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装備表 Gear List JMT Thru-Hike
アメリカの雑誌やWEBで出会い、
日本で実践してきた「ウルトラライトハイキング」というスタイル。
装備が軽い、という利便性だけでなく、
装備がシンプルであるがゆえに自分と自然との距離感が近づいてくる。
そんなクライミングやサーフィンに通じる思想にも魅力されている。

ウルトラライトハイキングの装備はマニアックで特殊だ、
という向きも確かにあるかもしれないけれど、
求める機能以外を極限まで削ぎ落としたそのデザインこそ、
Function is Beautyを表現しているのかもしれません。

結果、いままでの自分の集大成となった今回の装備表です。
*)用具の名前など、初めて見る人には???な言葉も多いですが、それはおいおいブログ内で説明します。

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BASE WEIGHT 4458g 〜バックパック内の食料、水、燃料以外の基本装備〜
<パック関係 164g>
バックパック Z-packs Zpack*1 164g
パックカバー ポンチョにて兼用

<シェルター&スリーピング関係 1071g>
スリーピングパッド Gossamer ナイトライトスリーピングパッド*1 178g
スリーピングバッグ Nunatak ゴースト(スタッフバック込)*1 476g
シェルター MFD ケロニアンタープ(スタッフバック&ガイライン込)*1 214g
シェルターポール トレッキングポールにて兼用
ペグ VARGO チタンネイルペグ*6 49g
ビビィ/グラウンドシート Titanium Goat ターミンガン*1 154g

<クロージング関係 946g>
インサレーショントップ Nunatak スカハー*1 395g
インサレーションボトム mont-bell ULダウンインナーパンツ*1 155g
レインギアー Integral Designs シルコートケープ*1 135g
ウォームハット patagonia ビーニー*1 55g
スペアウィッキングレイヤー patagonia エアリアスT S/S*1 100g
スペアソックス smartwool アドレナリンライトミニクルー*2p 86g
ウェアストレージバッグ Granite Gear エアーバッグ*1 20g

<クッキング&ウォーター関係 1251g>
ストーブ Backpacking Light チタンウイングストーブ*1 13g
ウインドスクリーン Backpacking Light チタンウインドスクリーン*1 14g
ライター Bic ¥100ライター*1 16g
クックポット Snowpeak チタンシングルマグ450(自作蓋込)*1 85g
ユーテンシル Backpacking Light ロングハンドルチタンスプーン*1 16g
フードストレージ Bearikade ベアーキャニスター*1 894g
ウォーターストレージ platypus プラティパス1*1 25g
ウォーターストレージ platypus プラティパス1(ハイドレーション仕様)*1 89g
ウォータートリートメント SETCHELLE ウォーターフィルター*1 99g

<その他小物 1026g>
ライト PETZL e-Lite*1 28g
ファーストエイド自作キット*1 118g
ソーイングキット自作キット*1 16g
トイレ自作キット(シャベル、ダクトテープ、浄水材込)*1 242g
歯ブラシ/歯磨き粉/石けん*1 86g
タオル CASCADE DESIGN パックタオル(フェイスタオルサイズにカット)*1 76g
ヘッドネット Sea to Summit ヘッドネット*1 36g 
クランポン ENG ZHE SPORTS*1p 334g
GPS用予備用バッテリー FUJI 単三リチウム*6 90g


WEARABLE GEARS 1171g 〜ポケット&ポシェット内の装備〜
<ポシェット 660g>
ポシェット MFD オリジナルポシェット*1 28g
地図/許可証 JMT MAP-PACK&許可証*1 56g
GPS GARMIN VISTA HCx*1 167g
カメラ Leica D-LUX3*1 185g
ミニ三脚*1 49g
防虫剤 REPEL Lemon Eucalyptus120ml*1 129g
サンスクリーン*1 18g 
ノート/ペン*1 28g

<ポケット内 171g>
ホイッスル/ハサミ/コンパスセット*1 127g
ライター Bic ¥100ライター*1 16g
財布 SIM BLISSITY フォールドワレット*1 28g

