽しむ。雲が少し多めなのが気になる。
歩かないハイカーほど暇で困る人種も少ないのではないだろうか。
いや、もはやロングハイカーは人ではなく、Hikerという動物なのだろうか。

下からハイカーがあがってくる。二日前に会った、Kiwi達だ。
追いつかれてしまった。が、まあ良い。
彼らもキャンプサイトを探すが他には見当たらないので、斜度のあるスペースに無理矢理張っていた。
早い者勝ちではないが、同じPCTハイカーとして胸が痛んだ。

引き延ばしていた夕食もあっという間に終わり、早めにJournalも書き終えて就寝となる。
空を見上げると、雲が多く、月の光が反射して空が明るかった。
よく考えてみると、気温がずっと高い。
今までは10000feet以下で幕営するようにしていたからだと思っていたが、どうやらそうではなかったようだ。
本来暑い熱い砂漠では寒く凍え、本来寒い高山では暖かく快適。ある意味ラッキーなのかと前向きに考える。

ストレッチも終え、少しお菓子を放り込んで夢の世界へとハイキングは続いていく。




6/25(fri) Hiking Day 47 / 16mi 5:30am-4:30pm (11:00)
“Evolution Beyond Muir”

何時くらいだろうか、パタッ!ポタッ!という音にふと気づく。
雨が降っているようだった。
ジッパーを開き空を見上げると月明かりは見えるが空からの恵みが降りてきている。
パス越えを考えると嫌だったが気にしても仕方ないのでまた寝てしまう。

目覚ましの音に目を覚ます。
空は少しだけ明るさを持っているようだ。
Kiwi達は寝ているので迷惑をかけないように撤収をする。
いつも最後のマウンテンゴートは、コーヒーと朝食も終わっていて、今日は早い。
出発の時間には太陽の時間になっていた。

昨日の雨は止み、雲が多いものの青空がさしていたので一安心。
気温が高すぎるせいで雲が出て少し降ったようだ。
予想に反して雪は固く締まらず柔らかいままだ。

歩くとどうしても雪面がずれてしまうので力が入りきらない。
念のためスノースパイクのスパイダーをつけて歩くが、雪が緩くてはあまり効果もないので外してしまう。
キャンプサイトから大きく右に曲がってから左に進路を変え山沿いに上がる。
左には湖があるがほとんど雪に消えている。ただ雪解けは増し下に隠れている流れはとても速い。
左に曲がりつつ谷を上がる。意外に斜度があり先が見えない。
ついこの先に直ぐPassがあるような気になってしまうがそんな上手くはいかない。
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今までのパスと違って、谷が開けていなく蛇行する谷なので雪が多いとトリッキーだ。
進路はさらに左にそれ、南西よりに向かう。
もう一段ゴルジュ状の谷を上がるとHelen Lakeと名前のついた湖が現れる。
湖との境界が解りにくい。山沿いに進む。すると一気に視界は開けてくる。
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つい正面の広い斜面に向かってしまうが、西に向かって斜面を上がっていく。
もうすぐなのだろうが腹が減って、先も見通しにくい谷なので、やや足が止まってきた。
軽く食べてもうひと上がりだ。
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今までの中でも長く、見にくい谷だなあと思っていると、目の前に何か見える。
ふとNZのミルフォードトラックを思い出す景色だったが、それはMuir Passに建つ、”Muir Hut”だった。
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駆け出したいが力が出ない。しかし足取りは軽くさくっと到着する。

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やった!“Muir Pass” (11950feet)!

また一つPassを越えることができた。みんなで喜び合う。
なんだかうれしくて写真をたくさん撮ってしまう。
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Hutの中に入ると昨夜泊まったハイカーがいる。
フレームパックに大量の荷物のクラシックハイカーだ。
重そうな登山靴にサブのトレイルランニングシューズがぶら下がっている。
その”Sub”で歩いている僕たちPCTハイカー自体、”Sub”culture Hikerかもしれないなと思う。
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綺麗でしっかりした石造りのHutだ。
暖炉は使えなくしてあるが十分暖かく過ごせそうな気がした。
中にはJohn Muirに対する敬愛の言葉が書かれたシエラクラブの銅板が飾ってある。
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久しぶりの屋根は、なぜだろう、ものすごく安心感がある。
人はこうして家を求めていったのかもしれないと思う。

少しのんびり過ごすことにする。外にでて陽射しを浴びながら一服だ。
ここをテリトリーとしているマーモットがうろうろしていた。

クラシックハイカー達は南に進路を取って歩き出した。
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僕たちは北に進路を取って進もう。

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まだまだ雪は続いていく。斜度が緩いので下りとはいえ歩きにくく体力を削られていく。
ペースが上がらずに最後尾をゆっくりと歩いていく。
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平になると、ポストホールもひどくなり歩きにくい。
腹が減っているのか、力が入らず、みんなについていくことができないいらだちを、心の中で皆にぶつけてしまう。
だめな自分を感じる。胸が痛い。

所々湖が開けているのが見える。
雪に埋まったいくつもの湖、Lake McDermond・Wanda Lake・Sapphire Lake、を巻くように通り過ぎていく。
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徐々に川の流れが激しくなってきた。
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深さは無いが流れの強い川を東に渡る。
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ここはSapphire Lake からの流れがEvolution Lakeに続いている突端だった。
チャーリーが気を利かせて止まってくれたので休む時間ができた。
雪がもっと柔らかくなる前になんとか抜けたいと思っているのだろう。
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東岸沿いを行くが湖は雪解け水で溢れかえりトレイルに浸食している。
抜けるとトレースが錯綜しはじめる。

なんとか抜けると、やや斜度をつけながらトレイルは下る。
一気に標高が下がると道からは雪が消えはじめる。歩きやすくなり飛ばしていく。
ふたたび緩やかな斜度になる。
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山からの水が溢れ、いくつかの徒渉を終えたあと、久しぶりに座って休憩する。
それもそこそこに歩き出す。速い早い。
今までのうっぷんを晴らすように素早く、景色は流れるように、そして美しい湿原を通り過ぎていく。
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この先にはPCTハイカーにとっての試練の一つ、Ford(徒渉)、がある。
今までも徒渉をしてきたが川が大きく流れが速いので恐れられている、Evolution Creekがある。
本当は水の少ない午前中に渡ろうと話していて、手前のEvolution Meadow までのはずだった。
思いのほか早くMuir Pass を渡ることができ、下りもスムーズにここまで来れたので、どうせならこのまま今日中に渡ってしまえ、という気になっていた。

McClure Meadow にあるレンジャーステーションは珍しくわかりやすいトレイル沿いにありちょっと寄ってみることにする。
するとレンジャーが小屋から出てきた。しばし歓談の時。
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チャーリーとグラデュエイトが何やら訪ねる。
Evolution Creek の状況を尋ねているようだった。
迂回路も用意されていて、一人で渡るハイカーや女性などの力の弱いハイカーでも渡れるように考えているのだ。
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さすがに本流は無理だろうと考えていたが、レンジャーは、”大丈夫。せいぜい膝ぐらいさ、という。
思っていたよりだいぶ水量が少なそうだが、果たしてどうなのだろうか。
まあ行けば解るさということか。

レンジャーステーションの電力をまかなうためのソーラーパネル。
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散歩道のようなトレイルを歩くと自然とスピードが早くなってしまう。
悲しいスルーハイカーの性なのかもしれない。
上りでは最後尾の僕も、平地では先頭だ。

道にはまた水が溢れかえりまるで川の中を歩いているようだ。
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毎日靴も足も濡れている。それが普通になってしまった。
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Evolution Meadow の立て看板があるところまで来る。
書いてある内容は、水量が多い場合はここからがDetour Routeで、そのときはMeadowとCreekを越えろということのようだ。
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とてもモスキートの多い場所であまり留まりたくはなかったが、一旦全員集合を待って意見を交わす。
男なら迷わずまっすぐにということだろうか、誰もAlternative を選択することは無かった。

看板のあった場所から0.5miほど歩くと、大きな川の流れが見えてきた。
Evolution Creek だ!
想像よりも激しい流れではないが、水量が多く、7〜8mだろうか、川幅がかなりあるようだ。
これはなかなか厳しい徒渉になる予感がする。
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レンジャーの言っていたことは嘘だった。膝位なんて冗談じゃない。
しかし、戻るという選択は無いのだ。
とはいえ、すんなり渡れる状況でもなさそうなのは確かで、みんなで徒渉しやすい、川の弱点を探す。

ちなみにこの川は一ヶ月も後になれば想像以上に川の流れは緩やかになり簡単に渡れる。
ほとんどのJMTハイカーは苦労することはないだろう。こ
れは、早いシーズンにシエラに入るPCTハイカーにとっての試練だった。

ふと向こうに人影が見える。JMTハイカーかと思ったら、さっきここを渡ったPCTハイカーのグループで、
昨日のんびりキャンプ中に僕たちを追い抜いて行った、Team Zeroの面々だ。
向こうも気づいたようで一人裸の男が近づいてくる。
川の音でよく聞こえないが大きな声で渡りやすい場所などを教えてくれる。
みる限りこの辺りでは唯一浅く、底が見やすい場所がある。
そこをスクラムを組んで渡れという。
本来は上流から斜行しながら対岸に向かうのが良さそうだが、英語で伝えられない。
上手く言えずに戸惑っていると、チャーリーが向こう岸のハイカーの意見を聞き入れストレートにいくことになる。

一度深さを確かめようと川に入ってみると軽く股までに深さがある。
しかも水が冷たい!一度上がり準備をする。
これは恐ろしいな。
腕を組み、スクラム体制で渡ることになる。これも一つの徒渉スタイルだ。
慣れていそうだ、ということと体格なのか、先頭は僕、Turtle。
二番目は最も小さいGraduate。
三番手は徒渉に少し恐れを持っているMr. Mountain Goat。
しんがりを務めるのはSeven Summiteers のCharlie Hydeだ。

まず順番に川の中に入って行く。
ただいるだけでも水量で体が押されていくのがわかる。
背筋が強ばる。深く息を吸い込む。
上流に向かって立ち、しっかりと腕を組み合う。
体が急速に冷やされていく。
あまりのんびりしている時間はなさそうだ。
緊張を押さえ集中力を高めていく。
声をかけて進みはじめる。

一歩進む。
互いに支え合いながらまた一歩。
右手に持つカーボンポールの強度にやや不安はあるが、慎重に水中の石を探りながら足を置く。
水用の特別な靴ではないので、足の置き場を間違えると滑ってしまう。
転倒したら、この水流だと流されてしまうかもしれないので、一大事だ。
グラデュエイトは軽いのでどうしても体が持っていかれてしまう。

”くそっ!”
声を出して踏ん張る。

水流の中程は水流の力が強い。
体に当たった水が腰よりも上まで来てしまう。
腰上にくると体の押され方が大きく違う。
まずかった。
グラデュエイトだとお腹までだ。
左腕が引っ張られる。
かなり厳しい。

“もう少し!気をつけて!危ない!”
と対岸からも声がかかった。

マウンテンゴートもどうしても押されるのに対抗しきれないようだ。
見る余裕はないが、視界の端に見える。
グラデュエイトが体一個後ろに行ってしまう。
思わず叫ぶ。

”Come on! Graduate! Come on! ”
自分に対して向けた言葉でもある。

今負ける訳にはいかない。
思いっきり左腕を引っ張り上げる!

”Come on! Come on! ”

右手の視界に水流の中の倒木が見える。
あの木をつかんで一休みしなければ。きつい!
あと50センチ!

“うおっ!”

手に倒木をつかんだ。
左腕を思いっきり引く。

良かった、まずは、と思ったら右手から声をかけられた。

“えっ!”

もう対岸に来ていた。
対岸から指示をくれた裸のハイカーが笑顔で立っていて、“Congratulations”と声をかけてくれた。
必死に一歩ずつを進めていたら、もう来ていたんだ。

まず、グラデュエイトが上がり、次いでマウンテンゴート、自分、チャーリーと上がった。
みんな大盛り上がりで喜びを分かち合う。
かなり興奮気味だ。

Team Zero は徒渉を終え、ずぶ濡れになったウェアやギアを乾かすついでに、早い夕食(?)を食べていた。
確かに下半身が濡れると体が冷える。
みんなで話をする。
裸のハイカーは僕の声掛けがとても良かったと言ってくれた。
ただ必死だっただけだよ。
彼らは今日中に行けるところまで進んでしまうようだ。
VVRには寄らずに一気にRed’s Meadow まで行くらしい。
一瞬、僕自身も期間のことがよぎったが、せっかくのアメリカのロングハイク。
隅々まで楽しんでやろう。

僕たちはこの先1miの大きな川、South Fork San Joaquin Riverに出て終了の予定だ。
行程は決して長い一日では無かったが、時間がかかった。
まあ、こんなもんで良いだろう。
どうせ直ぐ追い抜かれるが、みんなに感謝を伝えて四人で先に進む。
すぐに右手に大きな滝が見えてきた。
ぞっとする。
もし流されていたら、一巻の終わりだったろう。
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急な斜面をぐいぐい下っていく。景色がだんだん低くなる。
山の斜面には雪解けで流れ出す大量の水でできた滝が流れて美しい。
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あっという間に川沿いのキャンプサイトへと到着だ。
簡単なベンチと、小さいファイヤーサークルがあった。

グラデュエイトがなにか考えているようだ。
やはり食料のこともあって、なんとか明日にはVVRに着きたいと考えているようだった。
かなり距離はあるが、彼は足が速い、行けなくはないだろう。
ちょうどTeam Zero のメンツもいることだし、この後のもう一つの大きい徒渉も問題なく渡れるだろう。
寂しいがここでお別れだった。

Team Zeroが来て、グラデュエイトのことをチャーリーが頼んでいたようだった。
さっきの裸のハイカー(今は服を着ているが)は、“君じゃないのか。君だったら大歓迎だよ。”と僕を指していってくれた。
Thank you.
その気持ちだけで十分だ。僕はチャーリーとマウンテンゴートと一緒に行く。
今度はみんなを見送る番だ。
See you trails!

三人でノンビリと焚き火付きキャンプを楽しむ。
9000feetを切り、標高が低くなってきたからか、蚊がいつもにまして多かった。
モスキートネットをかぶるほどでは無かったが、気づくと肩や足は刺され放題だ。
ウィンドシャツを着てフードをかぶればなんとかしのげる。
しかし、こんなこともあろうかと秘密兵器を持っていた。
Mosquito Coil、蚊取り線香だ!
人並みはずれて蚊に刺されやすいので、歩くときは諦めてもせめて休む時は、と思い持っていたのだ。
日が暮れて涼しくなると蚊も大人しくなってきた。

マウンテンゴートのポットは自分で改造したようだ。
SPのポットにビリー缶のようなハンドルを後付けし焚き火の中に入れやすくしたのだという。
さすがです。
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火を見ていると心が安らぐ。
食事をしながら、時々話し、時々無言を交わす。
今日はとても充実感に心が溢れるそんな一日になる。
今日も、素晴らしい日々だ。



-"easy"Turtle
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by hikersdepot | 2011-06-30 19:00 | PCT 2010 by Turtle
Kearsarge Pass,CA to Vermilion Valley Resort (VVR),CA / DAY 62 - 68 / Part 2
6/23(wed) Hiking Day 45 15mi 7:00am-5:30pm(10:30)
"Mather"

2日続けて寝たのが10時を過ぎてしまったので、眠くて頭の動きが良くない。
撤収準備をしていると、Graduate が下りてきた。
先へ行かずに、マウンテンゴートやチャーリーと話をしている。
どうやらまた仲間が増えたらしい。
たしかにあの雪の中一人進むのは不確定要素が多すぎてリスキー。
出来なくはないが時間がかかりすぎる。

ぼちぼちと7時に出る。いきなりFord(渡渉)スタート。
流れが強いなか迂回点や弱点を探して渡る。
2つ立て続けに越えてからは South Fork Kings River に沿って北へ上がる。

10000feetは雪の境界にあり、雪解けが進んでいる。
そのせいで水がトレイル上を覆い川のような中を歩いていく。
緩やかに標高が増えると雪も比例して増えていく。
まだ早い時間なので、まだ雪が締まり、昨日よりは歩きやすい。
けれどこのまま行けば、Pass の登りと下りの時は弛むだろう。

長い長いアプローチは時間に対して遅々として進まない。
小休止を挟むが雪のタイムリミットを考えて素早くリスタートする。
ふと目の前に壁が立つ。

横に長く大きな懐を持つPCT第4のBig Pass、Mather Passだ。

僕のBoss とYas が最も怖かったと言っていた。
Yogi's でもハイカー達ににとって怖く、難しいと言う。

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なめていた訳では無い。
見るまで実感はわかなかったし、既に越えた幾つかのパスで自信もあった。
目の前にきて、たしかにその壁は一気に500feet(150m)を上げ、最大斜度は50度位か。
スキーの上級コースの斜度は35度から40度。
45度を越えたらパッと見は垂直だ。
ちなみに雪の無い時期はどのパスにもしっかりとしたトレイルが通り、普通に歩けるのでご安心を。

しかもこのパスは取り付きが難しい。
本来のトレイルはパスに向かって一度東に大きく旋回し、パスよりも左に向かってスイッチバックをしてからパスに上がるようだ。
何一つ無い状況で選ぶのは自由なのだが。僕達は雪の急斜面の直登を避け左斜面よりにある岩のリッジを上がっていった。

バランシィな岩の連続で緊張する。
緊張は身体を固くするので深呼吸で落ち着き集中する。
先頭はチャーリー、続いてグラデュエイト、マウンテンゴート、最後に腹へりでモグモグしながら僕が上がる。
トレースは幾つか見える。
岩が切れると急斜面のトラバースになる。
チャーリーはバスケット無しのウィペットを深く刺しながら、グラデュエイトとマウンテンゴートはアイスアックス、僕はトレッキングポールだけだ。

急斜面はまだ良いとしても雪が深い。一歩ずつが膝上まで埋まる。
しかも弛い。なんてデリケートだ。

いつ斜面が落ちてもおかしくない。
最悪のケースを頭から振り払い、一歩を慎重に進める。
エッジを最大に活かすよう歩く。
PCTで唯一トレイルランニングシューズを恨んだ。
堅い靴なら斜面を削るのは簡単だ。

フゥ…。集中、だ。

Fuck ! 悪態をつくが、誰を相手にだかわからない。
長い、長い…。

マウンテンゴートが足を止めてしまった。
そこで止まられても…と思ったが、慎重に少し下がり、マウンテンゴートに声をかけてパスしていく。
アイスアックスが重くて腕が上がらない、とか言っていた。

トレースに沿って上がるグラデュエイトが見える。
チャーリーは突然グリセードで下に降りてしまった。何か落としたのだろうか。
パスは目の前にある。
しかし近づかないもどかしさ。

下を見る。最悪滑落しても止まるし死にはしない。
けれどこんなところで怪我をしたくない。
こんなところで立ち止まる訳にはいかない。

トレッキングポールをひっくり返して持ち、雪に深く突き立てる。

Fuck! Fuck! Fuck!