<手持ち 340g>
トレッキングポール ODBOX フォックステール120*1p 284g
時計 SUUNTO ヴェクター*1 56g


WEAR 1738g 〜ハイキング中身につけている衣類〜
アンダーウェアトップ Finetrack フラッドラッシュスキンメッシュT*1 44g
アンダーウェアボトム SKINS スポーツロングタイツ*1 128g
ウィッキングレイヤートップ Patagonia キャプリーン2クルーL/S*1 150g
ウィッキングレイヤーボトム Patagonia GⅡジップオフパンツ*1 326g
ウインドギア Patagonia フーディニフルジップ*1 97g
グローブ Mizuno ブレスサーモグローブ*1p 31g
ソックス Smartwool アドレナリンライトミニクルー*1p 43g
サンハット Patagonia エアリアスバゲットハット*1 37g
ゲイター Integral Designs e-VENTショートスパッツ*1 59g
シューズ montrail ハードロック(スーパーフィートカスタム込)*1p 814g
サングラス Sporteyz ロールアップサングラス*1 9g


CONSUME 8085g 〜食料、水、燃料〜
主食(フリーズドライ&クスクス) 110g/1食*24食 2640g
副食(スープ&コーヒー) 20g/1食*24食 480g
行動食(エナジーバー、ゲル、粉末クエン酸) 165g/1食*13食  2145g
その他(塩タブ、飴、ドライフルーツ、ナッツ) 90g/1日*10日 900g
水(現地調達 平均1L携行) 1000g 
燃料 Esbitミリタリー 30g/1日*14日 420g

=======================================================
重量の割には長〜いリストになりましたが、以上となります。
JMTでの装備はこれが全てとなります。
持ち歩いている装備重量はバックパックのベースウェイトとポシェットのウェアラブル、をあわせた5629gです。
それに食料、水、燃料がスタート時と7日目のMuir Trail Ranch補給時に4000g加わるというものです。
最大重量で9629g

次回からは装備それぞれについて歩いて、使って感じたことを書いてみたいと思います。
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by hikersdepot | 2008-08-14 18:02 | JMT 2008 by BF
ロゴとフライヤー
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JMTの紀行文もとりあえず、ゴールにたどり着いてホッと一安心。
写真を選んだり、文章を考えたり、
地図や日記を眺めながら、あの瞬間の風景が思い出されて楽しい作業でした。
僕が一番楽しんでいたかもしれません。

来週からは装備、食料、歩き方、などウルトラライトスタイルでのロングハイクの方法を書いてみたいと思います。
確かにあちらの気候は日本と違いますが、色々な部分で参考にできる点はあると思います。自分の日本での経験と比較しながら書いてみたいと思います。
こちらもご興味あれば是非。

さて、暑い毎日が続きます。
山へ避暑!に行きたいところですが、我慢我慢。
開店に向けてメーカーさんとの商談やら、内装工事やらに忙殺されています。
本当にオープンできるのかしら?
と思いつつ、なんとかなるでしょ。と開き直っています。

とりあえず、フライヤーは出来上がってしまった。
オープン日も記載してある。
ということで、なんとかしなきゃ。

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荷物が軽ければ女の子でも大丈夫!
シャボン玉で軽いイメージ!
というわけで、
ヒゲに坊主の僕とは似ても似つかないものができました。

どこかで見つけたらもらってやってください。


この週末はこのロゴやフライヤーデザインしてくれた友人の主催する野外パーティーのお手伝いです。
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by hikersdepot | 2008-08-13 00:25 | 戯言
DAY after Thru-Hike 〜JMT Thru-Hike2008〜
After Thru-Hike(6月27日、28日) Mt.Whitney〜Whitney Portal 18km

山頂で惚けるように脱力した僕は、夢遊病の様にあたりをふらつく。
何をしていいのかわからない。空っぽだ。
30分程そうしていたのだろうか、
僕は測候小屋の中で食事の支度をはじめ、ようやく我に返った。
コーヒーを飲む頃には落ち着きを取り戻し、この後のことを考える。

遠足は家に帰るまでが遠足。
Yosemite Happy IsleからはじまったJohn Muir TrailはMt.Whitney山頂で確かに終わったものの、ここはまだ4000mを越える高所。
街の入り口までは、まだまだ行程18km、高低差1800mの長過ぎる下りが待っている。
膝に不安のある僕にはむしろここが最後の難関。

まだ日も高い。
山頂でのビバークはやめ、今日中に800m下のTrail Campまで、そして残りの1000mは明日下ることにする。


e0128835_21443772.jpgあきれる程のスイッチバックを繰り返したTrail Camp。
人が多すぎ、落ち着けない。
今までの静かなキャンプを懐かしんでいた僕だが、