自分に悪態をつく。
恐れは緊張になり身体が固くなるのを押さえるため自分に悪態をついて叱咤する。

チャーリーが直登してきたので、何かあったのか尋ねると、トラバースが難しく怖かったので一度降りて登り直したらしい。
マウンテンゴートが止まってしまったのでチャーリーが救出に向かう。

頂上直下のスイッチバックに入ると更に斜度を上げ、緊張と集中も最高に!
アドレナリンが出て疲れや苦しさが感じにくくなる。
頭がピリピリし、脳がグッと収縮する。
体の感覚が希薄になるのを感じる。

最後は少し被り気味でとても怖い。
あと数歩を一気に登り切ると細いリッジを持つ、Mather Pass (12100feet)に着いた!

先に着いていたグラデュエイトは疲れて岩の上で座って休んでいる。
喜びと恐怖の写真とビデオを撮る。

“Scary ! ”
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マウンテンゴートはなんとかリスタートしたようでチャーリーとこっちに向かって来ていた。

岩の上で日向の暖かさを感じながら空腹を満たす。
マウンテンゴートとチャーリーもしばらくして上がって来たのでみんなで喜びを分かち合う。
マウンテンゴートはこの日で46歳となったおめでとう!!!
その日にふさわしい困難を乗り越えられたじゃないか。

休憩をゆっくりしたいところだがそうも言っていられない。
雪はいよいよ軟らかく足を取る。先に行こう。

北側はそれほどの急斜面では無かった。岩と雪の合間を、ポストホールに注意しながら下る。
広い真っ直ぐな斜面に出ればグリセードの出番だ。時間は確実に短縮できる。
マウンテンゴートはどうやら苦手らしい。

ややトラバースしながら標高を下げて行く。雪が割れた下には勢い良く水が流れている。
平坦な地形になるとトレースは疎らになり水が行く手を阻む。

振り返る、Mather Pass。
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地図と方角を頼りに進むべき道を決める。
湖の東をトラバース気味に行く。
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樹林帯に入ると先が見通しにくくなる。
さもすると下りを選んでしまうので意識して標高をキープする。
時間だけは早く進んでいる。
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雪解け水が滝のように山の上からトレイルに落ちてきているところをくぐり抜け、
やっと雪が少なくなった岩の上で昼休憩をする。
トレイルが出ていたらただ通り過ぎてしまう所だろう。

みなそれぞれ微妙なバランスで座ってくつろぎ、こわかったなぁ、と話をする。
それも既に笑い話だ。

先へ歩みを進めるが、雪はまだトレイルを隠そうとし、融けた水が溢れトレイルは水の中だ。
じゃぶじゃぶと音をたてて進む。
絶妙に繋がる雪上を歩き川を超えた先は斜度が急な下りになる。
岩の上から見るがトレースもトレイルも見えない。

右寄りに岩の合間を下りていくとトレースがちらほらと現れては消える。
上がったり下がったりトリッキーに動き回る。
そこを抜けると、やっと10000feetを切ってトレイルが現れて歩きやすくなる。
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Golden Staircase(黄金の階段) という急な細かいスイッチバックのトレイルは雪解け水が川のように流れ、その水は下に滝のように落ちていた。
水浸しだ。
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Mather Passからの雪解け水が激しく流れていく。
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それが過ぎると斜度はちょうど良くなり、今までと違い、スピーディーに進む。
今までの鬱憤を晴らすように駆け抜けるハイカー。川のようなトレイルを水飛沫を上げて行く。

綺麗な樹林帯を抜けて歩く、グラデュエイト。
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Grouse。日本とは少し違うかもしれないが、直訳は雷鳥。
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今日も花が綺麗に咲く。
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トレイルが乾き始め快適に進む。少し余裕の宣材写真も撮ってみた。
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明るく開けて見晴らしの良いトレイルを行く。
稜線に出なくても見晴らせるのは、大きい渓谷だからだろう。
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膝が痛くなったチャーリーは遅れ気味だ。
グラデュエイトとしばし待つ。腹が減って仕方ない。

マウンテンゴートの後にチャーリーが来る。さすがにみんな疲れている。
1日のリズムが悪くパスを越える時間が雪の腐る時間に当たってしまう。
このまま進めば、明日の"Muir Pass"はまさにPost Hole Hellだろう。
前に提案した時は無視されてしまったが、時間調整をしないかと話をする。
ここまで、急いではないが景色を見て楽しむような時間がほとんど無かった。
せっかくのシエラをもう少し楽しもう。
チャーリーとマウンテンゴートはすんなりと同調。
グラデュエイトは食料が足りないので皆で分けることにする。

途中焚き火をするJMTハイカーに会う。先のことを聞かれたが上手く話を濁した。
たしかに雪の多さに辟易だ。

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美しい岩のPeak。
まさに岩の殿堂というところか。
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雪の無くなった気持ちの良い道をサクサク下り、トレイルが川にぶつかり北に進路を変える"Middle Fork Kings River"で今日は終了とする。
なかなか良いキャンプサイトで、川も遠からず近からずで気持ち良い。

近くには、川に流されたのだろうか、橋の橋脚が残っていた。
向こうにいけばTH(トレイルヘッド)につながっているトレイルだ。
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JMTは基本として、谷を上がり、パスを越え、谷を下るの繰り返しだ。
単調だが景色は大きく変わり美しい。谷ごとに変わるのだ。
深い谷は僕らを包み込む。不思議な安心感があるのはなぜだろう。

今日は時間に余裕があるのでのんびりて夕刻を楽しむ。
グラデュエイトは大学を卒業してからPCTに来たので、Graduate、なのだという。
身長はやっと160cmあるかという感じでアメリカ人としては珍しい小ささだ。
パックも小振りで身軽なので足が早い。
きっとYASはこんな感じなのか。

軽量化の為にシリアルバーしか食べないという。
変わった奴だ。

マウンテンゴートが作る小さい焚き火の暖かさに心が休まる素敵な夜だった。


-"easy"Turtle
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by hikersdepot | 2011-06-29 10:00 | PCT 2010 by Turtle
Kearsarge Pass,CA to Vermilion Valley Resort (VVR),CA / 62 Day - 68 Day / Part 1
6/21(mon) Hiking Day 43 15mi 11:30am-7:30pm(8:00)
"Resume & Too Passes"

とうとうチャーリーと一緒に、Lone Pine を離れることになった。
朝食はジョーと3人でArabama Hillsへ。ダンはホステルの壁を洗う仕事をしている。
Arabama Hillsの店名の由来は、どうもこの辺りにある景勝地からとったようだ。
またしばらく食べられなくなるので、好きなものを頼む。
単品で頼んだパンケーキは一枚。手を広げたよりも大きくちょっと持て余し気味だ。
元気の良い"お姉さま"がなにか言ってる。他にもなんだかんだと。ちゃんと聞いていなかった。

半分くらい食べた頃、もう一枚パンケーキが出てきたので、3人で不思議な顔をする。
お姉さま曰く、さっき出したのが小さく、悪いと思ったからもう一枚よ、と。
二人に食べるか聞くと、笑いながら要らないと言う。
僕は苦笑いで、食べるよ、と言った。

結局食べきれなかった。

9:00am出発予定だったが、トレイルエンジェルが、ポストオフィスに行ったり他のハイカーの用事を頼まれていて延びる。
ダニエルに別れを言う。
わずかだけれどダニエルに部屋代を渡す。
チャーリーはダニエルが欲しがっていた笛を買ってあげた。
ダニエル、ジョーのパンコースト兄弟と必ず再会を約束し離れる。

トレイルヘッドに向かう車にはトレイルエンジェルとハイカーが5人、いっぱいで臭い。
僕は荷台に乗って、遠ざかっていくローンパインを見ていた。
インディペンデンスで同乗のハイカーがポストオフィスによる間に車を止めたモーテルで久しぶりの再会が。
Trouble、Dude、Terrapin、Granite だ。彼らも再会を喜んでくれた。
シンはもっと先に行っていると思っていたよ、と言われ、何度目かの説明をする。
次に会えるのかは解らないが、ハイカーはみな"See you"と言って別れる。
See you trails !

車は西にハンドルを切りトレイルヘッドへ向かう。
ヒッチハイクのハイカー、Curly、を無理矢理乗せて、Onion Valleyへ。
車はまさに満載状態だ。

あの事故から一週間、Onion Valleyは静かだった。
なんだかいろんな思いが胸をよぎる。

よし、行こう!

スタートは11:00amを過ぎていた。
車で一緒だった、Graduate はアメリカ成人男性とは思えないほど小柄で、それにぴったりなコンパクトにまとめたバックパックを背負い、速足で歩いて行った。
13000feetまでの登りは、一週間前とは景色が一変するほど雪が少なくなっていた。
一週間ぶりにしては良いペースで歩き、事故現場も気づかずに通り過ぎてしまった。
紛失したジョーのカーボンポールを探しに降りる。
チャーリーと事故場所近くまで降りるが、雪が無くかえって危険になっていた。
ずいぶん懐かしい気がする。

結局ポールは見つからず先に進むことにする。
ほとんど休憩を取らずにKearsarge Pass に着いた。ちょっと一休みする。
いつも変わらずに美しい景色だ。色のコントラストが何とも言えない。
腰をかけてスナックを食べているとおこぼれを狙ってChipmunk が寄ってくる。
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餌付けはいけないのにチャーリーがお菓子を投げて遊んでいたら近くにもっと寄ってきた。
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しまいには二匹がケンカを始めてしまった。あれあれ。

以前は雪で埋まっていた岩場のトラバースを下る。
道は上下に別れるが一週間前は雪が多くてわからなかった。
北に向かう僕らは上の道を進む。

眼科には点在する湖、そして山が美しい。
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しばらくしてトレイルにぶつかる、PCTに戻ったのだ。
時間が微妙なので、近くの湖でキャンプをしようと考えていたが、チャーリーはパスを越えるという。

本日2つ目。Two & Too Much 。
PCT、2つ目の巨大なパス、GLEN PASS。ここまでだいぶ雪が溶けていたので、まぁ大丈夫だろうと思っていた。
キャンプ予定地に考えていた湖を足下に見ながら通過していく。良さそうな場所だな。
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ところが、トレイルが大きく旋回しながら谷状地に入ると目の前には峠の上まで続く雪原だ。
午後をだいぶ回って雪解けでトレースが薄くなっている。
慎重に進むが荷物の重さと雪の柔らかさに足をとられ何度もバランスを崩してしまう。
トレースを失うが見えるパスはひとつ。
岩を乗り越え、ポストホールに注意をして歩く。
空は少しずつ雲が増え影を作りあやしさを増している。
最後の急斜面をスイッチバックして"Glen Pass"(12000feet) に着いた。
振り返ると歩いてきた雪原が見える。
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PCTに戻った分岐からたった3miにどれくらいかかったか。
黒く厚い雲からはいつしか雪が舞って落ちる。寒さは感じない、が、まさか雪とは。
チャーリーとひとつ越えた喜びを分かち合う。
ムービーを撮るチャーリー。
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日暮れ迫る雪の状態は酷く、一歩出すごとにポストホールを作って下る。
大きくバランスを崩して前に倒れながら下りていく。
どうも上に乗せたベアボックスがいけないらしく、体が振られてしまう。
"Fuck"と何回言っただろうか。悪態をつき続けた。

雪が割れた場所を渡渉し、丸太の橋を渡り、バランスを崩しながらUpper Rae Lakes に下りる。
雪も無くなり快適に歩く。ハラハラ降る雪も止みいよいよ薄暗くなる。
湖沿いにGraduate のシェルターが一張り。

僕らはもう少し先の開けたところで日暮れ前に終えた。
Middle Rae Lakes。広く開けた湿地の場所でキャンプには適している。
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風が強く、避けられる場所を探して設営。
良く見れば湖よりにはもっと広いキャンプサイトがあり2張りあった。
綺麗な水を汲みに湿原のような場所の小川へ行く。
少し落ち着いたので、夕食をとなった。

ところが、肝心な燃料用アルコールが無い!
どこを探しても見つからない!

何度もバランスを崩していたからだ。
歩きの初日。
なんてこった。やってしまった。まずい。まずい。

悩んだし、チャーリーには、見つからないよ、と言われたがあきらめられずに探しにいくことにする。
ツェルトを張るためにトレッキングポールを使っていたので、チャーリーのウィペットを借りて戻る。
もう真っ暗になっている。気付くと空は星でいっぱいになっていた。

あぁ晴れたんだなぁ。

グレンパスに向かう急斜面まで上がっていったが見つからない。
そんなものだ、とわかっていた。
しかし、動いてみて納得することもある。
時間を決めて40分歩いて、諦める。
グラデュエイトのシェルターわきをどしどし歩く。
熊と勘違いされていやしないだろうか。

往復1時間位になるだろうか、キャンプサイトに着くと、チャーリーが心配して僕を探しに行こうとしていた。
ありがとう。
今日はチャーリーにガスバーナーを借りる。
久しぶりで使いにくいし、うるさい。
しかし、パートナーがいることに感謝する。
もし一人だったら。下山という選択肢もあったはずだ。

チャーリーがULハイカーで無くて良かった。
彼がULハイカーだったら、余分な燃料なんて無いよ、と言われかねない。

自分らしい、とんだハプニングだ。
ちょうど良い邪気払いだとおもうことにしよう。
燃料のことはまた明日考えよう。

もう11:00pm。
ヘロヘロ。

嗚呼、星が綺麗だ。




6/22(tue) Hiking Day 44 18mi 8:00am-8:00pm(12:00)
"Pinchot Flat"

暖かい朝を迎える。
昨日の憂いを晴らしてくれるような清々しい天気だ。
近くのテントのハイカーはMountain goat とFizzy だった。
Fizzy は友人がセクションで合流し一緒に泊まっていたが、雪が多すぎて怖いので降りるという。

昨夜の事情を説明するとマウンテンゴートがアルコールを少し分けてくれた。
2日分はあるだろうか、有難い。
フィジィも下りるので使わないガスカートリッジをくれる。
もうこれで憂いが無い。しかし重さは加わってしまった。

昨日遅くなってしまったので今日のスタートもゆっくり。
チャーリーがマウンテンゴートと話して、一緒に歩くことになるかもしれないと言う。
この雪の中を一人で行くには少し無理があるので誘ったようだ。

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美しい湖に沿って歩いて行く。
岩と雪と空と水。眩しい日射しに目を細める。
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"Ouch ! "チャーリーが叫ぶ。
何かと思ったら、サングラスを置き忘れたという。あれあれ。
そのサングラスは一度落として無くし、Idyllwild のグロセリー で買ったものの、それも無くしまた買い直したものだ  。
安物だが、この先の雪の照り返しから目を守るには必要なものだ。
チャーリーが取りに戻る間にスリーピングバッグとツェルトを干してぼんやり待つ。
後から来たマウンテンゴートが抜いていく。
チャーリーがルンルンで戻ってくる。

大きすぎる谷間を、湖を見ながら緩やかに下る。
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トレイルが雪に覆われデリケートなトラバースをしたり、細かい渡渉をしながら下りていく。
大陸らしい景色の中をグンと進む。

ジョン・ミューアの顔付きの看板だ。
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今までのPCTでは考えられないこと。
有名なトレイルに来たんだな、と実感。

途中橋の上に何か見える。マーモットだ!まるでぬいぐるみだ。
写真を遠くから撮る。近づくと逃げてしまうからそっと。
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トイレタイムのチャーリーを待たずに先へ。
流れが早い渡渉場所に逆から来たハイカーが戸惑っている。
彼らは防水ブーツだからこの深さだと水が入ってしまうので渡れないのだ。
トレイルランニングシューズの僕はさっさと渡る。"Hey! How's it going! "
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道が開け緩やかになると大きな橋が見える。
Glen Pass からの流れがWoods Creek にぶつかる場所だ。
雪解けの水が音を立てて激しく流れている。
PCTはここから進路を東に変える。
チャーリーも来て、マウンテンゴートと三人、軽くスナックを取り休む。
暖かくて気持ちが良い。
マウンテンゴートは慣れないチームに少し戸惑っているようにも見えた。
それよりもチャーリーの気まぐれに付いてこられるかな。
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PCTハイカーのAnn が下りてきた。
久しぶりでびっくり!
そしてどこから?
話を聞いても良くわからないが、彼女は雪のことを気にしているようだ。
ここから街に降りるのを考えているらしい。
Ann に別れを告げ進む。

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道はWoods Creek に沿って緩やかに標高を上げていく。
再びトイレのチャーリーを置いて先へ。
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標高が10000feetを越えてしばらくするとフラットになる。
向きを北に変え広大な谷に入る。

谷にいるとは思えない広さだ。ここから第三の大パス、Pinchot Pass を目指す。
先が長いので早い昼食。
どれくらいで越えられるだろうか。
チャーリーは、“せいぜい一時間に1mi 位かな”と言う。
時間は昼を越えて、雪はまた軟らかいだろう。

マウンテンゴートより先行し二人で先へ。
11000feetを越えて樹林帯を出ると一気に雪となる。
下部は微妙に融けた雪で開いた湖や川に遮られトリッキー。
目指す方向はわかっているがトレースは錯綜し雪原はウェーブに。
長いフラットを抜けて左に逸れる。
右側にトレースが見えるがチャーリーは無視するという。しかし、まっすぐは急斜となり厳しい。
雪を避けて岩のリッジを上がることにするが、それも思っていた以上に大変だ。

右からマウンテンゴートが上がって来るのと合流し、左面よりまず直登。
ややトラバース気味に最低鞍部を目指す。
ゆっくりだが雪に慣れているチャーリーと僕は着実に上がり、マウンテンゴートはランニングシューズが滑り手こずる。
トレイルランニングシューズでのキックステップは難しいが、体の向きを微妙に変えたり、固いソールから蹴り込みエッジを効かせて上がる。
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急斜面に取り付いてから間もなくして、Pinchot Pass(12150feet) に着いた。
前後には永遠と続くような雪原が広がる。
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しばし休憩のあと、下り始める。長い長い下り。
昨日とはパッキングを変えた為、バランスを崩さずにぐんぐん下れる。
斜度はそれほど急じゃない。しかし、勢いで降りられないのが体力を削る。

時々雪が途切れるようになると斜度は更に緩やかになる。
そうすると雪上はさらに歩きにくい。
Post Hole を作りながら、筋力にも体力にも厳しい歩きが続く。
雪に覆われたいくつかの湖を通り過ぎる。
水の流れによって雪が割れた深い渡渉をなんとかこなしたその先に、Taboose Pass への分岐があるBench Lake Ranger Station に着く。
Bench Lake はここから西に1.7miだし、レンジャーステーションはトレイルから見えない場所にあるのでどちらも確認は出来ない。

小さいながらもキャンプサイトが、雪の合間にあったが先客がほとんどのスペースを埋めていた。
初めて見たが、チャーリーやマウンテンゴートは知っているようだ。
その呼び名通り、ニュージーランドから来ているKiwi達(個別の名はわからぬまま)、Graduate もいた。
皆で話をしているとレンジャーが来ていた。
ここには泊まれるスペースはもう無い。
するとこの先1.4mi で川に下りるとキャンプしやすいという。