夕日の美しさには全てを忘れ、目を奪われた。






翌日の昼にたどり着いたWhitney Portal。
僕の2週間の出来事など何も無かったかの様に、
ここでは当たり前の一日が過ぎている。
大きな自然の中で、そして無数の人の営みの中で、
僕がThru-Hikeしたことなんて、どうでもいいこと。
おごること無く、謙虚にまた歩きはじめればいい。

ハイキングは誰もができるものなのだから。


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by hikersdepot | 2008-08-12 17:41 | JMT 2008 by BF
DAY13 〜JMT Thru-Hike2008〜
DAY13(6月27日) Guitar Lake〜Mt.Whitney 10km

e0128835_21333369.jpg眠れない。
谷を吹き下りる風が一晩中、容赦なくタープを揺らす。
Mt.Whitneyを目の前に望むGuitar Lakeは風の通り道。
北東の谷からの風は止むことなく、一日中湖の周りを駆け抜けている。
思いきり低く設営したタープは風にも負けず、
しっかりと僕を守ってくれているが、風の音だけはどうしようもない。
いつしか眠りに引き込まれるものの、その眠りは浅い。
最後の夜、いつまでも風の音が耳に残った。

いよいよ最終章。
4419mのMt.Whitney山頂までの高低差900m、行程10kmを残すだけ。
乾いた岩の大地を一歩一歩進んでいく。
歩き、休み、そしてまた歩く。
空気の薄さのためか、体が前に進まない。
後ろをふりかえれば遥か下方にGuitar Lakeが小さく見え、
周囲をみわたせば、山並みも既に眼下。
それでも山頂は僕に近づいてくれない。
なだらかな登路は終わりなく、彼方まで続く。

休む回数と時間が増えるなか、それでもひたすら足を前に出す。
すれ違うWhitney portalからのハイカーが僕に最後の力を与えてくれる。
いつ終わるともしれないガレ場のトレイルの向こう、
測候小屋が小さく、本当に小さく目に入る。
歓喜と安堵が押し寄せ、あとはよく覚えていない。
気がつけば目の前にはMt.Whitney山頂を示すプレート。


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e0128835_21374720.jpg身体から全てが流れでる。
僕とまわりの自然とを分け隔てるのはこの薄い皮膚一枚。
僕であって僕でないような、透明感。一体感。

山頂を吹きわたる風は確かに僕の身体の中を流れていた。






Guitar Lake 08:40
Mt.Whitney JCT 10:55
Mt.Whitney 12:23
*John Muir Trail Thru-Hike ! 完成
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by hikersdepot | 2008-08-11 13:30 | JMT 2008 by BF
DAY12 〜JMT Thru-Hike2008〜
DAY12(6月26日) Center Peak西斜面〜Guitar Lake 31km

午前3時、JMTではこの時刻に一度は目が覚める。
気温を確認することも既に身体に染み付いている。
−3℃、寒い。この標高なら仕方がないが。
周囲ではForester Passから吹き下ろす風が鳴き続けている。

いつもなら寝袋の中に深く潜り込み、長い二度寝を楽しむのだが、
なかなか眠りにつけず、目が冴える。
今日はいよいよ4000mの峠越え、Forester Pass。
気分の高ぶりは止めようもない。


e0128835_21221566.jpg両側を4000m級の山々に囲まれたForester Passへの谷、
トレイルには薄氷がはり、周囲は霜柱の絨毯。
吹き抜ける風は肌をキリリと引きしめ、冷気に満ちている。
トレイルは残雪に吸い込まれ、吐き出され、を繰り返しつつ尾根へと続く。
路傍の小さな花が紺碧の空に映え、僕を応援してくれる。
ここから雪面を一息にトラバース。
後ろをふりかえると、歩いてきたトレイルが細く長く彼方まで続いている。
峠にはもう手が届く。