太陽は山の陰に隠れてしまったが、まだ明るいうちには間に合いそうなので先へ進む。
小さいスイッチバックで下りていくが雪が覆い、いやらしいトラバースになる。
陽がないと凹凸が判りにくいので慎重かつスピーディーに下りていく。
それほどかからずにフラットエリアに着いた。ファイヤースポットもある寝やすそうな良い場所だ。
手早く家を作り、水を汲み、食事をする。
マウンテンゴートのくれたHot Chocolate が美味しかった。

雪に阻まれ、思うように進めず、今日も長かった。
きっと明日も長いのだろう。
丁寧にストレッチをして身体をほぐす。
どんな道具よりも大切で頼りになる身体よ。頼りにしてるぜ。

川の音が谷に響く。横になると大地に溶け込むように眠りに着いた。


-"easy"Turtle

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by hikersdepot | 2011-06-26 12:44 | PCT 2010 by Turtle
PCTで休む、寝る
PCTハイク中に仲間たちと良く言っていた言葉があります。

Eat, Poop, Sleep, Hike.
食べる、出す、寝る、歩く。
スルーハイカー四か条。

今まで、順序は違いましたが、歩くことに関連した靴の話、食事に関しての話、出すものとゴミの話をしました。とくれば、最後は寝る、休む話です。

ロングハイクとはただのハイキングではなく"生活"です。生きて活動するのには食べることが大切です。そして、体内に残った悪いものやカスを出す。十分に休み、最後に歩く。歩くことが一番大切なのでは無く、目的地に到達する為の大切手段を現した深い言葉なのです。というのは大分大げさですね。しかし、シンプルにいえば、ハイカーはこの四つの行動に集約されるのは間違いがありません。

ロングハイクの目的は最終点に到着する事が目標であり、"歩く"ことは手段です。その手段となる"歩く"を続ける為に大切なことは"休む"という手段です。

特に"遠く長く"歩く為には休憩をとるというのは重要で、集中力を保つ上でも大切なことだと思います。

"長い時間"行動するのとは少し違うこともあります。例えば、長時間行動でもゆっくりであれば休憩は少なくても良いかもしれません。ずっと行動食を食べ続ければ動くことは可能です。しかし、長時間行動すれば、おのずとペースダウンしてしまうので、早く動いてるつもりでも結局はゆっくりの行動になりがちです。それでは長い距離を行動するには効率が悪すぎます。

休憩の取り方は人により様々で、"一般的"と言われる取り方もあります。PCTハイカーも同様でゆっくり歩き休憩の回数の少ないハイカーもいれば、早く歩きたくさん休憩をとるハイカーもいます。どちらにしても長い時間歩き続けるため、一般的な日本の山の歩き方よりはトータルでとる時間は長いと思います。

1日約40km、10から12時間位かけます。その内休憩時間は3~4時間位になると思います。

参考として僕の場合。
5:00am起床。ダラダラと温もりを楽しむ。
眠気覚ましに高カロリーのスナックを食べる。一服しながら撤収。
6:00am発。歩く。ポケットに入れたスナック、もしくはエナジーバーを少しずつ食べる。
一時間ほどで集中力が落ちる。歩き方やペースを変えながら集中力を維持。
8:00am。スタートから2時間位で集中力が低下。空腹もピーク。
大休止その1。朝食を食べる。30分から1時間。
8:45am再び歩く。徐々にペースが乗ってくるに任せる。
同様に一時間位ずつ集中力を途切れ無いように調整。二時間位で小休止。
11:00am。10分~30分。昼飯前のおやつ。体を冷やさない程度に。
11:15am、再び二時間位の歩き。
1:30pm、大休止その2。一時間ほどゆっくり休む。昼飯。天気が良かったり、暑い場合は昼寝。
2:30pm リスタート。2時間位歩く。疲れもあるのでペースはやや落ちることも。
5:00pm、三択。
1.早いときはキャンプサイトを探して終了。
2.ディナータイム後再び歩く。
3.30分位の休憩後再び歩く。
再び歩く場合、 日暮れまでは一~ニ時間ほどなのでキャンプサイトを考えながら歩きます。
6:00pm終了

アメリカではサマータイムのため、長い時は9:00pmくらいまで明るいときもあります。その時は出発をゆっくりにしてたくさん寝る場合もあれば、もっと昼寝をして遅くまで歩く場合もあります。

歩いていて体感から実行していたのは12時間行動、12時間休息です。
どんな形であれ、1日の半分12時間を行動に費やしても、12時間の休息があれば、また次の日に動き出せます。
毎日のことで慣れていたとはいうものの、悪くない行動パターンだと思っています。
それ以上の行動に対しては回復が追いつかない可能性があるのでロングハイクにおいては、明日があると考えて、12時間行動以上はおすすめしません。

日本には日本なりのパターンもありますから一概には言えないかもしれませんが、応用は可能だと思います。

さて今まではパターンについてざっくり話しましたが、休息の取り方、方法も大切です。
立ち休憩というものがあります。集中力を途切れさせないためには良いかもしれません。
しかし、体が休息を求めた時点で集中力が落ちてきているのでしょう。
どうせ体を休めるなら座りましょう。出来たら足を伸ばし、体を木や岩にもたれかけましょう。脱力してリラックスすれば、たとえ五分でも、立って休む10分より効果的でしょう。座る30分、立つ1時間。と僕は思います。

悪天候ならばいざ知らず、立って休むPCTハイカーはまずいません。
その時、座布団になるようなものがあるとなお良し。僕は切ったZ-Liteを、スリーピングパッドの足元を兼ねて、使っていました。

また、歩き始める時にはできればストレッチをすると良いです。特に腿からふくらはぎの裏は疲労が蓄積します。
各所ゆっくり20秒以上、しっかりと伸ばしましょう。
お尻の筋肉をほぐし、股関節も柔軟にすると足の動きが少し良くなると思います。

次は寝ることについてです。
一泊や二泊では無く、それが毎日のように繰り返されます。十分に休めるように工夫します。

数週間までのロングハイクはまだ"非日常"といえるのかもしれませんが、数ヵ月に及ぶロングハイクはハイキングが"生活"で、街の滞在が"非日常"という逆転が起きます。
生活をいかに快適に過ごすかが重要になります。
とはいえ、過剰なものは必要ありません。

"貧しい者とは、持たない者ではなく、欲する者である"。

"知足" ということを忘れてはいけません。

目的を達する手段"歩く"をより長く続ける為に"軽い"という手段をとります。その"軽い"に必要なのは軽い道具を使うことでは無く"簡素化"という手段を選択する事です。

Simple は、単純な、簡素な、という意味です。
シンプルな道具は一見頼りなく見えるかもしれません。機能がたくさん無く、便利には見えないかもしれませんが、"あると便利"は必要では無いのです。
"便利な道具"は時に過剰で、それ以上の変化がしにくいので、考える力を奪います。
シンプルな道具とは使う人の知識や考えによって、自由に変形し、またちょっとした思考の転換や機転によって、十分快適(?)になるのです。

長い前振りでしたが、PCTハイカーやロングハイクを好む人たちには簡素な"幕"が好まれます。
その代表格はタープ、(フロアレス)シェルターです。ほとんどのものがフレームレスでトレッキングポールや立木を利用して張ります。重量は一人用でだいたい200gから700g位です。当然一般的なテントからすると不便かもしれませんが、"軽さ"という、ハイカーにとっての大きな"利"を得るのです。

雨が降れば濡れるかもしれない。寒いかもしれない。しかし、ただ過ぎてしまうより、苦労した思い出は後で楽しい思い出に変わると思います。
人にはそれを乗り越えるだけの知恵と身体があります。創意工夫は人間が持つ最高のアウトドアギアです。

僕はPCTを通して使っていた幕は、ファイントラックのツェルトです。
雨や湿った地面の時は内側にビニールシートを引いていました。
ツェルトを選んだ理由は、砂漠から雪山まで幅広く使うことを考えてです。
ツェルトは解放することも容易でタープとしても使えます。
寒冷な時には密閉することで風雨を防ぐだけで無く温度差も作れるので、タープやシェルターよりもスリーピングバッグの温度ランクを下げることもできます。
雨の吹き込みを考えてスリーピングバッグカバーなどを使うか否かという問題からも解放されます。
ファイントラックのツェルトは耐水性が乏しいので大雨の時は"ちょっと微妙"と思うかもしれませんが、ヘタなシェルターよりも軽く、立木などでも張りやすい汎用性があり、シンプルでミニマムなサイズです。
耐久性もあり、ロングハイクでも故障は一度もありませんでした。
ステイク(ペグ)はアルミとチタンのピンステイクを合わせて8本。
本体四隅4箇所。前後2本。残りはサイド下もしくはサイドリフターに使いました。
石を使ったり、岩にステイクを挟んで固定したり、倒木を利用したりと、頭と体を使うとたいていの場合何とかなります。

マットはリッジレストを100センチ。ゼットライトの3ブロック分の角を落とし足元マット兼座布団に。バックパックを横向きにして枕にする事で175センチの身体を全部カバーしました。
より軽いものもありますが保温性、耐久性を考えると最適な組み合わせと判断しました。

スリーピングバッグはハイカーズデポのダウンバッグ。フードレスデザインですが、別にニットキャップを持てば十分。
ニットキャップは単体でも使えるので全体で重量軽減にもなります。
ダウンを上面片側に寄せたり、上下均等にに広げたりすることで低温から高温まで使いやすく、ジッパーを開けばキルト状にもなります。
ひとつ下のクラスの軽さでひとつ上のクラスの暖かさ。マイナス10℃から25℃まで対応できる、今までに無い汎用性の高さで、どんな情況にも対応します。