Forester Pass、標高4017m。
この峠を越えると、この旅も最終章を迎える。
峠の向こうを歩くことより、この峠までを歩いてきたことが胸に迫る。
それでも峠の下りに足を踏み出す。
今までと同じように、この向こうにあるまだ見ぬ景色に出会うため。




e0128835_21234593.jpg木肌をむき出しにした彫刻のようなフォックステールパインが林立する。
赤土に煙るなだらかなBighorn Plateauにあふれる生命感。
空にのびるその姿から目を移すと、トレイルの彼方に微かに見える。
Mt.Whitney、いよいよ旅の最終章がこの目に映る。
周囲を見渡し、一息つく。
叫びたい衝動に胸が熱くなる。
誰もが美しいと感じる風景ではないかもしれない。
それでも歩き続けてきたハイカーには何ものにも代え難い風景がそこにはあった。










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Center Peak西斜面3500m付近 06:30
Forester Pass 09:15
* 登路である尾根に回り込む地点でトレイルロスト、30分程迷う。
Tyndall Creek 11:40 *12:30まで食事、休憩
Bighorn PlateauにてMt.Whitneyが姿をあらわす 13:30
Wallace Creek 14:30
Crabtree Ranger Station付近 16:30
Guitar Lake 18:15 *北東側の谷から終始強風が吹き下ろす。
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by hikersdepot | 2008-08-10 17:19 | JMT 2008 by BF
DAY11 〜JMT Thru-Hike2008〜
DAY11(6月25日) Rae Lakes〜Center Peak西斜面 18km


e0128835_121621100.jpg朝日に輝くGlen Pass。
ここからでも明瞭なトレースが雪の斜面にはっきりと見える。
どうやら今日は楽に越えられそうだ。
麓の岩場にテントが2張。
二人組のハイカーが、コーヒーを飲んでいけと声をかけてくれる。
「どこから来たんだい。」
「ヨセミテから。JMTを歩いているんだ。 君たちはPCTかい?」
「そうだよ。ホントは急がなくちゃならないんだけどね。」
もう何度となく繰り返されたやりとり。
それでも、このささいな会話が不思議と力をあたえてくれる。
同じトレイルをすれ違う、一期一会の出会い。
一瞬の出会いでもロングトレイルを歩くハイカー同士、不思議な一体感がそこには生まれる。

もしアメリカのハイキングカルチャーの素晴らしい点を聞かれたら、
僕はこのロングハイカー同士の不思議な一体感をあげるだろう。
何度助けられたことか。そして僕も誰かを助けたのだろうか?


今日の行程は短い。
明日のForester Pass越えのため、少しでも標高を上げればいいだけ。
雪のGlen Passを越え、
キャンパーと挨拶をかわしながらBubbs Creekをさかのぼる。
足取りは軽い。
今日中にForester Passを越えられるかもしれないな。
でもその前にちょっと昼寝でもしよう。せっかく風が吹き抜ける川辺だから。


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僕のほおを叩いておこしたのは降り始めた雨粒だった。
大きな木陰に避難し、ポンチョをかぶる。
Forester Passのあたりは完全な雨雲に覆われている。
夕方までには止むだろうとは思っても、3000mを越えるここでの雨はやっぱり憂鬱だ。
雷だけには注意しながら、休み休み、少しずつ、それでも標高をあげていった。





疎林がきれる手前、誰かが造った石積みの防風壁。
ここなら吹き下ろす風も防げるだろう。
いつしか雨雲もきれていたが、今日はここでキャンプ。

Center Peakに照り返された西日がこの谷を染めていく。

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Rae Lakes 07:30
Sixty Lake Basin Trail JCT 08:00
Glen Pass 09:30 *10:30まで食事、休憩
Vidette Meadow 12:50
Center Basin Trail JCT 14:30 *16:00まで昼寝、休憩
Center Peak西斜面3500m付近 17:00
*Center Basinへの分岐を過ぎてから雨に降られる。1時間程
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by hikersdepot | 2008-08-08 17:13 | JMT 2008 by BF
DAY10 〜JMT Thru-Hike2008〜
DAY10(6月24日) Lake Marjorie手前〜Rae Lakes 24km

e0128835_1245743.jpgあっけないくらいでたどり着いてしまったPinchot Pass
それでも峠からの景色にはハイカーを寡黙にさせる重みがある。
歩いてきた谷には残雪と湖が奇妙な配列を示し、
歩みをすすめる南の空の山並みには霞がかかっていた。