全体を通して、単機能が優れた上に汎用性があるようなものを選択しました。
長いハイキング生活を支えてくれた信頼できる相棒達です。

不便な点も足りないところもありましたが、故障も無く、この旅で最も評価しているのがこのスリーピングシステムです。
質素と快適の間、と自分では思います。

数ヵ月、毎日、長い距離、長い時間歩いても、食事をして、しっかりと休むことで体は力を取り戻します。
その為に睡眠をおろそかにはできません。

数日、数週間のハイキングではよりULスタイルで楽しむことは可能ですし、軽さの恩恵をうけることにもなるでしょう。
しかし数ヵ月となれば(一部の Crazy Steady hikers を除いて)、寝るということには、少しだけ、重きを置いても良いと思います。

もうひとつ。
軽量化の定番の方々で保温着を持って行く分、寝袋を薄くして軽量化を図ります。
それの利点も間違い無くあるでしょう。
ただ僕は今はその方法をあまりとりません。

僕の友人で、同志とも言えるアルパインクライマーに言われた言葉を僕は信じています。
"もし、簡素化軽量化を図る場合に、例え保温着は無くても、寝袋は暖かいものを持って行くべきだ。"

例えばダウンジャケット(250g、ダウン量80g)、パンツ(200g、ダウン量50g)を着て薄手の寝袋(500g、ダウン量280g)で寝るよりは、
例えダウン上下が無くても寝袋(950g、ダウン量450g)が厚手のほうが暖かいということです。

これは事実、体感できるほどに違います。
とはいえ極端に偏ると、起きている間寒いのでバランス感は必要です。

途中で装備を替える余裕のあるハイカーを除き、PCTハイカーに一番多い組み合わせは、
スリーピングバッグが900g~1000g(ダウン量400g~500g)に薄手のダウン200g(ダウン量50g)、もしくはシンセティックダウン200g(40g/m2)です。

僕は、HDダウンバッグロング650g(ダウン量310g)、ダウンジャケット280g(ダウン量100g) にして軽量化と保温力のバランスを取りました。

概ね、行動時間が長く、停滞時間の短いスルーハイカーには、保温着よりもスリーピングバッグを重視する傾向にあるようです。

体感は人により様々ですし、何を選択するかもまた、Hiker Direction、なのでしょう。
自分の好きなものを巧く使いこなし、自分なりのベストパートナーを見つけてもらえればと思います。

最後に。
PCTでは、ルート上のほとんどのエリアで自由にキャンプすることが認められています。
たくさんのキャンプサイトや、人が多く利用することで整地されてしまっている場所もあります。
全くなにも無く、自分で自由に場所を選び整地する場合もあります。
しかし、どんな場所を使う場合であっても、そこから離れる場合は、そこにいた形跡を極力無くすことが大切です。
ゴミはもちろん、寝た跡が残っていたら、周りの落ち葉を集めて砂をかけたりして周りと同じようにします。
かまどの無い場所で焚き火をした場合は、水をかけて完全消火し、土に埋め、土を被せ、痕跡を少しでも消しましょう。

自然を生かすことは、自分を生かすこと。
自然を大切にすることは、自分を大切にすること。


Leave No Trace - 痕跡を残さない


まずは出来る範囲でやりましょう。



それでは!明日もみんなで、

Happy Trails !


-"easy"Turtle
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by hikersdepot | 2011-06-18 10:14 | PCT 2010 by Turtle
Lone Pine, CA Day56-Day61 / 1 week "Zero" Part 2
6/16(wed) Day 57
"Confused"

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この日は振り回された。

朝には皆が出ていった。
街をブラブラしても限界があり直ぐに尽きてしまう。
Bishop はここからバスで一時間半位北に行った街でローンパインよりも大きい。本数は1日四本位。
行きたかったが、トーマスというトレイルエンジェルが連れて行ってくれると言うので待つことに。

トーマスというトレイルエンジェルはなかなかのクセ者。
しかしエヴァンは彼の影響を強く受けたようだ。
トーマスはPCTスルーハイカーでも無く、PCTA会員でも無い、それは良いにしても妙にハイカーの中に入りたがる。

今日はジョーの退院の日でトーマスが車を出してくれた。
好い人ではあるんだろう、が。その後トーマスは失踪。
エヴァンが度々連絡をとってくれたが、その度何時ごろだとか、行く行くと言い、結局来なかった。

ジョーは疲れていて良く寝ていた。
彼はこれから一週間位で抜糸となる。それまでここから通院だ。

ホステルのオーナーはとても良い人で、ダニエルの話を聞いてここの長期滞在を了解してくれた。
当然タダでは無い。
条件はダニエルが働くこと。
怪我をした弟のために健気だ。でも笑ってしまった。ダニエルもはにかんでいた。

その夜はとりあえずジョーの退院祝いとする。ちょっとがんばって僕のおごりで、3人で食事をしに行った。
一応、ジョーとは一回り違うから年上としての見栄かな。
レストランでは、Ben、Fog、Daffy と再開した。


6/17(thr)
"Travelling"

この日の朝、ダニエルは仕事に出かける。
僕はバスに乗ってBishop へ行く。
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途中、Independence の街を通り、Eastern Sierra を眺めながら北上する。
バスはLocoの大事な足だ。
特に都心部ではない地域の車を持たない貧困層にとっては無くてはならないものだ。
採算に見合わないような状況にもかかわらず運行するのはそれが理由だろう。
日本でも同じだ。

その貴重な足は砂漠に突如現れる街のVons というGrocery の前で下車する。
ここを街の端としメインストリートは0.8miほどの距離だが、店の種類や豊富さから見るとそれなりの規模の街なのだろう。
モーテルやレストラン、ファーストフードが立ち並ぶ街を眺めながら歩く。

中心部には公園があり奥にはパブリックプールがあるようだ。
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家族連れが多く穏やかな雰囲気だ。
この街はアウトドアを楽しむ人にとって良い中継地点なのだろう。
あとで知ったことだが、ボルダリングの有名なスポットも近くにあるらしい。

数件のSports Shop (Fishing やHuntingのお店のこともいいます) 、アウトドアショップも三軒ある。
その内の一軒はMammoth Mountain Supply といい、Mammoth Lakes という街に本店を持つ店で、アウトドアギアのリサイクルショップのようなこともしている。
長期滞在を決めた僕にはちょうど良い、$3のTシャツと頭の寒さが気になるシエラにプラスできる$5のパタゴニアのフリースキャップを手に入れる。
一人のんびり、旅を満喫。今日の僕はただの旅行者だ。

帰りのバスを待っている時に声をかけてきた青年は、PCTハイカーか、と尋ねてきた。
彼はマウンテンバイクを楽しみにシエラの近くに良く行くという。
今年の山はホントに雪が多いらしい。
Mammoth Lakes はシエラの麓の街で夏はマウンテンバイク、冬はスキーが盛んだ。
例年5月には閉まるスキー場が、4th of July(アメリカ独立記念日)までは開く予定だという。
Reds Meadow(JMT・PCTともに要所)もまだ開いてないかもしれないと。

親切にいろいろ教えてくれた彼は山に遊びに行くためバスに乗って去った。
LONEPINE に戻る間は綺麗な夕景を見ることが出来た。
ローンパインのバス停はコミュニティセンター前。
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バス停にはダニエルが待っていた。どうしたのだろう。
帰りを待つほどの仲では?

突然角から現れたのは、Charlie Hyde、あのチャーリーだった!

あまりに驚いてしどろもどろになってしまった。ハグしてから落ち着いて顔を見る。
4日位 Behind だったが追いついたのだ。念のため昨日、チャーリーにメールをしておいた。
もし、Kearsarge Pass から降りて気づいてくれればとおもっていた。
Team KY、再結成だ。
なんだかとても希望がわく楽しい夜になった。
みんなでレストランに行くがテンションが高い!話は尽きない。

レストランの隣のスーベニアショップはネイティブやストーンのスピリチュアルショップ。
ネイティブの笛が置いてあり、ハイキングに最適な小型のものもある。
ダニエルが気になっているらしい。しかし、意外に高い。

ダニエルが吹く笛は相変わらず美しい。バイト代が出れば良いなぁ、と言っていた。
明日は早起きすることになった。レジャーをしに行くことになったのだ。さぁ楽しもう!


6/18(fri) Day 59
"Skiing in Summer"

すでに街は明るいが時間はまだ5:00am前。
チャーリーと二人バス停に向かう。今日は二人で遠出をして遊びに行く。
時間はたくさんあるがバスの時刻に合わせて動かなくてはならない。
一本逃せば帰って来れないからだ。

どこに向かうのかというと、Mammoth Lakes だ。
予定では、PCTを歩いて行けば、主要の街として多くのハイカーが立ち寄るリゾートタウンだ。
そこに先乗りしてしまうのはスキーをしに行く為だった。

2時間位の長旅だったが、景色がどんどん変わり、山の中に入っていく様が楽しかった。
いくつかの湖を過ぎると街に入る。
Mammoth Lakesは一年を通してレジャーを楽しめるリゾートタウンとして栄えている。
人口も多く、様々なお店が並んでいる。
街中は無料のシャトルバスで移動できる。

ダウンタウンからスキー場までは一旦"Village"というショッピングモールを兼ねたスキー場のベースになる街までシャトルに乗る。
雪がある時はスキー場からVillage まで滑って降りられるようだ。
運転手に訪ねると、スキーシーズンとサマーシーズンはVillage からのバスは出ているが、この時期はちょうど無いらしい。
確かにいつもならスキー場は閉じていて、マウンテンバイクやハイキングをするには雪が残り過ぎている季節だからだ。
となればPCTハイカーお得意のヒッチハイクだ。
はてさて捕まるや否や。

スキー場へ向かう道路に向かい、おもむろに親指を立てる。
一台目は通り過ぎ、二台目はキャンピングカーだ。
これは期待できないと次を見る。しかし車は止まった。まさかの幸運。

乗せてくれた彼は、30代?だろうか、スノーボードバムを楽しんでいるらしい。
今年は長い期間楽しめると喜んでいる。
PCTのことを知っていて、僕達を変わり者扱いだ。君もだろ、と言ってやりたい。

スキー場にはマンモスの像が。そのまんまだが分かりやすくて嫌いじゃない。
記念写真。
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アメリカのスキー人口は日本よりもはるかに多い。スキー場もPCT沿いにたくさん通過する。
盛んにおこなわれるポピュラーなスポーツなのに値段が高い!
日本と比べても3割位高いかもしれない。レンタル込みだともっとだ。
値段は見ない聞かないようにカードで支払いレシートも開かない様にした。
レンタルスキーにもクラスがあり、デモスキーのクラスにする。
チャーリーには、"僕は上手いが、しんは上手いのか?"と言われてしまう。
自慢できるほどでは無いが"もちろん"と答えておく。

日本とは違いバーコードを読み取りリフトに乗る。
いつもはわからないが、この時期にしてはかなりの雪があると思う。
何せ6月だ。

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リフトでなるべく上まで上がるとテンションも上がる。
まさかPCTハイキング中にスキーをするなんて思っていなかった。が、これもまた人生というもの。
楽しんだもの勝ちだ。

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日本と比べてもゲレンデ単体の広さはちょっと大きい位か。
ただ岩山や山全体の雰囲気がダイナミックでかっこいい。

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チャーリーはちょっと古いスタイルだが滑りは上手い。
こっちはカービングを生かした滑りを披露する。

懐かしいモノスキーを久しぶりに見る。
ジーンズにアロハ!カッコイイ!
あんな年の取り方をしたいなぁ。
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少し馴らしたところでオフピステに。
岩山の突端から伸びる広いスペースは汚れてはいるが滑り応えがある斜度。
荒れてて、場所によってはコブも大きい。
深呼吸してリラックス。
恐怖心をしまいドロップ。
なかなかの滑りだ。お互いに写真と動画を撮り合う。自己愛強し!?
全体の半分もゲレンデは開いてはいないが十分楽しめる。
さらにオフピステでは先を見失いながら進む。PCTハイカーに怖いものはない。
三時間位でお腹いっぱいに。

チャーリーはもう少し滑りたかったようだが、雪も腐ってきて、sticky になってきた。
引き時だ。
地元のスキーチームが練習をする姿は日本同様の光景だ。

スキーを終えた二人は外に出てVillage に戻る為にヒッチハイク。と、また直ぐに止まる。幸運だ。
スキー場関係者らしい人が乗せてくれた。

最近、Village 全体を再開発したらしく、レストランも他のショップも小綺麗だ。
こじゃれたメキシカンレストランで食事をするが、やはりメキシカンはどうも口に合わない。

ダウンタウンまで歩いて戻りポストオフィスに向かう。
もっと早くMammoth Lakes に着くつもりだったのでバウンスボックスを送っていたのだった。
それだけで無く日本から送ってもらった荷物もあり、ささやかながら妻からの誕生日プレゼントもあるようだ。

その後、Mammoth Mountain Supply の本店があるので覗いく。なかなかの品揃えだ。
クライミングとスキーが盛んなのだろう。品揃えの多くがクライミングに絡んでいた。
近くのベーカリーでチャーリーが買ったパイが美味しかった。二人でカロリー補給だ。
バスを待つ間マクドナルド前で寝転がり昼寝をする。
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帰りのバスの運転手とチャーリーが飲食でもめる。車内は駄目だの、行きは良かっただの。
どちらも大人気ない。

Bishop のバス停ではRocky Raccoon、Turbo 達と再開。
Whitney に向かうハイカーも二人乗っていた。
Lone Pineにバスで戻ったころには日暮れに。ジョーがバス停で待っていた。

らしい話だが、ダニエルが仕事が終わってからバスでBishop に行ったらしい、帰りのバスが無いのを承知で。
なんてことだ。次の日の仕事も出られないことになったようだ。
ホステルのオーナーさんにはお世話になっているというのに困った若者、バカモノだ。
Bishop で出会ったPCTハイカーの部屋に泊めてもらえるようだから、まだ良かった。

3人でチャイニーズレストランへ。台湾出身のシェフの作る料理は素晴らしく、"Empire Shrimp"はPCTでも一押しの一品だ。

1日たっぷり楽しんだ。
今日も元気でご飯が上手い!



6/19(sat) Day 60
"Kill Time"

Lone Pine には名物ともいえるレストランがある。
Breakfast とLunch だけの営業だが地元の人間でいつも賑やかだ。
Arabama Hills レストランは旨さだけでは無く、そのボリュームでPCTハイカーに人気だ。
なかなかチャンスが無く、初めて訪れた。

朝から賑やかな店内にはハイカーもちらほらといる。
その中の一人、Yellow Stone という女性ハイカーはKennedy Meadows でチャーリーと合ったらしい。
他にもソロの女性ハイカーに会う。
久しぶりのMountain Goat とFizzy は2日ほど前から街近くのキャンプ場に来ていたらしい。
話には聞いていたがなかなか会う機会が無かった。
彼らはキャンプ場を出たらしいが、今日トレイルに戻るのか明日かはっきりしなかった。

出てきた料理はこちらの想像を越えたボリューム。
PCTハイカーを驚かせるのだからなかなかだ。
ウェイトレスの"お姉さま"方はまるで下町の人の様にチャキチャキで、活気があって居心地が良い。
量もさることながら味も良い。
食べ終わる頃には胃ははち切れんばかりになっていた。

モーテルの前にはダニー、ファジーモンキーがトレイルに戻るため、トレイルエンジェルの車に
荷物を積んでいた。
久しぶりの再会だ。
だいたい会うハイカーは、シンはもっと前を歩いていただろ、と言う。
事情を説明するのにも慣れた。

トレイルエンジェルに明後日のことを頼み、みんなに挨拶して別れる。
チャーリーはウィペット(BDの簡易アイスアックス付きポール)が長いのでシャフトを切ると言ってハードウェアショップに金のこを探しに行く。
ここのハードウェアショップは面白いアウトドアアイテムも揃えていて楽しい。
チャーリーと話し合い、明後日の月曜日に出発を決めた。
ダニエルとジョーはおそらく水曜日か木曜日には出られそうだが、さすがにそこまでは待てなかった。
準備をしなければ。

昼頃にはダニエルも戻ってきた。
仕事をすっぽかしたにも関わらず、あっけらかんと武勇伝を語っている。

午後はいよいよ暇になる。
ジョーのリクエストでトランプゲームのハーツをやることに。
お供はチャーリーの大好きなキャンディで、昨日マンモスからわざわざ抱えて帰った、レッドヴァインのコンテナサイズだ。

ハーツは単純だが頭を使うゲームだ。
駆け引き上手でゲームを良く知っているチャーリー。
回転が早く考えすぎて墓穴を掘るジョー。
感覚でカードを切るダニエル。
考えた振りをして適当なタートル。
と四者四様で楽しいゲームは続く。

朝食が多すぎたのか昼飯も食べずに言葉通り、飽きるまでゲームを続けた。
夕食はみんな大好き、ピッツァ! Awesome!

ジョーは疲れて寝てしまったが3人で、あの話し合いをした"Dow Villa"の、ジャグジーに入りに行く。
ダンに明後日の出発を告げる。
3人でたくさんたくさん話をした。
今までしてきたこと。
これからしたいこと。
英語と日本語の違いについて話をする。
二人はとても良い英語の先生。
チャーリーも会わない間に上達したと言ってくれた。

ハイキングしはじめはただ聞いてくれていたが、少しずつ細かい訂正をしてくれ、今では発音も微妙に注意が入る。
これが二度目になるが、文字通り、裸の付き合いをした僕達はより深い心の結び付きを得た。

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6/20(sun)
"The Sabbath"

早朝、日本に電話をしてハイキングの再開を妻に伝える。
9月に入ったら、僕の母とグアムに旅行するというので驚く。
子も子なら親も親。夫が夫なら妻も妻。ということか。

部屋に戻り朝食を食べに行こうと誘うと、ダニエルとジョーは行かないという。
ダニエルは仕事も休むらしい。
チャーリーは納得顔だ。なぜそうするのかわからない僕は怪訝な顔をする。
毎日レストランという、とても贅沢なことが出来ないということなのだろうか。
長期滞在となればほとんどのハイカーは自炊などで節約するのだろう。

レストランに行き、チャーリーと話すと、日曜日はキリスト教の安息日だという。
"Sabbath"という。
一部の都市や国で行われているのは知っていたし、理解しているつもりだったが、身近な存在で、しかも敬虔(けいけん)なクリスチャンは初めてだ。
部屋に戻り、興味があったので、安息日について聞いてみる。
宗派によっても違うのかもしれないが、彼らはCatholic(カソリック)、父親は神父だ。
安息日は、自分達が働くことは元より、人が働く場所にも立ち入らない。
レストランはもちろんグロセリーもだ。
バスなど交通機関も含まれる。
出掛けても良いが、要は家族との時間や自分の時間を楽しみ大切にせよということだ。