峠のこちらと向こう側、
多くのハイカーが同じ風景を見て、同じ思いにかられたに違いない。
峠を越える毎に、風景だけでなく、何かも心の中に積み重なっていく。





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土埃が舞う、乾いたトレイルにある石積み。
周囲の景色にとけ込むたたずまいがどこか仏塔のように見えてくる。
次々にあらわれる石積みに導かれるように歩きながら、
教典を求める旅の途上にある僧侶のような厳格な気持ちになっていく。
この山旅の終わりで、僕は何を得られるのだろう。
乾いた空と大地の間で、そんな思いにとらわれだす。


誕生日を長いトレイルの途上で迎え、こんな思いをめぐらせるのも悪くはない。








明日越えるGlen Passの向こうにアプローチトレイルがあるせいか、
Rae Lakes湖畔には数組のハイカーがテントを張っていた。
少しずつ、本当に少しずつだけれど、街に近づいている。
それは日常に近づいているということであり、
この素晴らしい山旅が終わりに近づいているということでもある。

独りでのキャンプに慣れてしまった僕は、静かな場所を探しはじめる。
まだ夕暮れには早い時間、静かな湖面と向かい合う。
少し、寂しく思った。


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Lake Marjorie手前 07:00
Pinchot Pass 08:20 *09:00まで休憩
*この日はじめて南の空が煙っているのに気づく。後日山火事だと判明。
Sawmill Pass Trail JCT 10:50 *11:50まで食事、休憩
Cedar Grove Trail JCT 13:25
Dollar Lake 15:40 *16:00まで休憩
Rae Lakes 17:30
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by hikersdepot | 2008-08-07 15:03 | JMT 2008 by BF
DAY9 〜JMT Thru-Hike2008〜
DAY9(6月23日) Deer Meadow〜Lake Marjorie手前 23km

空中庭園。
御伽話の世界が、今まさに目の前にある。
標高3200m、人里へのエスケープも容易でない。
そんな処にあるこの風景はそれでも夢ではない。

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急峻な断崖にきられた無数のスイッチバック、Golden Stairway
その断崖を越え、草木もまばらな谷を抜けていくその向こう、
Palisade Lakesの周囲に静かに緑の庭園が横たわる。
周辺の荒涼とした大地の中で違和感を覚える程の緑の濃さに目を奪われ、
静かに流れる小川に沿って、歩みを進める。





本当にこの斜面を登るのか。
もう30分近く、周囲に他のハイカーのトレースを探している。
しかし目に入るのは目の前の急峻な岩と雪の斜面、
そして上部に微かに見えるトレース。
本来はもっと手前からスイッチバックして高度をあげ、
トラバース気味に峠へアプローチするようだが、それらしきトレースはどこにも見えない。
この状態ならどこを登っても一緒だと覚悟を決めて一歩を踏み出す。
ストックはバックパックにくくり付け、両手で岩をしっかりつかむ。
「Mather Passは慎重にね。トリッキーで、バランスがいるよ。」
Muir Passですれ違ったハイカーの言葉にうなずくしかなかった。


一日の終わり、岩と雪の大地で心を潤してくれる小さなせせらぎ
まるでオアシスのようなその流れのかたわらにタープを張る。
小川に足を浸し、今日一日をふりかえる。
厳しく、疲れ、そして少し怖かった峠越えも良い思い出、
来し方、行く末、峠から眺める明日の風景に心を馳せる。


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Deer Meadow 07:00
Palisade Lakes 08:20
Mather Pass 11:30 *12:10まで食事、休憩
* Mather Passは北斜面、南斜面とも非常に急傾斜。残雪期は要注意
South Fork Kings River渡渉点 15:00
*渡渉点付近には他の地図にないトレイルも存在するが、注意すれば問題ない。
Bench Lake JCT 16:10
Lake Marjorie手前 17:00
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by hikersdepot | 2008-08-06 13:54 | JMT 2008 by BF
DAY8 〜JMT Thru-Hike2008〜
DAY8(6月22日) Evolution Lake〜Deer Meadow 32km

連なる湖の他は荒涼とした大地がどこまでも続く。
草木のない岩の世界には、まだ陽も射さず、雪と陰のモノクロに覆われている。
Muir Passからの雪解け水が流れる川を何度か渡渉する頃、
世界は鮮やかな青と白のコントラストに姿を変える。


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湖面はまだ凍りつき、見渡すかぎりが雪に覆われている。
川の流れが時折顔をのぞかせる時は、小さなスノーブリッジを渡る時。
緩やかな傾斜の先にはMuir Passがあるはずだが、
その姿はいつまでたっても近づいてこない。
容赦ない照り返しに目を細め、黙々と雪の中に歩を進める。
John Muir Trailの象徴ともいえるMuir Hutのシルエットがかすかに見えてきた。
動かないと思われた静寂の世界が動き始めたようだ。




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石積みの小さな避難小屋がシルエットから明確な姿に変わりはじめる。
ようやくたどり着いたMuir Pass、
吹く風の他は、再び時間がとまったかのような静寂に包まれていた。
今、僕はJohn Muir Trailに確かにいる。
強い実感が身体中に広がる。






Muir Passは峠の両側が北に向いた谷のため、JMT中最も残雪が多い。
トレイルは完全に雪の下に埋もれ、彼方までその姿は目に入らない。
雪の斜面を下り、何度も渡渉を繰り返しながら高度を下げていく。
谷が南東に向かう頃、ようやく緑があらわれ、トレイルも時折顔をのぞかせる。

Le Conte Canyonに進むと、トレイルは夏、生命感あふれる世界。
緑の木々と川の流れを楽しみながらどこまでも歩く。
何も考えず、目の前のトレイルをただひたすらに。

そろそろ日も傾く頃、一緒に歩く影法師のハイカーに出会う。

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Evolution Lake 06:20
Sapphire Lake 07:15
Wanda Lake 08:30
Muir Pass 09:50 *11:00まで休憩、食事
*Sapphire LakeからMuir Passを越えての約10kmは完全な雪原
Le Conte Canyon Ranger Station 14:50
* 少し先のDusy Branch沿いで16:00まで洗濯、昼寝
Palisade Creek JCT 17:30
Deer Meadow 19:30
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by hikersdepot | 2008-08-05 13:42 | JMT 2008 by BF
DAY7 〜JMT Thru-Hike2008〜
DAY7(6月21日) Sallie Keyes Lakes〜Evolution Lake 32km

右膝がいうことを聞かない。
油がきれた機械のようにギシギシ内側で鳴っている。
肉刺ができないよう、靴擦れができないよう、
とにかく足のケアを一番に考えてきたが、ここにきて一番恐れていたことが現実になったようだ。
数年前に複雑骨折した右足は、完治しているものの手術痕のある膝はいまでも時折腫れ上がる。
その右膝が連日の酷使と高低差800mのこの下りで悲鳴をあげはじめた。
Muir Trail Ranchにたどり着いた僕の右膝は曲がらない。
「リタイア」その言葉が僕の心に巣食いはじめた。

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右膝を水で冷やし続ける僕の目の前では、
Pacific Crest Trailのスルーハイカーが送っていた食料を受け取り、パッキングに頭を悩ましている。

そんな風景を眺めるともなく眺め、
ここを訪れたハイカーが書き残している「Hiker’s notebook」というファイルに目をおとす。
無数のハイカーの何気ない一言や、僕の目の前にいるハイカーの姿、
それらが僕に何かを授けてくれるような気がした。

2時間半後、食料を持った友人が訪れたとき、僕の膝は曲がるようになっていた。








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結局、また僕は歩きはじめた。
ノートに書き残されたハイカーの言葉、
すれ違うPCTハイカーとの何気ないやりとり、
そしてなにより日本で楽しみにしてくれている仲間のハイカーの声、
歩いている僕は独りだけれど、
それらが不思議な一体感を生み、ずっと僕を支えてくれている。
San Joaquin River沿いに進む僕の足取りはいつしか軽くなっていた。




雨に包まれたEvolution Valleyを抜け、
更に標高をあげていくと頭上の雨雲が突然きれた。
午後8時、目の前には雨上がりの澄んだ夕焼けの下、
茜色に染まったEvolution Lakeが僕を待っていてくれた。

これさえあれば、この先もきっと歩ける。


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Sallie Keyes Lakes 06:10
Muir Trail Ranch 08:40
* 後半の食料補給のため友人と合流、12:15まで休憩、食事
Evolution Valley JCT 15:10
Evolution Creek渡渉 16:10
* JMT最長の渡渉。水量が多いと困難だが、膝上程度の水位
McClure Meadow 17:25 *18:00まで雨宿り
Evolution Lake 20:10
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by hikersdepot | 2008-08-04 18:56 | JMT 2008 by BF