パンコースト兄弟が礼拝に行くという。
シンも行かないかと言うので、チャーリーはどこかに行ってしまったし、興味もあったので一緒に行くことになった。
Church かChapel か、メインストレートから外れた病院のそばにある。
地元の老若男女がちょっとおめかしをして集まってくる。
事情を話すと快く受け入れてくれて席に着く。
神父以外にも議事を進める人がいるなど意外だった。
歌を歌い話を聞きまた歌を歌う。もちろん英語だ。
宗教とはもちろん神への信仰だが、その一面、アメリカではコミュニティとしての役割もあるのだろう。
一時間ほどで終わり、このあとはみんなでランチパーティーになるのがお決まりのようだ。

僕は遠慮してモーテルに戻ろうとするとチャーリーに会う。
お腹は空いていないが何か食べたい二人はミルクシェイクをたしなむ。なかなかだ。

食料の買い出しと荷物の準備をする。
持つものは限られているので直ぐに終わってしまう。

ダニエルとジョーが戻ってからは再びのゲームタイムだ。
明日からはしばらく会えなくなる。いやもしかすると、もう会えないかもしれない。
たくさんあったはずの時間はあっという間に過ぎていた。
ローンパイン最後の夜は静かに終わる。




-"easy" Turtle
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by hikersdepot | 2011-06-11 10:31 | PCT 2010 by Turtle
Lone Pine, CA Day56-Day61 / 1 week "Zero" Part 1
6/15(tue) Day 56
"Conference"

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一夜開ける。早く起きてしまう。
日本に電話をして状況を説明する。

行くか留まるか悩む。ダニエルとジョーは仲間だ。言葉を越えた友達だ。

あの起きるのが苦手なダニエルがいない。病院に行ったようだ。
人の為に動ける彼は良い人間だ。

ホステルの向かいにある、Mt. Whitney Restaurant でみんなで朝食をとる。
一癖も二癖もあるハイカー達だし、数日の付き合いだが、長い深いつながりを感じる。
ここの名物の一つであるワッフルを食べる。
コーヒーはやはりマグカップで量が多い。それにプラスでオレンジジュース。

少し遅れてダンが来た。ジョーの様子は良いらしい。
腹いっぱいになればとりあえず元気になれる。
ダンはワッフルにフルーツ、ホイップ乗せだ。どこかでも同じようなことが?

KICK OFF PARTY で出会った、2009PCTハイカーのNobody のファミリーと出会う。
彼の娘達の、Walking Sisters をサポートしにサンフランシスコから来ているらしい。
彼女達は、ハイカーに似合わず綺麗で美しい。

食事が終わる頃、エヴァンが来た。
朝から見なかったがどこに行っていたのか。

Walking Sistersが通り過ぎる時のダニエルとエヴァンは、おかしい。
にやにや。
昨夜に続き若さに感動。

エヴァンは食事を終える頃におもむろに話始めた。

彼も昨日の事故の時、同じような怪我をしていた。
ジョーほどでは無いが、滑落し足に大きなGash(裂傷)を負っていた。
そしてジョーの事故。
彼はチームのあり方について考えたようだ。
確かにまとまっているようでまとまっていないチーム。
リーダーはショウマンのようであり、しかし暴走のスマイルス。

スマイルスというトレイルネイムだけあって笑いを絶やさない。
彼女なりに傷ついているが、それでもあの急斜面に行くときなぜ止まらなかったのか、
なぜ止めなかったのか、
誰がいけないのか、
チームとはなぜあるのか、
チームとしてのこれからするべきことは何か、そう言うのだ。

全て理解した訳じゃないが、言いたいことは全て理解できた。
それはきっと誰もがよぎった想い。静まり返る。それぞれの言葉、想いが飛び交う。
しかし、ここで終わる話ではない。昼にもう一度集まり話し合うことにする。


朝食を終えて、みんなでジョーの見舞いに行く。
ゆっくりメインストリートを歩く。
小さい街だけど、グロセリー、レストランはピザ、アメリカン、チャイニーズ、パブ、ファーマシー、コンビニ、マクドナルド、サブウェイ、Carl's Jr.、数件のスポーツショップは主に釣り道具、アウトドアストア、などと豊富に揃う。
後で寄ることとしようか。

夜には見えなかったが、病院周辺には教会が多く、静かな雰囲気だ。
病院は日本でもアメリカでも同じようだ。
僕も10年くらい前に、日本では無いが、アメリカで入院した経験がある。
その時のことを思い出す。

ジョーは昨日より元気そうだった。
全員入れないので順番で面会をする。
みんなは今日の出発も見合わせることになる。
街をぷらぷらし部屋に戻る。

昼前になり、グロセリーで何か物色をする。
ちょうどシューマーがいたのでみんなのランチを考え手分けして買った。
泊まっていたところと違う近くのモーテル"Dow Villa" にあるジャグジー付きプール(こちらでは安いモーテルにも良く付いていて割りと普通)に集まりランチを楽しむ。

みんなで持ち寄った食材でサンドイッチを楽しむ。
スマイルスとダニエルはプールに飛び込むが冷たかったようだ。
今日は陽射しは暑いが空気が乾いて冷たい。
食事の終了と共に楽しい時間は終わり話し合いの時間に。

どうして事故は起こったのだろうか。
自分達はチームだったのだろうか。
ダニエル、ジョーや僕はまだしも他のメンバーはシエラに入る前から知っていたようだし、チームになる経緯があったのだろう。

なぜあの時止められ無かったのか。
ジョーは生きている。しかし、一歩間違えば死んでいた。それは確かに真実だった。
運が良かった。それだけのことだった。
確かにスマイルスは自分に付いてきたジョーが傷ついたことに心を痛めていた。
しかし、彼女は、危険やそれらを判断すべきは個々のハイカーであるという。
エヴァンはチームとするからにはチームとして安全に全員が進むべきだという。
PCTハイカーとは何か。
何が今の自分達に本当に必要なのか。そして、今年の雪の多さをどう考える。
先へ進むべきか。待つべきか。

シューマー、スマイルス、マンゴー、カップルの二人、エヴァン、それぞれの意見が交わされる。
冷静に、時に激しく。マンゴーが言う、シンはどう思う、と。
僕にはこの難しい話を理解し語れるほどの英語力は無い。
しかし皆が言いたいこと、内容は理解が出来た。
自分が理解出来ているのは半分くらいかもしれない。
言いたいことが伝わるかはわからない。けれども、言わなければいけないと思った。

"きっとこの先のシエラは雪も多いだろう。もっと厳しくなると思う。一週間位待つと雪も融けて今よりは良くなるのではないか。しかし、PCTハイカーは基本一人だ。皆が自立したハイカーだ。行くか行かないかは自らが決めるべきだ。君が行きたいと思うなら、行くべきだ。君が行きたくないと思うなら、行くべきではない。僕が行きたければ行く。しかし、僕は行かない。今ダニエルを置いては行きたくない。僕のチームはダニエルとジョーだ。本当に彼らの回復が待てるのかはわからないが、今が行くときでは無いと思うからだ。"

つたない英語で精一杯伝える。
もっと伝えたかった。

エヴァンには、"これが正しいチームでは無いと思う。だけどPCTハイカーはチームである前に自立したハイカーだ。ジョーの事故のきっかけはスマイルスにある。止めなかったのは僕達の責任もある。ただそれ以前に自立したハイカーであるべきで、それがPCTハイカーの責任なんだ"と、そう思うと伝えたかった。

挙手で彼らは行くか行かないかを確認して話し合いは終わった。
シューマー、スマイルス、マンゴー、カップルは明日早朝に出発をする。
エヴァンは時間をおき、考えると。
僕の話はある程度伝わったようだ。
皆が、"良く話してくれた"、"良い判断だ"、"良かったら一緒に行かないか"と話してくれたのは嬉しかった。

部屋に戻る。
ダニエルは何故残るのかと尋ねてくる。
正直わからない。行きたい気持ちはあった。
早く前に進みたい。ただ共に行くべきは彼らでは無かった。
だったら一人で行きたい。しかし、今年のシエラを一人越えるのはなかなか厳しい。
結局、途中で出会う誰かと一緒になるのだろう。だったら、それは違う誰かなんだと思った。

ダニエルは、君は素晴らしい友人だし、とても良い人間だ、と言う。
そう言ってもらえるのは嬉しかったが、それだけじゃないんだ、ダニエル。
僕の弱さが大きな理由なんだよ。君達を言い訳にしているだけなんだ。僕らは留まり、彼らは行く。
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彼らの準備を眺める。
シューマーとマンゴーは荷物量が多い。何が入っているのか。

スマイルスは世界中を旅する元気なスイス人のおばさん。
バイタリティーに溢れかえり、いつもハツラツとしている。
若い時は天真爛漫と言われただろう。それもこの年になると、自由奔放というのか傍若無人というのか。
ただ良い人なのは確かだ。
旅馴れているだけあって、必要なものを的確に持っていた。

ホステルの隣にあるチャイニーズレストランに夕食へ。
日本の山の話をしたり、地元の山の話をお互いに話したり。
スマイルスは屋久島に興味を示していた。どこかで写真を見たことがあるようだ
。とても良い匂いがする場所だよ、と伝えた。

ローンパインの夜は仕事を終えたメキシコ人がどこからか現れる。
昼は白人、夜はメキシコ人。これがアメリカの現実だ。

夜にはエヴァンとダニエルとCarl's Jr.でミルクシェイクをたしなむ。まるで中学生の頃の、遅くに友達と遊んで、ちょっと悪さをしている気分の少年のようにワクワクした顔をして笑い合った。



-"easy"Turtle
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by hikersdepot | 2011-06-09 10:19 | PCT 2010 by Turtle